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ワーケーションの本当のメリット

「ワーケーションって何が良いの?お金と時間をかける意味があるの?」という疑問を検証するために、ワーケーションを始めました。実際に80日間10都道府県でワーケーションをしてみた結果をご紹介します。

【1】ワーケーションとは

リモートワークの広がりとともに、ワーケーションという言葉もよく聞くようになってきましたね。ワーケーションとはざっくりこんな感じです。

・ワーケーションとは「Work」+「Vacation」。

・普段の居住地から離れて、普段と違う地域/街で働く、生活する。

・仕事が停滞することは無い。(観光だけでなく、仕事もしっかりする)

・働きすぎな日本人の価値観が変わり、より豊かな人生を実現できる。

・ワーケーション先として受け入れに前向きな自治体は非常に多い。

・ワーケーションに関する協会やワーケーションに関するサービスを提供する企業も多数存在する。


【2】ワーケーションのメリット(よく言われること)

では、ワーケーションにはどんなメリットがあるのか。よく言われるメリットを「生活者(働く私たち)」「企業」「都市」の3点からまとめると、次のような感じです。

■「生活者(働く私たち)」にとってのメリット

・観光を楽しみつつ、働ける。

・普段よりもリラックスした環境で働ける。

・普段と違う環境で働くことでクリエーティブな発想が生まれ、より大きな成果が生まれる。(ex.東京を離れて自然豊かな地方で働くと発想が変わる)


■「企業」にとってのメリット

・社員の心の健康につながる。健康経営を促進できる。

・社員の有給休暇取得につながる。

・地域との連携により、新たなビジネスチャンスが生まれる。


■「地域」にとってのメリット

・訪問人口が増える。観光収入が増加する。

・気に入ってもらうと、「再訪」「二拠点居住」「移住」へつながる。

・大都市圏の企業誘致のきっかけになる。

つまり、地域が活性化する。


【3】検証結果

ワーケーションを始めて1カ月経ったころ、「よく言われるメリットって、半分くらいは確かに本当。でも残り半分は嘘かもしれない。」と気づきました。

■本当だったこと

・とある1週間、出社する必要がなく、打ち合わせをすべてリモートで済ますことができれば、問題なく仕事はできます。

・普段と違う場所、特に海や山の近くで生活するとリラックスして働くことができる。これは本当にそう思います。

・私がプランナーであることを知った旅館の女将から経営の悩みを相談される機会もありました。とても小さな話かもしれませんが、こういうことから新たなビジネスチャンス創出の可能性はあると思います。


■嘘になりかねないこと

・「仕事が停滞することは無い」は嘘になりがちです。やっぱり観光地に行くと、遊びに行きたいですものね。相当強い覚悟が無いと、ついつい観光ばかりしてしまいます。それが人というものだと思います。

⇒事前にワーケーション中のスケジュールを立てておくことが大切です。「この日は1日観光」「この日は宿にこもって仕事する。がんばったご褒美に、夜ごはんで地域のおいしいものを食べに行く」などメリハリをつけることで仕事の停滞を防ぐことができます。

・「普段と違う環境で働くことでクリエーティブな発想が生まれ、より大きな成果が生まれる」は言い過ぎですね。環境を変えればすぐに今まで持てなかった発想が生まれるなんてことはありません。環境を変えればクリエーティブになる、そんなスーパーマンみたいな人材は普段の環境でもクリエーティブな発想がどんどん生まれるので、わざわざ時間とお金をかけてワーケーションする必要はないと思います。

※ただし、普段と違う環境で生活してみることは「クリエーティブな体験の蓄積」になります。この蓄積が何年後かにクリエーティブな発想につながることは本当だと思います。

結局、目的/計画を明確にしてワーケーションに臨まないと、「ワーケーションってただの旅行ですよね?」になってしまうと思います。


【4】それでも、ワーケーションはおすすめできる

ワーケーションを取り入れることは「生活者」「企業」「地域」にとって一定の効果があるとは思います。

ただし、「仕事の成果」という点にフォーカスした場合、ワーケーションはさほど効果が無いと思います。(ex.「遊んでばかりであまり仕事しなかった」「すぐにクリエーティブになんてなれない」)

それでも、私はワーケーションはおすすめできると考えています。80日間10都道府県でワーケーションの経験を重ねた結果、「ワーケーションの本当のメリット」を感じたからです。


【5】ワーケーションのメリット(本当のところ)

「ワーケーションの本当のメリット」は2つあると考えています。

本当のメリット① 「自分/家族の生き方にフィットする街」の発見

1週間程度、1つの街に滞在してワーケーションをしていると、観光の楽しみだけでなく、働きやすさ、生活のしやすさもなんとなくわかってきます。「仮に、これからの人生をここで過ごしたらどうだろう?」ということも考えたりします。

「観光」に「働く」が加わることで、観光目的だけでは見えなかった「その街の良さ/不都合」が見えてきます。最初の2日間は「大自然に囲まれてすごくいいとこ。住みたいくらい。」とか思っていたのに、数日経つとすてきな風景にも慣れてしまい「生活用品を買うのも不便だな。仕事の息抜きできるカフェが少ないな。」とか。逆も然りで、「意外と過ごしやすいな。今住んでいる街より楽しく生活できそうだな。」と思いなおすこともあります。

1週間のワーケーションで、「自分にフィットする街」が見えてきます。

日本には1,724の市町村があるそうです。実は、いま住んでいる街以上に「自分/家族にフィットする街」があるとしたら、残りの人生をその街で過ごす、あるいは時々その街に訪れる。そんな「自分/家族の生き方にフィットする街」を発見するために、ワーケーション(というお試し生活)はとても役に立つと考えます。


本当のメリット② 「日本のことをもっと好きになるきっかけ」の発見

ワーケーションを続けていると、「観光する(遊ぶ)」と「働く」の間にある「学ぶ」という存在を意識し始めます。例えば、観光先として歴史遺産や博物館を多く入れてみたり。おそらくは、「この街でこれからの人生を過ごすとしたら・・」ということを意識し始めるからでしょうか、この街この地域の歴史を知っておきたいという意欲が高まるのではないかと推察しています。理由はどうあれ、全国各地でのワーケーションを重ねることで、私はその地域さらには日本のことを今までより知ることになり、日本のことをもっと好きになりました。


上記2つのメリットを追うという点でワーケーションを人生に取り入れることは意義ある試みだと考えています。

一方で、多くの企業がワーケーションを取り入れ、ワーケーションが定着するためには、「仕事の成果を保つこと」が課題だと考えます。どうすればこの課題を解決できるのかはまた後日ご紹介いたします。

ありがとうございました。


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