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この世界では、月を見ようと走り出す君が犯罪者だ 雲を透かす光輪は 夢の中で見る翅に似て…
三日月 朧月 ピンクムーン たまに彗星 まだ名前のない月を見つけたい でも 瞬きすると…
鏡を殴って血だらけの手を 私の胸におしあてて 拍動の二重奏 はやくなれ やがて独奏とな…
身体があるのに ぴくりともせん 心中を覆いつくす芽が 枯れてしまったのだ ああ 何かお…
日常生活において 声を発さぬということは、埋没することと同義である。 声を発さぬ限り …
土砂降りの中走った 傘をさすべき手は どちらも埋まってた 正しくなれないわたしを 「か…
魚の目玉を食べる人 赤い公園が好きな人 スマホをもってた人 わたし ケータイもってなかったから ママのを使ってメールしてた あなたと話したこと 全部メモに書いてた バイトよりあなたのことにずっと真剣だった でも なんかバイト辞めるし なんか大学入り直すらしいし なんか意味わからん遠いとこへ行くし あー あー あー 高校出るまでバイト続けてました あなたよりずっと遠くの大学へ来ました 赤い公園は、元から好きだったことにしました いやに綺
綺麗な隙間しかない女の子になりたくて マニキュアを塗ることにした 海を作りたいな そ…
ここにあるのは空間である 真空に生けられた花である 壁のない水槽を泳ぐ魚である わたし…
墨汁みたいな闇の中 毎日、舟を漕いでいる 暗い中では進めない けれど 暗い中では眠れな…
つるりと撥ねる ここは鏡だ あの家 すこし開いた窓にて 晨風とラジオ電波を物々交換して…
しん と静寂が響いておる ひろがる ろがる がる 凍てつく空気はた…
嫌い嫌い嫌いだぜんぶ すかすかの「ぜんぶ」を拒絶して 繭が肥厚しここは一人 思考回路を…
わたしの肌の傷跡は 割れぞこないのみみず腫れ 誰かがわたしを産んだのに 誰もがわたしに死ねと言う 誰かのところへかえりたい かえれないならここにいたい ガラスの小瓶がいたく眩しい 神様がいるのを知っている いいよ あなたは正しいままに わたしを救う わたしはかみさま わたしだけに かみさま わたしは さかさま わたしの肌の傷跡は 割れぞこないのみみず腫れ