『チート』(1915)【海外映画の中の“日本”】
浮世絵から抜け出したかの様な、妖艶の美貌。
非情な眼差し。冷酷な笑み。
無慈悲なあしらい。
したり顔でくゆらす煙草。
狡猾にして卑劣。
手段を選ばぬ独占欲。
蛇蝎の如き好色漢。
東洋の神秘がもたらした、邪悪の化身。
日本が世界に遣わした、魅惑の堕天使。
―――それが、俺達の大兄貴・早川雪洲が演じる
悪の日本人、ヒシュル・トリだッ!!♪
但し日本版では、21世紀の現在においても、
“日本人の骨董商ヒシュル・トリ”が、
“ビルマ人の象牙王ハカ・アラカウ”
という設定に差し替えられている。
当時は「国辱」として、随分と内外の怒りを
買ってしまったという事だけど、後世において
雪洲の功績が高く評価されているのは
周知の通り。
“チート”=“欺瞞者”とは、本作では
妻のイーディスを指したものらしいが…
ネット世代の俺達が、本作を観る前に
想像する内容は、当然違うよな!?
そう、それは…
――― 雪 洲 無 双
←←←コレ以外に、無しだッッ!!☆
クライマックスで暴徒と化した聴衆が
雪洲に向けた殺意は実にヤバかったが、
彼ならば、圧倒的能力をもって
華麗に切り抜けたに違いないだろう。♪
ぜひ一度、雪洲出演の『ヨシワラ』(1936)を
御覧頂きたい。
本作から20年の50歳にして、
人力車、船漕ぎ、パルクールと
驚異的な運動能力を披露!
当時の日本人達は、彼に惜しみない賞賛を
贈ったに違いない。…違うというのか?
―――さあ、俺達も!今この場から、
雪洲兄貴、雪洲先生を讃えよう!!♪