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読書会レポート

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読書会のレポートです。主催者の感想、ご参加いただいた方の感想を載せています。
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#朗読

1/21 早朝読書会 金子みすゞ「世界中の王様」

読書会をやってみて金子みすゞの「詩集 世界中の王様」の中の読書会を10名で行いました。 今回は詩集の中の「雀」「つくる」「世界中の王様」「時のお爺さん」の4篇を読みました。 特に読書会で盛り上がったのは「つくる」という作品でした。 この短い詩の中からさまざまなものを感じることができます。読書会では、最初に出てくる巣は生命の誕生を表し、次の墓は死を表している。最後の箱庭は世界を表しているという意見でした。この意見を聞いて、一見単純そうに見えるこの詩が、実は広大なものを含んでい

1/7 早朝読書会 『旧約聖書 ヨブ記』8章レポ

読書会をやってみて『ヨブ記』8章の読書会を5名で行いました。 8章は7章のヨブの発言を受けたシュアハの人、ビルダドの発言でした。ビルダドはヨブに対して「なぜそのように語るのか、あなたが不幸な時点で結論は出ている」というようなことを行っていました。 主催者の感想はここに書きました。 ご参加いただいた方の感想tmさん ヨブ記を読むようになり、ほんの少しですが、神との対話が生きることにどのような影響を与えるかわかってきました。今年は日々、対話の時間を持とうかなと思います。 M

12/24 早朝読書会 夏目漱石『夢十夜』第三夜レポ

読書会をやってみて夏目漱石『夢十夜』第三夜の読書会を6名で行いました。 今回も長くなったのでここに感想を書きました。 ご参加いただいた方の感想Mimiさん 子供の目を通す感性は大人より鋭く勝っていると思うことがあります。私は大人になる事は、知識によって力を獲得していく過程だと思っていましたが、知識によってある大切な力を失っていく過程でもあると思いました。この物語に登場する子供は自分の中の子供性かもしれないし、社会の弱者かもしれない。今、自分がここにいられるのは誰かの犠牲の

12/17 早朝読書会 『旧約聖書 ヨブ記』7章レポ

読書会をやってみて『旧約聖書 ヨブ記』7章の読書会を6名で行いました。 6章はヨブのことを理解していない友人に対するヨブ応答でしたが、7章はもはや友人ではなく、神に語りかけているような内容でした。ヨブは「なぜあなたは私に対する監視をやめないのか?私がどんな罪を犯したのか?」というようなことを言っていました。 読書会では神に監視されていることについて話が及びました。神に見られ続けていることは不幸なのか?幸福なのか?ぼくはヨブと同じように、神に監視し続けられる人生は不幸だと思って

12/10 早朝読書会 『柿の種』寺田寅彦レポ

読書会をやってみて『柿の種』寺田寅彦の読書会を5名で行いました。 今回、朗読の形式を変えてみました。一篇読んだあと感想の共有、もう一篇読んだで感想の共有という形式で進めました。『柿の種』は、序文を飛ばし、初めから三篇朗読しました。 作品の感想はここに書きました。 ご参加いただいた方の感想Mimiさん 一つ一つの作品は短いのですが、含まれている意味は色々ありそうです。読後、参加者の方々の意見を聞くと、自分の気づかなかった点が色々発見され、面白かったです。個人的にすっぽんはな

12/3 早朝読書会 『旧約聖書 ヨブ記』6章レポ

読書会をやってみて『旧約聖書 ヨブ記』6章の読書会を5名で行いました。 『ヨブ記』の読書会も今回で3回目です。第1回目は1〜3章、第2回目は4〜5章、今回は6章のみを読みました。回を重ねるごとに『ヨブ記』の難しさ、手強さを思い知らせれ、とりあえず毎回1章づつ読むことにしました。 6章の感想はまたもや長くなりましたのでここに書きました。 ご参加いただいた方の感想tmさん ヨブが自身に起きた不条理にもがく姿を思い描いていました。しかし、読書会で話をしてみるなかで、「本当にこれ

