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【企業インタビュー】里山を楽しむクラフトビール醸造所を新設、課題だったマーケティングで副業人材を活用

地域ぐるみで有機農業に取り組む岐阜県の白川町。株式会社Sunpoはこの白川町で有機農業を営む傍ら、里山の魅力を伝えるため農業体験などのアクティビティを提供しています。

同社は2023年にビール醸造所を開設して、クラフトビール造りにもチャレンジしています。地元の農産物を使い魅力あるクラフトビールを完成させたものの、課題となったのがマーケティング。どんなターゲットへどうアプローチすれば良いのか、悩んでいたと言います。

そこでクラフトビールのマーケティング戦略を立てるため、副業人材の活用を決断。今回は副業人材活用の経緯や現状について、同社代表の児嶋健さんにお話を伺いました。

―まずは御社の事業について、教えていただけますか?

有機栽培の農園を、私と妻と数名のシーズンスタッフという体制で運営しています。農業がメインですが、それ以外にも何足も草鞋を履いているような感じで、いろいろなことに取り組んでいます。

最近は自然環境に配慮した有機栽培が見直されていて、有機栽培に取り組む仲間が増えてきました。そこで有機農家のネットワークとしてNPOを立ち上げ、農産物販売や移住支援なども行っています。実は私も12年前、愛知県から有機栽培をやりたいと思って移住してきました。

最近力を入れているのが、都市部から来た方向けの農業体験や川遊び、バーベキューといったアクティビティですね。やはり地方には人口減という大きな課題があります。ですからツーリズム事業を通じて、白川町の魅力を知ってもらい、ファンを増やしていきたいと考えています。


―副業人材を活用しようと思われた背景を教えていただけますか?

2023年、地元にクラフトビールの醸造所を開設しました。ビールにしたのはビール造りに詳しい友人がいたということもありますが、「地元の素材を使って自分たちでビールを造れたら面白いよね」というシンプルな発想です。

クラフトビール造りに取り組んでみて、気になったのがマーケティングでした。農産物の販売や農業体験などのアクティビティについては、これまで明確にターゲットを決めて自分たちでマーケティングをして、うまく行っていました。

ただビールはお酒ですし、今まで私たちが扱ってきたものとは違います。ですからターゲットや発信方法なども、従来と変わってくるかなと思いまして。そこであらためてしっかりマーケティングをしたいと考えていました。

ちょうどその時期に、地元の商工会からSkill Shiftのことを紹介していただきました。一部の費用を自治体が補助してくれる制度もあるということでしたので、チャレンジしてみようと思いました。

副業人材の方にお願いするのは今回が初めてでしたが、説明会や勉強会にもできるだけ参加して、よく理解してから始めることができましたので、不安はなかったですね。

―副業人材の募集にあたって、どのような人に来て欲しいと考えていましたか?

社会貢献に関心がある、ボランタリー精神のある方に来て欲しいなと思いました。私たちはいろいろな事業を手掛けていますが、全ては地元の豊かな自然を守りながら、活かしていくという発想がベースにあります。クラフトビール造りも、とにかくビールを売っていきたいということではなくて、おいしいビールを通じてこの地域の良さを知ってほしいという想いで始めました。

ですからその想いに共感していただいて、一緒に楽しみながらやっていただける方がいいなと思っていました。

―副業人材の選考方法について教えていただけますか? 

Skill Shiftで募集をかけたところ、30名の方から応募いただきました。できるだけ多くの方と話したかったのですが、私自身も当時クラフトビール醸造所の立ち上げなどでバタバタしていたので、書類を拝見してまず8名に絞りました。

皆さん素晴らしい経歴ですし、正直私だけでは選ぶのは難しいなと感じました。そこで、周囲の関係者にもご意見をいただきながら選考しました。

選考にあたってまず基準がひとつあった方がいいかなと思い、「一般的なことを書いているのではなく、弊社のことや白川町について書かれているか」を見ました。やはり私たちの事業や白川町について関心を持っていただいているかは大切ですから。あとはビールなどお酒の業界につながりを持っているかという点もポイントかなと思い、確認しました。

私たちは地元の豊かな自然のことを「里山」と呼んでいまして、面接を行った際にも「里山にどう関わっていただけるか」について伺いました。あとはマーケティングでの募集でしたので、どういうターゲットがいいかについても聞いてみました。あまり詳しい話になると仕事になってしまいますが、ある程度具体的な話を聞いて判断したいと思いましたので、可能な範囲でお話いただきました。

実際に面接をしてみると、皆さん本当にしっかりした考えをお持ちで、素晴らしい回答をいただいたので迷いましたね。最後は私の直感といいますか、フィーリングで40代の女性の方を採用させていただきました。

―採用の決め手になったポイントは何でしたか?

その方は都市部でフリーランスのコンサルタントをされている方で、地方の案件を手掛けた経験があるということでした。マーケティングやブランディングなどの専門性も高く、いろいろな提案がいただけそうかな、というところがポイントでした。

なお女性の方を選んだのは、実は私の妻がもともとマーケティングに近い仕事をしていまして、女性の感覚がマーケティングにマッチしているかなという気がしたからです。

―採用した副業人材の方へ依頼した業務内容や期間について教えていただけますか?

2023年9月に契約しまして、まずはブランドのステートメントを固めるため農園や地域の魅力を深堀しましょう、ということで月2回のオンラインミーティングを行いました。

お話をする中で、具体的な施策に行きつくまでには少し時間がかかるかなという印象がありまして。やはりマーケティングというものは、すぐに結果が出るものではないですから。

そこで3か月ほど経ったときに、一旦副業人材の方とのやり取りをお休みすることにしました。私の仕事がちょっと忙しくなったこともありますが、あらためてどこまでコミットするか、私自身もう少しはっきりさせてからお願いした方がいいかなと思ったからです。

いろいろな情報をもとに組み立てていくことも大切なのですが、クラフトビール造りは全く新しいチャレンジですから、私としては直感や情熱といったものが大切だと思っています。そのあたりをこれから副業人材の方とどう共有していくかについても、よく考えた上でリスタートしたいなと考えています。

―今後の展望について教えてください。

私たちの事業のビジョンは、ただ農業をするというものではなく「楽しい里山を作って、持続可能な山間地を作っていく」というものです。これを実現するには、都市部の方々とも繋がって、地方の良さを都市部の方に知っていただくことが不可欠だと考えています。

現在取り組んでいるクラフトビール造りも、そういうことがベースにあってスタートしました。そういう意味でも、都市部にいる副業人材の方と繋がりながら、これからもチャレンジしていきたいと思っています。

COMPANY PROFILE

株式会社Sunpo
〒509-1431 岐阜県加茂郡白川町黒川2482-3

https://farm-sunpo.com/

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