【不定期雑記 #43-1】逆噴射小説大賞2024、セルフライナーノーツ
ドーモ、透々実生です。
今年もやって参りました、逆噴射小説大賞! 今回で私は4度目の参加! つまりは、この大賞と出会ってからもう4年! 今年のも合わせて計9発撃ち込んできたことになります。
飽き性の私からするとかなり長い付き合いとなった大賞に、今年も2発撃ち込みました。
この記事は、参加にあたり意識したことと自作解説となります。お時間ある方はぜひ寄ってって下さいな。
今年意識したこと(前置)
さて、本編の前に。
私が「今年意識したこと」は、大きく分けて3つです。
まず「楽しく書く」。当たり前ですが、「とにかく俺の書きたいモノを書くぞ!!」という意志を持って書くことを大事にしました。
そう決めたのは、昨年の逆噴射小説大賞の私の執筆経験に要因があります。包み隠さず言うと、あの時の執筆は「苦痛」の一言でした。何せ、2作書き終えた後に抱いた感覚が、達成感ではなく解放感に近かったのですから。「いやァ、満足いくものが書けた!」ではなく、「ようやく書き終えた……」である、とすればより分かりやすいでしょうか。当時は書き終えた後、私はめちゃくちゃに疲れてしまい、「もう2024年度は参加しなくてもいいかな……」と本気で考えてた程です。
これは創作論とか技巧とか関係ない持論になりますが、そんな良くない精神状態で書いても良い作品なんて生まれる筈もない。そもそも、逆噴射小説大賞のレギュレーション公開時の記事にも、こう書かれています。
ということで、まずは「自分が書きたいと思った作品を、楽しんで書く!!」ということを第一に据えようと決めました。今まで通り真面目に取り組みましたが、今年はある意味肩の力は抜きながら書けたかもしれない……とも思います。
次に「流れ・速度を意識する」です。私の場合、「俺の書きたいモノを書くぜ!」と書くと、大体800字を超えて1,000字くらいになったりします。しかし、この大賞は800字という極めて厳しい(本当に厳しい!)制限がある以上、超えた分はどうにかして削らないといけません(800字超えない方は本当に凄い……)。
で、そんな削り方をすると何が起こるか。簡潔に言うと、流れが悪くなるのです。どこか話の展開が性急になったり、展開に必要な要素がいつの間にか抜け落ちて「そもそも何でこんな展開になったのか?」となったり。最悪な場合、最初にあった勢いが削がれてしまったり、複数の話の流れがぶつ切りにされたまま何となく繋がる様に順番に並べられたりしかねません(昨年私が書いた作品が、そういうことになっていました)。
なので、「話が1つの流れとして繋がっているか?」「その展開の速さは適切か?」に大きく焦点を当てて、推敲をすることにしました。これがまあ難しく、今年の1作目は6〜7回、2作目に至っては13回もリテイクをかけました。上手くいっているかどうかは、選考結果を待つこととします。
少し話を発散させますと、そもそも書き始める前に「こういう話の筋で、こういう部分に絞って書く!」とやれば、恐らく上記の問題は発生しにくいものと思われます。ただ、「初期衝動に任せて小説を書く!」という書き方をしている私には合わず、そういう書き方ができる方は本当に凄い……と思います。
そして3つ目。「『他者』に見てもらう」。今回の応募作品は2作とも、同じく小説を書いている妻に読んでもらい、意見を貰いながら書いていました。すると、私の言葉遣いが適当な部分だったり、流れがおかしなことになっていたり、尻すぼみになっていたりと、かなり重要な指摘を幾つも貰えました。すごい忙しい中見てもらって、本当に感謝してます。
また今回、chatGPTも推敲者として使用しました。今の生成AIはかなり賢く、「こういう観点で直すべき点を見て下さい」と指示してから小説全文を放り込むと、本当に修正点を幾つも挙げてくれます。具体的に何を指摘されているか分からないものは、追加説明を求めると例示付きで示してもくれます。無論、「それを取り込むと逆に悪くなりそうだな……」というモノもあり、鵜呑みにするのは危険だとも思います。が、正直使ってみると「確かに!」と光明が差すこともあります。未挑戦の方はぜひお試しあれ!
……と、こんな感じです。
なお、妻への感謝の印として、妻の書いたWEB小説を載せておきます。乙女風ホラゲーの生首大好き令嬢に転生した女性が、自らに降り掛かる悲惨なバッドエンドを回避すべく、ホラーな館を笑いの絶えぬ館に変える話。キャラが個性的で面白いので、よろしければ是非に!↓
では、本編です。
セルフライナーノーツ(本編)
【プラクティス】haUnting
・これじゃ賞レースでは良いとこまで行けなさそうだな、と思って投げたものでしたが、なんか思ったよりも読まれたようでビックリしました。皆さんこういうお話がお好み……?
