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Nスペ「新・幕末史」をみた

※2022.11.7更新(第2集を追加しました)

来年度の授業準備の手始めに,「科学と技術の社会史」の教材となる幕末・維新期の科学史・技術史の興味深いテーマやトピック(人物・出来事)について学びたいと思い,そのため,これまで録画しておいたテレビ番組の中で,幕末・維新期を扱った歴史番組をリストアップし,順に見ていくことを始めました。

とりあえず,私の録画ビデオのデータベースを使い,「幕末」で検索したところ,69の番組が選ばれましたが,まずは一番最近のNHKスペシャル「新・幕末史—グローバル・ヒストリー—」第1集(2022.10.16放送)と第2集(2022.10.23)を観てみました。

第1集 幕府vs列強 全面戦争の危機

この番組のタイトルに「新」と付いているのは,グローバル・ヒストリーの観点から日本の幕末を描くところに新しさがあるということなのでしょう。イギリス・ロシアなど列強の覇権争いという観点が強く出されていました。

また,米南北戦争が終わって,武器が日本に流れてきたというのも,グローバルな観点からの興味深い指摘だと思います。武器輸出の問題は,今日的な問題でもあり,注目すべきことだと思います。

さて,科学技術史の授業で使えそうなトピック探しを目的に観ましたので,その観点で言うと,大砲や銃にライフリングが施され,銃砲の威力が増したということ,幕府がオランダやフランスから技術導入を行ったことが注目されます。

また,小栗忠順ただまさが主人公的に登場したので,興味を持ちました。私はあまりよく知らない人物でしたが,日本の近代工業の始まりに非常に重要な役割を果たした人物のようです。

この番組を観ただけでは,授業の方向性は見えてきませんが,私なりのいくつかの問いを挙げておきたいと思います。

  1. 明治維新での日本の近代化にとって,薩長の貢献は良く知られているが(長州ファイブなど),幕府側の貢献はどの程度のものだったのか?

  2. 薩長とイギリスとのつながりが,倒幕・明治維新で重要な役割を果たすが,それがグローバル・ヒストリーの観点からはどのように意味付けられるのか?

小栗忠順については,もう少し知りたいと思い,知恵泉「スケールの大きな夢に挑むには? 小栗上野介・プレッシャーや逆風に勝つ極意」(2016.2.2放送)を観てみました。最近,NHK英雄たちの選択で小栗忠順について再放送があったですが,それは録画しそこなってしまいました。とても残念ですが,次の再放送を待ちたいと思います。

小栗については,その重要性が分かりましたので,今度は小栗に関する本を読んでみたいと思います。

第2集 戊辰戦争 狙われた日本

続いて,第2集も観てみました。こちらは,日本の内戦に欧米列強がそれぞれの国益から幕府と薩長に関わっていったという話で,特に私にとって新しい情報は,新潟に武器市場が出来てきたことと,プロイセンが北海道を植民地化しようとしていたということです。

科学技術史の観点からは,国際的な武器取引がどのように行われていたかということが興味深いものです。それと,自国での兵器産業の育成の話がどう関わるのかということも考えたい問題です。

人物的には,幕臣の榎本武揚が気になります。小栗とは異なり,榎本は新政府の中でも重要な役割を果たしていきました。小栗と榎本の比較なども面白いかもしれません。