『あしやからの飛行』(1964)【海外映画の中の“日本”】
在日米軍の全面協力と、大映の『大魔神』スタッフが
手掛けた特撮による、リアルな映像が見どころ?
…と言いたいけど、まぁイイじゃないか。♪(笑)
因みに、“あしや”は兵庫県の芦屋じゃなくて、
福岡県の芦屋基地。
台風が荒れる東シナ海で遭難した日本船乗客救助のため、
アメリカ空軍・航空救難隊の水陸両用機が現場に向かう。
その中のメンバー3人は、それぞれ戦争で受けた心の傷を
抱えており、今回のミッションを通してそれに向き合い、
乗り越えてゆく…というストーリー。
◆スティーヴンソン(リチャード・ウィドマーク)
…作戦指揮者。フィリピンで妻を日本人に殺される。
◆グレッグ(ジョージ・チャキリス)
…操縦士。アルプスで、自分の操縦ミスが引き起こした
雪崩により、要救助者を多数犠牲にしてしまう。
◆マイク高島(ユル・ブリンナー)
…パラシュート隊員。チュニジアでの作戦中、恋人を
自ら仕掛けた爆弾で死なせてしまう。
リアルタイムで進行する本筋の救助活動よりも、
フラッシュバックのトラウマ描写に尺を取っている。
原作本の中の2作品をミックスしたらしく、
パッチワーク感が否めないのは、そのせいかな?
スティーヴンソンの妻を死なせた悪の日本軍人には、
お馴染みのサリー中村こと中村哲が扮している。
同じ日系人という設定のためか、マイクに良く懐いた
要救助者のチャーリー少年が、やたら元気で明るく、
本作の清涼剤になってる。
あれだけの嵐で漂流し続けてたら、もっとグッタリ
なってそうだけどね。
一応ハッピーエンドっぽいけど、どこかしら哀愁が
漂うのは気のせいだろうか。
二号機の前に、一号機が着水失敗で大破して
犠牲になってるし…。
あと特筆すべきが、マイクの恋人となるムスリムの女性。
チュニジアは比較的リベラルで、「アラブの春」発祥の地。
それ以前から女性の地位向上に取り組んできた模様。
1950年代には既に、一夫多妻制や、夫からの一方的な
離婚を禁止している。
だから、ヒジャブ?アバヤ?(←違いが良く判らない)を
着てた彼女が、ビーチでビキニ姿になったのも決して
トンデモじゃないんだよね。☆