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第22節:素朴さを保ち 本当の欲に従う

*これは、大学3年生の「僕」と「僕の中にいる老子さん」の脳内会話のフィクションです。

今回の内容は、前回のこちらの続きになります。


老子さんは、「道(タオ)に沿って生きていれば、生涯あやういことはない」といっている。

「道(タオ)」とは、「根源」を意味し、僕らを生み出した「もと」となる世界のことだ。

そして、「根源」にある法則性が僕らの「感情」に潜んでいるから、感情を詳しく知ることができれば「人生は安泰になる」といっている。

なぜかというと、僕らは「根源」という大元の存在を何度も何度も分割していった果てに存在しているものであって、見た目はそれぞれ違うけれど、誰もが感情を持っていていて、その感情の中に「根源」の法則が潜んでいるからだ。

だから、感情を詳しく知って、その中の法則性を見つけ出すことができれば、人生を不安なく過ごせるということらしい。

でも、どうやって感情の中に潜む法則を見つけていけばいいというんだ?

感情ねぇ‥‥?


そんなことを考えていると、老子さんは、こういうのです。

そんなに難しく考える必要はないぞ

と。

そして、話を続けます。

「では聞こう、この先、お前の人生にあやういことが起こることがない、と知ったらどんな気分になる?」

「えっ、この先、苦労しないで過ごせると知ったら、どんな気持ちになるかって? う~ん、まぁ、嬉しく感じますね。だって何も心配しないで生きていけるようになりますから」

「では聞こう、お前はどんな人が好きだ?」

「どんな人が好きか? えっと‥‥、それは好きな女性っていうことですか。それとも人としてどんな人が好きかっていうことですか?」

「両方じゃ」

「そうですね‥‥、明るく元気な人‥‥かな」

「ならば、お前が憧れる人とはどんな人じゃ」

「憧れの人‥‥? えっと‥‥、具体的には、すぐには出てこないけど、そうですね‥‥、楽しく過ごしている人に憧れるかな。僕もこれから先の人生を楽しく過ごしていきたいですから」

「では、お前が何か楽しんでいるとき、邪魔をされたらどんな気分になる」

「ムッとします。邪魔すんな‼って思うと思います」

「では、お前がムッとしているときに、いい知らせが入ったら、どう思うかの」

「そうですね‥‥、その内容にもよりますけど、きっとムッとした気持ちもすぐに忘れて嬉しくなると思います」

「つまりじゃ、そうやって人の心の中を観察していくと、おのずと心の中にある法則が見つかるはずじゃ。そして、そういったサンプルをたくさん採っていくと、誰の中にも存在する根源の本質が見えてくるようになるものじゃ。しかも、その本質が一つの法則になっているから、その法則に従って生きれば、お前の生涯は安泰になることじゃろう」

「わかりました。これから人の感情の中にある法則を見つけてみたいと思います。でも、老子さんの質問で、少しだけその法則性が見えてきたような感じもします」

「ほう。面白そうじゃ。教えてくれ」

「ええ。どういうことかというと、根源にも感情があるということですね。僕は、最初、根源と聞いたとき、無機質な大きな塊のようなものをイメージしました。なんて言えばいいのかな‥‥、真っ黒な大きな雲のようなものような。でも、根源も感情があってカラフルなんじゃないかって感じました。だから僕らの世界にもたくさんの色があって、多彩なんだってことが分かったような気がします。なので、これからサンプル集めも楽しめそうです‼」

「よかろう。ならば、お前がそのサンプル集めをするにあたって、ひとつのヒントを授けよう。これを読むといい」

老子さんは、そういうと一枚の紙を差し出しました。そこにはこんなことが書かれていた。

これを読み終えるのを見計らって、老子さんは、こういいます。

「根源にも欲求がある。その欲求をもとに、この世界は創られておる。そして、人の感情の中にもその欲求が含まれている。だから、お前がこれからサンプル集めをするときには、人の欲求に注目することじゃ。とはいえ、人の欲求にはいろんな欲求があるゆえ、ここ書かれていることを参考にするとよいじゃろう」

そういうと、老子さんは姿を消したのでした。

人生はこれからじゃぞ!! 若者よ!!

といって。

僕は、人の心の中にどんな感情があるか、また、人にはどんな欲求があるのかということを探ることにした。

ちょうど、春休みに入ったばかりなので、僕は荷物をまとめ旅に出ることにした。

つづく。



*文中の行書体で書かれている文章は老子さんの超訳本である「老子 あるがままに生きる」(ディスカヴァー・トゥエンティワン)から引用させて貰っています。


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アキタロウ
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