読書記録 「無理ゲー社会」
新型コロナウィルスのワクチン接種の2回目が終わった。その翌日から、少し熱が上がり、脈が速くなり、首の後ろが痛くなり、どうもかったるい感じがした。これも「副反応」というものかと思ったが、一見して具合が悪そうには見えなかったらしく、いつも通りに買い物に付き合わされ、8㎏の水のボトルを運ばされた。
野次馬根性が強く、話題になった本は気になってしょうがない。タイトルからして「無理ゲー社会」。「無理ゲー」って何かと思いきや、「難易度が高くクリア・攻略するのが困難なゲーム」のことをいうらしい。
何が「無理ゲー」なのかは、この先触れることもあるかもしれないが、本書でも採り上げられる「メリトクラシー(Meritcracy)」という単語が気になった。「能力主義」と訳されることが多いが、著者も指摘しているように、「・・・cracy」には「支配」という意味もある。そうすると、メリトクラシーは「能力による支配」とも読める。
1~2か月前に読んだマイケル・サンデルの「実力も運のうち 能力主義は正義か?」でも「メリトクラシー」をテーマとして採り上げていたので、それが頭の片隅に残っていたのかもしれない。余談だが、マイケル・サンデルのオリジナルの題名は「The Tyranny of Merit」、直訳すれば「能力(功績)の横暴(圧政)」。邦題と比べると凄みが全然違う。次からは翻訳を待たずに原書で読もうかと思ったくらい(できたら最初からやっているはずだが)。
「メリトクラシー(Meritcracy)」という言葉を作り出した、イギリスの社会学者マイケル・ヤングは著作のなかで「Merit=Inteligence(知能)+Effort(努力)」と定義づけたという。つまり、「努力をすれば報われる」ということだ。その考えは、現在では世界中に広く浸透しているが、それを貫徹することが、反対に都合の悪い現実を引き起こしている。「努力は必ず報われるとは限らない」または「努力したくてもできない」こともあるのだ。そういう状況に置かれた人たちを「自己責任」で切り捨てていいのか。それが課題だ。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?