ハンセン病療養者の短詩を読む ⑥肉親への思い ―訪いゆく時はなけれども―
ハンセン病患者たちは、肉親の元を離れて、あるいは強制的に離れさせられて、療養所に暮らした。
そのあとの肉親との関係は、必ずしも良い関係とは限らなかった。
患者の肉親であることで、世間の差別を受けたからだ。
患者の側も親族の状況を察するが、察しても思いが消えるものではなかった。
逢ひに来し母と蛙の闇に泣く 片山爽水
母とともに泣く。親子の絆であるが、苦しい絆だ。蛙の闇は、蛙の声のひびく闇だ。たくさんの蛙の声に囲まれて、一組の親子が泣いている。
父もあり母もある子が癩院に