見出し画像

「方舟」を読んだ【読書感想】

僕らは生贄を選ばなくてはならない。そうしなければ、全員が死ぬことになる。

久しぶりに小説が読みたくなって購入。小説でしかもミステリーなんていつぶりだろう。たまたま目について、数あるミステリー賞にノミネートされていたから手に取ったのだか、この情報社会の中、前情報をほとんど入れずに読めたのはラッキーだったかも。

話はとある地下建築に閉じ込められた10人が、なんとか脱出方法を考えてる矢先、一人が誰かに殺されてー、と言った内容。

久々のミステリー小説だったこともあり、密室に閉じ込められる状態になるまで、「いや、偶然重なり過ぎだろ」と思ってしまう部分もあったが、物語が進んで行くと、その設定も気にならないくらいハマった。ずっと暗くて不穏で不気味な感じなんだけど面白い。読みやすかったこともあり、3日で読み切ってしまった。遅読の私としてはかなり早い方である。

謎解きも「でもこれってさ」と言いたくなる部分もあったが、その後すぐにその引っ掛かっていた部分に触れてくれており、トリックのモヤモヤを感じることなく読めた。ラストが!、っていう小説なんだけどそこまでの過程でも全く飽きなかった。

途中、人の命の価値とか優先順位とかに関する話があり、いわゆるトロッコ問題的な投げかけもあるのだが、状況が非日常過ぎてあまりそこには感情移入できなかった。各登場人物の人間性とか背景とかをもう少し掘り下げれれば、もっと物語に入り込めるんじゃないかとも思った。まあ、そこはページ数の都合で描かれなかったのかなぐらいに思っていたのだが、この小説には読了者向けの解説サイトがあるのだ。そこでこの部分を有栖川先生がしっかり解説されていた。なんと私は浅はかな馬鹿野郎なのだろうと思ったのだか、こういう形で読後の楽しみを用意するのは素直に良いなぁと思う。読んだ人は是非検索してみてみてほしい。(なお、このサイトには読んだ人ならわかるパスワードが設定されている。いちいち配慮スバラシイネ)

キャラクターへの感情移入はできなくでも、自分ならどうするか?って考えちゃう本。とにかく人に読んでみて!って言いたくなる小説でした。最近のミステリー小説もっと読んでみたくなった。それにしても犯人サイコパス過ぎるな‥‥

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?