孤高の天才、カレーライスに拘りなし
夫はカレー好きだが
どの店のどのカレーという拘りはなく、
行く先々で食せる大好物には、
それぞれの味があると解釈している。
好物へのキャパが広い。
一方、その妻と一人息子も
カレー好きだが、
味やスパイスに大きな拘りがあり、
特に妻はカレーに限らず
美味しい料理を食べ、気に入ると
自宅で再現するのが得意。
我が国で三冠王を3度獲った唯一の人、
落合博満氏は新著「戦士の食卓」
(岩波書店)でそう語っている。
落合氏は、カレーのルウで
お酒が飲めるほどの部類のカレー好き。
この孤高の天才バッターは、
バットのグリップ部分の削り加減に拘り、
数ミリ違うだけで気付いたと
ミズノでバット作りの匠が数年前に
言っていたのを思い出す。
バッターボックスでの佇まいは
一貫とした「神主打法」で有名だ。
同氏が常に言葉にするのは
「技術」を磨くこと。
心や精神より先に、
技術がなければ打てるはずない、
との独自の理論がある。
同氏は監督として中日ドラゴンズを
セリーグの常勝チームに
育てたことでも知られている。
その理論はとにかく、勝ってナンボ、
とことん勝ちに拘った。
長嶋ジャイアンツが求めたのは
観客が楽しめる野球、メイクドラマだ。
片や、当時の落合ドラゴンズは
1対0でも勝てば良いという考え方。
自分に求められているのは勝つこと。
そのために徹底的に考え、
監督としての「技術」を磨いた。
同氏の美学、プロフェッショナリズム。
同著では、そんな落合氏の食を
支え続けた信子夫人の料理への拘りを
夫人自らの言葉で紹介している。
夫をホームランバッターにするために
故意に太らせる等、
夫の身体作りへプロフェッショナリズム、
その「技術」が綴られている。
ひとつのことに拘り
深く技術を探求する奥深さ。
片や、広範に沢山のことを受け入れ、
視野を広げ、楽しみを増やす喜び。
やはり、どんなプロでも
拘る所にこそ神経も力量も拘って注ぐ、
そんなメリハリが肝要。
かくなる僕も、じゃがいもが
形を崩さず沢山入っている
昭和のカレーライスが大好き。
珈琲と合わせるのが拘り。
とはいえ今夜は落合氏に肖り、
芋焼酎のソーダ割りで
カレーを頂こうと思っている。