就活自殺を考えた時の話。
そういえばあれは、3年前のちょうど今頃の時期だった。
たったひとつの内々定すら取れずに独り絶望の中におり、母親に泣きながら電話してこう尋ねた。「こんな娘でも、居た方が良い?」と。
住んでいる場所が近いこともあり、特に仲の良かった友人が1人いた。
その友人もとても苦労したようだったが、6月には地元企業での内々定が決まり、卒論やバイトに打ち込んだり、こっちでの残り少ない生活を楽しんでいるようだった。
同じゼミを受講している学生らも既に進路先が決まった人が多くを占めていて、独り、取り残された気分でいっぱいだった。
就活エージェントや大学の就職課、ハロワの新卒向けのコーナーで何度も書類を見てもらったり模擬面接も受けたが、特に問題はないとのことだった。
なのに、内々定が出ない。書類すら通らないことも未だにざらにある。もう、これ以上どうしたら……途方に暮れていた。
9月に入ってすぐのある雨の日、私は母親に電話をかけた。それは何てことない日常的なものであったはずだが……気が付いたら涙が溢れ出ており、私は母親に、「こんな娘でも居た方が良いのか」と問いかけていた。
何だか感動的な展開になりそうだが現実はそうもいかず、母親は慰めることもなく私を怒鳴りつけていた。
「何でそんなこと言うんよ!? あんた、友達も彼氏もいるのに!」
今思えば、じゃあ友達も彼氏もいなかったら死んでいいのか? って思ってしまうのだが当時の私は何も返答できずただ泣いて、「もう少し頑張る」としか言えなかった。母親は人の気持ちをあまり考えることができない人で、こういうこともあった所為か実家にはあまり帰りたくないのだ。
その後なんとか内々定をいただけた企業があって4月には就職できたけど、結局1年で辞めて今は就活自殺ならぬ転職自殺を考えている。「いやぁ、人生何があるか分かりませんね」と、遠い目。
「就活自殺も考えたけど今はぼちぼち楽しくやれています」
そう書けたらどれだけ良かったか……。
あーでもひとつ思うのは、「企業のために自殺するのはなんか馬鹿らしくね?」ってこと。就活自殺を考えるのって真面目な人が多いでしょう。私も変なところが真面目なんで、同じように就職できないから死ぬしかないな……って考えていたんですけどね。なんか、それってあほくさ、って思う面もあって。
就活自殺者が出ようと企業は何も思ってくれないし何も感じてくれない。ただ若者の自殺者数が増え遺族の数も増えていくだけ。それってあまりにも歯がゆいというか、釈然としない。
死ぬの、もうちょっと先送りにしてみない? って思うんですよね。
私はそうやって生き延びている。何やかんや自殺って怖いし……っていうのが本音かもしれないけど。
勇気さえあれば死ぬのなんて一瞬でできることだし、もう少し、もう少し……って先送りにしていると、その内何かが変わるかも……しれない。