11/26 早朝読書会 宮沢賢治『心象スケッチ 春と修羅』序 レポ

読書会をやってみて宮沢賢治『心象スケッチ 春と修羅』序の読書会を5名で行いました。 「有機交流電灯」「因果交流電灯」「第四次延長」などの独特の言葉や日常では使わないような言い回しがあり意味を受け取るには難しいですが、意味は受け取れなくても、なにか体感? で感じるものがありました。 みなさんで読み進めていく中で、この作品はクオリアについて言っているのではと思いました。我々の知覚は赤色を感じますが、赤色の赤さは他の人も同じように感じるのでしょうか。もしかしたら、他の人の目線で世界

11/12 早朝読書会 夏目漱石『夢十夜 第六夜』

読書会をやってみて夏目漱石『夢十夜 第六夜』の読書会を4名で行いました。 第六夜は運慶が護国寺で仁王像を作っているシーンからはじましました。運慶は鎌倉時代の仏師(仏像を専門に作る者)ですが、聴衆は明治の人たちです。聴衆は運慶や仁王像に対してあれやこれや言っている。そして自分も仁王像を作れるかなと思って作ってみようとしたら、うまくできなかったと言うのがオチでした。 読書会を進めていく中で、この第六夜は「批評」について語っているのだと思いました。岡倉天心とフェノロサの話が出ました

11/5 早朝読書会 『旧約聖書 ヨブ記』1〜3章

読書会をやってみて『旧約聖書 ヨブ記』1〜3章の読書会を4名で行いました。 今回、テキストとして岩波書店『XII ヨブ記 箴言』並木 浩一 訳を使用しました。 今回は1〜3章までと少し長めに輪読をしました。 感想の共有で一番盛り上がった話は、ヨブが神から受けた皮膚病についてでした<彼はヨブの足の裏から頭の天辺まで悪性の出来物で痛めつけた。>。皮膚とはなにか?皮膚は自身と外界を隔てる壁としてあります。皮膚病はその壁に対する異常で、自身が外界とうまく接続できない状態だと、読書会

10/22 早朝読書会 坂口安吾『日本文化私観 家に就て』

読書会をやってみて坂口安吾『日本文化私観 三 家に就て』の読書会を4名で行いました。 家とはなにか?この作品では、坂口安吾の実際の経験、実感から、考察しています。家に帰ると叱られてしまう。人は孤独で、誰に気がねのいらない生活の中でも、決して自由ではないのである。こういった感覚を経験したことがあるかどうか?という話しからスタートしました。 「仕事に熱中していると感じないが、暇になると感じる」など意見が出ました。ぼくも、なんとなくわかる気がします。 坂口安吾はこの家から文学が生ま

10/8 早朝読書会 宮沢賢治『やまなし』レポ

読書会をやってみて宮沢賢治『やまなし』の読書会を5名で行いました。 宮沢賢治独特の擬音について、クラムボンとはなにか?なぜ母親が出てこないのか?東北地方の間引きについて、などなどに話が展開していきました。 こういったよくわからないような話を自分の解釈で広げていくのが文学の魅力だと思いました。 ご参加いただいた方の感想M.Tさん クラムボンが何なのか、なぜお母さん蟹が出てこないのか。 皆さんの意見を聞いて「そういう捉え方もできるよな」と驚くことが多かったです。 今朝も楽しい1

10/1 早朝読書会 夏目漱石『夢十夜 第二夜』レポ

読書会をやってみて夏目漱石『夢十夜 第二夜』の読書会を5名で行いました。 夢なのに身体感覚の描写が鋭く、読んでいるこっちも胃がキリキリしそうな内容でした。 一番盛り上がった箇所は「最後、この侍は悟ったのか?」という点です。色んな意見が出ました。 また以下の話題が出ました。 ご参加いただいた方の感想M.Tさん ただただ女に会いたいと百年待って願いは叶った第一夜。第二夜は、無にならなければともがいたが無になれずに時間切れ。侍の願いは叶わなかった(と私は思う)。 成し遂げなければ