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2024年の振り返りと今年の抱負

遅くなってしまいましたが、今年もどうぞよろしくお願いいたします。今年最初の記事では、私にとっては激動の一年だった2024年を振り返り、今年の抱負を述べたいと思います。昨年は初めての経験が多く「挑戦が盛り沢山の一年」でした。以下、教育・研究・hel活の観点から、ハイライトとなる出来事をまとめます。


教育について

卒論指導

今年度、菊地ゼミでは14名が卒業論文を提出しました。各自が自分の関心を発展させ、興味深い論考にまとめてくれました。以下、今年度の卒業論文の題目リストです(これまでの題目リストはこちら)。

「話しことばにおけるain'tの社会言語学的研究―アメリカ大統領・副大統領・ファーストレディに焦点をあてて―」
「現代英語における固有名詞を含むイディオム」
「現代英語におけるcanの否定形の使用状況の調査―通時的・共時的観点から―」
「現代英語におけるdouble-beの使用状況の分析―通時的・共時的視点から―」
「世界英語における不可算名詞の複数化」
「現代英語における法助動詞needの使用状況と特性」
「現代イギリス英語における不定代名詞選択の分析」
「hero・heroineの使用状況から見る社会的性差」
「シェークスピアの『リチャード3世』における動物を表す語を用いた擬物化メタファーー登場人物のジェンダーと文脈に着目して―」
「『ハムレット』における二人称代名詞」
「Alice's Adventures in Wonderlandにおける形容詞の配列順序」
「『リトル・マーメイド』におけるAAVEの特徴の分析」
「ディズニー映画における言葉の男女差―The Princess and the Frog (2009)とWish (2023)の比較―」
「英語における「月経」を表す婉曲表現」


私自身も卒論指導を通じて、英語に関する幅広い問題について多くの新しい知見を得ることができ、知的好奇心がとても満たされました。一方で、前年度から指導する人数が倍増したため、想像以上に指導が大変でした。反省点ばかりです。次年度は今年度の反省を活かし、より早い時期から計画的に執筆を進めるよう指導したいところです。

※ 卒論を書き終えたばかりの4年生に聞いてみたところ、卒論は「自分事」なのに、締切が近づくまで「先生や周りの人が騒いでいるけど、何とかなるでしょ」等と「他人事」のように考えてしまうそうです。締切間際になって、「先生や先輩達が言っていた通り、もっと早くから動けばよかった、もっと本を読んでおけばよかった」と後悔している学生が毎年いかに多いことか…現3年生にはこの傾向に終止符を打ってもらいたいところです。

教育実習の訪問指導

菊地ゼミの4年生は教職を取っている学生が多く、昨年は初めて教育実習の訪問指導に行く機会に恵まれました。普段とは異なるゼミ生達の姿を見ることができとても新鮮でした。訪問指導で思わずhel活をしてしまったお話はこちらから。

英語史関連の書籍の講読

昨年は演習の授業で英語史関連の書籍を合計3冊講読しました。本務校の3年生向けのゼミではR. L. TraskのLanguage Changeを講読し、言語変化全般についての理解を深めました。非常勤で務めている慶應義塾大学では、前期はPeter TrudgillのThe Long Journey of English: A Geographical History of the Language(2023)を扱い、英語の世界展開について理解を深めました。後期はHelene Seltzer Krauthamerの The Great Pronoun Shift: The Big Impact of Little Parts of Speech(2021)を講読し、人称代名詞の体系に現在生じている、あるいは生じつつある大きな変化について議論しました。

授業では数えきれない程多くの学びがありましたので、時間がかかりそうですが少しずつnoteで共有していきたいと思います。書籍講読関連の記事は以下のマガジンにまとめてありますので、よかったら覗いてみてください。

研究について

シンポジウムに初登壇

6月に日本大学で開催された近代英語協会第41回大会にて、「初期近代英語期におけるスペリング」と題するシンポジウムに講師として登壇させていただきました。スペリングの諸問題について専門的にご研究されている堀田隆一先生(慶應義塾大学教授) 、寺澤志帆さん(慶應義塾大学大学院生)、山口美知代先生(京都府立大学教授)とご一緒させていただきとても貴重な経験となりました。私は「EEBO-TCPを用いた初期近代英語のスペリング研究の可能性」という題目で方法論に関する導入的なお話をしました。発表の要旨はこちらからご覧になれます。

近代英語協会第41回大会プログラム

共著論文デビュー

研究仲間の高橋佑宜先生(神戸市外国語大学)、矢冨弘先生(熊本学園大学)と研究ユニット(VaCE; Variation and Change in English)を立ち上げ、本格的に共同研究を始めた一年でもありました。VaCEによる初の成果物である「デジタル・ヒューマニティーズにおける初期近代英語の研究リソース―EEBOを中心に据えた新しい類型の提示―」は、11月発行の『専修人文論集』第115号に掲載されています。こちらについては改めて紹介記事を執筆する予定です。今後も継続的に成果を発信する予定ですので、温かく見守ってください。

hel活について

helフェス&英語史ライヴ

昨年も大学の枠を超えた学術交流に積極的に参加することができました。まず、3月に開催されたhelフェスでは、慶應義塾大学と法政大学の英語史ゼミのみなさんと刺激的な学術交流がありました。当日の様子については、以下のheldioをご視聴ください。

また、夏のイベントでは、3年生との箱根での合宿やkhelf主催の12時間に渡る前代未聞の英語史イベント「英語史ライヴ2024」が特に印象に残っています。「英語史ライヴ2024」では、全国津々浦々から参加されたヘルメイトのみなさんと対面でお話しすることができとても嬉しかったです。

私は当日、英語史クイズの出題者を務めました。私が出題した問題は以下の記事にまとめてありますので、当日参加できなかった方は是非挑戦してみてください。


今年も昨年以上に積極的に英語史関連イベントに携わっていきたいです!

noteデビュー

そして2024年最大のイベントは、noteで英語史関連の話題を発信し始めたことです。あまり更新頻度は高くありませんが、いつも読者のみなさんに反応していただき大変励みになっています。noteでのアウトプットは、新しく仕入れた知識を定着させたり、自分の考えを整理したりするのにとてもよいですね。これからも自分のペースで続けていきたいと思いますので、応援よろしくお願いします。

noteを始めて痛感したことは、「日々継続することの難しさ」です。ゼミ生には卒論指導の度に継続性の重要性についてよく話すのですが、自分自身がもっと頑張らないとダメですね…日々、複数のメディアで英語史の普及活動にご尽力されている堀田先生への尊敬の念を強めることになりました。堀田先生、超人すぎてgærs

今年の抱負

不器用な私ですが、今年は「心身健全」をキーワードに掲げながら、新しいことに次々と挑戦していきたいと思います。今年は昨年よりも多くのチャレンジが待ち受けている濃厚な一年になりそうな予感がしています。今後も温かく見守っていただけましたら幸いです。

初詣はパワースポットとして有名な御岩神社に行ってきました。

今年もみなさんにとって健やかで実りの多い一年になることを祈っています。授業や学会、英語史関連のイベント等でお会いできましたら嬉しいです。引き続きご指導ご鞭撻のほどどうぞよろしくお願いいたします。

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