【ショートストーリー】総理の夫。①
※映画の内容とは直接関係ありません。
彼との出会いは彼がお店にお客としてきたことがきっかけだ。
そこのお店は、プライバシーが徹底的に配慮された会員制であり
どこかのお偉いさんや社長、よく分からないお金持ちなどが来ていた。
その日、彼からの予約が突然入った。
16時、品川の待ち合わせのホテルに向かった。
初めてのお客の時はいつも以上に緊張する。
指定されたホテルについてドアをノックする。
扉から出てきた彼は、身長180センチくらい、年は40歳前後だろうか
短めの髪に清潔感のある肌、男前という言葉が似合う、そんな印象だった。
部屋の中に招き入れられると、「かわいいね、抱きしめていい?」という言葉と同時にギュッと抱きしめられた後、部屋の奥に連れられた。
行為後、彼から「今日はありがとう。」と目を見て言われた。そこのお店で働き始めて3ヶ月、お客からありがとうなんて言われたのは彼が初めてだった。
たいてい行為が終わると、まるで今までのことはなかったことにしてほしい、そんな風に帰り支度が始まり、お金だけ渡されて「じゃ。」とその一言だけだった。
それから、2週間に1回のペースで彼から予約が入るようになった。
続く。