・去年から完全に趣味でホラー小説を読んでおり、その時に得たホラー小説としての手触りみたいなモノを、この800字の中に詰め込んだ感じです。『近畿地方のある場所について』『かわいそ笑』『全国一斉霊的感知力テスト』『西濱██氏に関連する分類待ちの情報』『N』『フェイクドキュメンタリーQ』『つねにすでに』(短編連作的なモノです。お気に入り2つほど貼っておきますが、若干閲覧注意。『Experiments』『Oracle』)などの嫌なホラーを主体に吸収しまくってたので、そういう側面の強い作品になりました。まあ、上記の作品の要素は全く入ってないので、雰囲気として入れたって感じですが。
・本戦没理由は上記記事内に書いたので省略。
【本戦1】ブラッディ・エンジン:2.5
・「否が応でも物語を展開せざるを得ない作品」のフォーマットとしてレースモノを書こう!と思ったのが最初の着想元です。また、昨年の本戦作がどちらも暗めだったので、明るい作品を楽しく書こうと思ったこと、映画『ファイナル・デッドサーキット』の冒頭を(妻の勧めで)見たことを理由に、「じゃあレースゲームをもっと突き詰めてヤバいモノにしたら面白いんじゃね!?」と思ってできたのが本作品でした。
・この作品で特に重視したのはスピード感、そしてバカバカしさです。
・スピード感は、話の流れを失わず、かつ必要最低限の表現量や会話で描写する(もっと言ってしまえば、「何が起きたか」を直接書かず、読者の想像力で補完してもらう――読者側の想像力を信用する)ことを重視しました。例えば、後半部分のアクセルを踏み込んで壁に突っ込まんとする描写は、地の文のどこにもアクセルを踏み込むとかそういう描写を入れていません。
・バカバカしさは、主に表現や舞台設定に盛り込みまくりました。列挙すれば、
などなど。結局ですね、こういうのを考えている時がいっちゃん楽しい。本当は、「出血大サービスだ!」の後に「出血してんのはこっちだよ畜生!」とかの返しを入れたり、後続の車が車体からミサイルを錬成している描写を入れたりしたかったですが、そこまではできず断念……。やりたいことは、続きを書く時にさらに色々盛り込みてえなァ……と思ってます。
・あとは、主人公であるレーサーの過去を少し匂わせたり(しかもあんまりロクでもなさそうな過去)、会話文や地の文の表現を練ったり、そういうことをして整えていった感じです。今年も初日0時の発砲を心掛けていたので、間に合って良かったです。
・そして読み味がかなり良かったのか、Twitterにて数多くの感想を頂けました。書いて良かったと心底思いました。本当にありがとうございました!
↑PU頂けました!ありがとうございます!
・ちなみに先にも口走りましたが、こちらの作品は続きを書く気があります。順序としては後回しになるかもしれませんが、バカな表現とかスピード感を蓄えておきますので気長にお待ち下さい。
【本戦2】美食人鬼、最後の晩餐
・突然ですが私『ダイナー』という作品が好きでして(ちなみに映画、漫画のみ。小説未読。いつか読みたい!)、どこかでグルメモノを題材にして逆噴射小説大賞に投稿したいな〜、と2年くらい前から思ってました。で、「グルメかあ……人肉でも調理する?」と思い立ってできたのが今作でした。なんでそうなる。
・当初からかなりプロット、話の筋の変更が加わった作品で、流れや勢いの意識にまで気を配った結果、13回もリテイクをかける羽目になりました。執筆は計画的に……。
・最終的には、「人肉グルメ旅の始まり!」をベースに、『夏目アラタの結婚』の冒頭や、脱獄モノの要素をぶち込んでできたのが本作品となりました。
・なお、刑務所名は適当な架空のものです。実在する場所を扱うとそれはそれで問題になりそうなので……。
・あとはキャラ紹介でもしときますか。まずは美食人鬼、アンドレア。当初は、「良いモノを食べまくってきたので、自分の肉は美味いはず!それならめちゃくちゃ美味しく料理してくれるコックを呼ぼう!」という女性でした。こっちはこっちでヤバい。結局、自分の肉をそこまでして食べたいという設定に納得性が無かった(または、800字に詰め込むには説得力を持たせるのが難しかった)ので、「最後に目いっぱい、人間のお肉が食べたい!」と動機をすり替えました。……どのみちヤバい人だわこの人。でも私、こういうネジぶっ飛んだ女性が大好きでェ……(関わりたくないけど量産する。戯言シリーズの哀川潤が性癖と言えば分かる方は分かるかと……)。
ちなみに、通り名は「美食」と「美しい食人鬼」のダブルミーニングです。
・料理人、メルグ。今回の被害者。名前は「グルメ」を反対読みしただけ。こういう名前になると国はどこになるんですかね。
ちなみに当初は「トニオ」という名前でしたが、どう考えてもジョジョのあのコックを想起する(と妻から指摘が入った)と、代わりの名前を2秒で妻が考えてくれたのでそのまま採用・変更しました。
なお、「『これで死んでも良い!』と言わせた人を本当に死なせた」くだりは、続きを書いた時に真実が開示されます。続きを書くかは気分次第ですが!
・あと、刑務所についてあんまり知らなかったので、この話を書くにあたり、インターネッツの知識を総動員させました。看守と刑務官の違いはあるのかとか、看守が携帯する武器はあるのかとか、刑務所と監獄は何が違うのかとか、勉強になることは多かったです。
・本当は書きたいコトがまだまだ沢山ありました。アンドレアが人肉食に目覚めたキッカケとか軽く触れたプロットもありましたし、粗雑な料理を刑務所から出されて大半を残してたりする描写のあるプロットもありました。文字数の制約で泣く泣くカットしましたが、続きを書ければぜひ書きたいところですね……!
・なんと、こちらの小説もピックアップ頂けました! ありがとうございます……!!
未来へ
ということで今年もぶっ放した訳ですが、これからもこんな感じに、マイペースに楽しく小説を書いていければ良いなあ、と思ってます。あとは結果を坐して待つのみ。
そして今年は、ピックアップなるものも挑戦してみようと思います。今までは「私が他人様の作品を勝手に選ぶなんて烏滸がましい!」と思ってましたが、「もうそんなん知るか!私の好きなものを宣伝して何が悪い!!」と思ったので。なんか問題あれば消しますので、そこは遠慮なくご連絡下さい……(今までほぼやったことないので、変なことしないか気がかり)。
ということで、次回へ続きます!↓
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