遊んで、学んで、味わう山奥の旅。こんなに人気あるって知らなかった。
「ねぇ、通路もギッシリ埋まってるよ」
「ホントだ」
14時から始まる「放流」の為に、沢山の人が集まっている。
私達も30分前にここへ着いて、退屈を持て余していた。
まさか、こんなに人が集まるとは思わなかった。
沢山の人に驚いていると、放送が流れてきた。
「それでは観光放流をスタートします!!」
一気に流れ出す水。
地鳴りのような音、水しぶきがドライアイスみたいにモクモクしている。
思わず長男も「迫力ヤバイ!!」と夢中である。
そう、ここは宮ケ瀬ダム。
宮ケ瀬ダムってどこにあるの?
初めて宮ケ瀬ダムへ行ってきた。
神奈川県厚木市にある短大に通っていた私にとって「宮ケ瀬ダム」という名前はよく聞く名前だった。
しかし、一体どこにあるのか?
どうやって行くのか?
イマイチ分からなかった。
「車で結構かかるよ」という評判だけは知っていた。
親になってから、宮ケ瀬ダムに隣接する「あいかわ公園」が雑誌やインスタで頻繁に紹介されているのを知り、長年「いつか行きたい場所」として位置付けていた。
特に予定のない3連休というチャンスを目の前にして、私はいよいよ「今しかない!」と宮ケ瀬計画を決行する事にした。
場所は…と言うと、小田急選の本厚木駅や、横浜線の橋本駅からバスで60分位。
つまり、「どこの駅からも近くない」のだ。
こんな山奥まで遊びに来る人は、そんなに多くないだろう。
と、タカをくくっていたら見事に期待が裏切られた。
そう、宮ケ瀬ダム周辺はどこも賑わっていたのだ。
公園よりも周辺スポットに驚く
お目当てだった「あいかわ公園」は、自然に囲まれた気持ちの良い公園だった。
正直、期待していた程沢山の遊具やアスレチックはなかったけれど、子供はふわふわドームや遊具で十分楽しんでいた。
「遊びきれない」とネットに書いてあったので、長距離運転をした夫からは「これだけ?」とご不満の声がチラホラ聞こえてきた(^_^;)
でも、よくよく見ると「あいかわ公園」だけが遊ぶ場所ではないのだ。
あいかわ公園駐車場から、宮ケ瀬ダムまで徒歩20分。
宮ケ瀬ダムの上に登ると、観光船乗り場があり他のエリアへ移動できる。
宮ケ瀬湖は海に囲まれた静かな湖。
そして水はエメラルドグリーンみたいな、何とも不思議な色。
山の色合いを楽しみながら船に乗るだけで十分楽しそうなのに、宮ケ瀬湖畔に行けばカヌー教室や、芝滑り、BBQ場等もある。
相当年季が入っていそうな、キャンプ場もある。
「あいかわ公園」側にも、賑わいを作る場所があった。
1つ目は服部牧場。
マザー牧場みたいに有名ではないので空いてるだろうと思い、帰りにここでアイスを買うつもりだった。
でもイザ立ち寄ってみたら、軽く30分はかかりそうな程行列ができていた。仕方がないので、牛舎や馬小屋を見学してアイスを諦めた。
アイスを諦めて、もう1つ立ち寄ったのはオギノパン本社工場直売店。
こちらも車が中々停められない程の大盛況だった。
パン売り場への入場は長蛇の列だったので、仕方がなく特設売り場のあった「あんぱん(6種類くらいある)」だけ購入した。
3連休だから…と言えば、確かにその通り。
だけど、こんな山奥?にレジャーが詰まっているとは知らなかった。
40年かけて作ったダム
観光放流を見た後は、長男の希望で「水とエネルギー館」でダムや水について学んできた。
ここ、期待していなかったけど中々良い施設だった。
館内に入ると、ちょうど「ダムのお話」という講演をしていた。
子供とダムについての事前学習ゼロで訪れたので、良い機会になった。
講演内容の中で、私は宮ケ瀬ダムの歴史が面白かった。
元々このダム辺りには集落があり、281世帯1136名もの人が住んでいたそうだ。
資料館に展示されていた過去の写真には「ダム建設反対」と書かれた横断幕を持つ人々が沢山映っていた。
実際にこの方達が引っ越し、建設工事が着工するまでに計画発表から22年の時間を要している。
1991年に工事がスタートし、実際にダムとして利用開始できるようになったのは2001年。
つまり計画発表から完成まで約40年を要している。
「宮ケ瀬ダムができてから水の供給が安定するようになった」と、別の場所で聞いた事がある。
そう、人口が右肩上がりに増えていた時代。
各地で水不足は頻繁に起きていたようだ。
でも、ダムが完成した2001年からたった7年で人口はピークに達して、今は減少に入っている。
40年かけて作ったダムが有効利用されるのは、何年だろう?
この山奥の施設で働いてくれる人は、この先も確保できるのだろうか?
老朽化した時に修繕する費用は確保できのだろうか?
普段の生活で中々意識する事がない、中で働いている人の話や思いを聞く事もないこういう場所で色々考えてしまった。
帰りに長男が「面白かった!また来たいな」と言っていた。
長男が大人になっても、この場所は今と変わらず存在するだろうか?
ただのコンクリートになっていないだろうか?
地味だけど、こういう場所へ通勤し日々頑張ってくれる人がいるから水道水が安定して供給されている。
こういう事を忘れないようにしよう。
遊び・学び尽くすには時間の足りない、日帰り旅だった。
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