Late Show

終電は、とっくに終わり

街に放り出された浮遊体の行く先は

Late Show

ガラガラの場内

最前列に陣取り

殆ど垂直に見上げるスクリーンと

殆ど視界から外れてる左右の映像

持ち込んだハンバーガーとコーラを両手に掴み

概ね興味の起きない予告編

濁って乾いたその二つのマナコで

瞬きもせずに黙読する

暗転、開始早々、爆音を合図に深い眠りに堕ちる

起きては、眠りに堕ちて、を繰り返し

一番楽しみのエンドロールで目を醒ます

その美しく整列された文字の波紋に

恍惚感を感じて静かに覚醒する

真っ白になった朝の街に

真っ黒なカラスがこちらをジッと凝視する

遠くで見ている鳩たちは、僕らなのだろうか

そんな気がして、カラスにペットボトル投げつけた

カラカラカラ

通り過ぎる車が、クシャっと音を立ててそれを踏み捨てて行く

夜が恋しくて、

朝が心細くて

濃い目のサングラスを掛けてみた

もうそこにカラスは居なかった