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好みじゃない……だと?
映画『ショコラ』の感想です。
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北風とともにフランスの伝統を重んじる小さな村にやってきた母娘。伝統なんて何のその、お決まりの日曜日の参拝にも行かず、断食期にチョコレート屋を開いた母ヴィアンヌは村長から嫌われ、嫌がらせを受ける。しかしその常識に囚われない自由なヴィアンヌの行動と甘くて美味しいチョコレートが、徐々に村人たちの心を変えていき……。
相変わらずサイコー!!
主人公のヴィアンヌ(ビノシュ演)大好き。逆に伝統とか常識とか凝り固まったモン本当嫌い。別に長いから偉いってわけじゃない。長いものには巻かれろって言葉もあるけど、ただぬるま湯で安寧に偉ぶりたいやつがそうしてるだけでしょ? 本質を見れば一切関係ないしどーでもいい"形ないもの"に縛られなきゃいけないのまじできつい。最近またそういう思いをしたので火力高めにお送りしております。
あったんですよ……最近もそういう思いをした経験が。詳細は避けるけど、明らかに変えた方がいいことが目の前にあって、それを変えようとした時に、「とりあえずまずはみんなの言うことを聞いて、認めてもらって、それから提案とかはするべき」という"非常にありがたいご助言"をいただいて、俺は分厚くて赤いコートを着込んで北風と共にどっかにいきたくなったとさ♪ いやみんな困ってるんだからすぐに直せばいいでしょ……。
その時心の中にいたヴィアンヌが俺の胸の内をじんわり温めてくれました。そう、俺の心にはヴィアンヌがいる……。顔面はにこやかにして「はい、わかりました」って返したけど、心の内では"しっかりと"受け入れなかったからね! 譲れないものや受け渡してはいけないものがこの世界にはあって、それでしたよまさに! あなたのその考えは正しいと思えないから、受け取らないよ絶対に。受け入れたフリをしたのはただ俺が衝突を避けたい平和主義者なだけだから。なんか壮大になってきましたけども……とにかく「それはそれ、これはこれ」って別々にあることを、簡単にスプーンでかき混ぜて一緒くたにしてしまうあなたの行為、俺は決して認めません。
でもヴィアンヌのおかげで自分を保てたからよかった。これからも受け入れ難い価値観を提示された時はよろしくヴィアンヌ。でもヴィアンヌには「めちゃくちゃ美味いチョコを作れる」という圧倒的な能力がある。それがあるからヴィアンヌはかっこいい。自分を突き通すためには圧倒的な能力がまず必要なのだ(それがあってもヴィアンヌは村長にやられそうになった)。俺も早く圧倒的な能力を身につけたいし、提示して、自分が正しいと思っていてかつみんなにとっても正しいと思えるコトを実行できるような人間になりたい。その時今度は傲慢さを退けるために謙虚さをたくさん摂取する必要があるわけだけど、それはその時に考えればいい話……。
『ショコラ』は寓話チックな世界観で描かれているから好きだ。妄想好きな心がくすぐられる。そしてあまりにファンタジー寄りではないところが俺にはドストライク。普段から妄想ばっかりして街歩いているくせに、実はファンタジー純度100%みたいな映画はそこまで好きではなかったりする。
人によってこの【現実↔︎ファンタジー】の好きなラインがあると個人的には思っていて、俺のそのラインは、現実とファンタジーの真ん中からちょっとだけファンタジー寄りにいったところに引かれている。現実過ぎるのもそこまで好きではない。たとえば邦画でよくあるリアルを描きまくったバッドエンド気味の映画とか。基本はハッピーエンドの方が好きです。というわけで、ちょっとファンタジー要素がありつつも主人公はちゃんと現実を生きている『ショコラ』が大好きです。伝統大好きおじさん(村長)とゴリゴリに戦うビノシュ姐さんを愛しています。あんな風に俺も強く生きていきたいです。
今回は2回目の視聴でしたが、去年午前10時の映画祭で初めて観た時は衝撃を受け過ぎて、「これは俺の映画だ!」「オールタイムベストだ!」ってなった。そんですぐにDVDポチって、毎年バレンタインデーに観るって決めて、今年も観た次第。やっぱりジョニデかっこよかったし、ヴィアンヌの「好みじゃない……だと?」のシーンはまた悶えた。
来年も観よ。再来年も観よ。そしていつか心こめたチョコをくれた人と観たい……爆
さて、今後も「観てよかった」と思った映画の感想を実験的にnoteに投下してみようかなーと思っております。誰かの参考になればいいな&自分も言語化して振り返れていいなということで。(野望は自分のサイトを作ってそこにまとめること。そのために毎朝web制作を独学で学んでるけど全然作れる気がしない萎)
読んでくれた方ありがとうございました〜。最後に去年の感想もどーーん!(長ぇよ!)
⚠️以下ネタバレ注意⚠️
◾️感想
最ッッッッッ高だった!!!!
ここにきてまさかの人生オールタイムベスト!!!! かもしれん!!!!
船の火災はあったけど、めちゃくちゃ激しい事件がなく、それでも洒脱なシーン運びとセリフでこちらの想像力をゾクゾクっと刺激してくれて、引き込ませてくれて、楽しませてくれる。なんて素晴らしい映画なんでしょう。
それも寓話的で、例えば主人公の娘のアヌークには妄想上のカンガルーの友達がいて、いつも一緒にいる。そういった部分も自分に近しいものを感じて「くぅ〜!」ってなる。
ジョニーデップも色気半端ないしね。主役って書かれてるけど全然主役じゃありません。主役はジュリエット・ビノシュで、その次は村長(レノ伯爵)です。でも途中から出てくるジョニデがいい味出してるのよ。本当にかっこよくて。
んでチョコレートめっちゃくちゃ美味しそうなの!! なんかね、俺もあの店行きたいもん!! ファーストフードとかデパートにない最高の色、味、雰囲気があの店には、ある!!!!
くぅ〜、チョコレートというポップなモノでコーティングしながら、その実しがらみに囚われない自由人(自分と重ねられるから大好き!)がしがらみだらけのコミュニティを破壊するって話。このタイプだめなんですよ、好きすぎるんですよ。どんだけ地球に順応できてないかって話。笑
いやー、舐めてた。ナレーションも寓話感醸し出す役割に一役買っていて、しっかりと始めと終わりをナレーションで包んでいて、本当に物語の世界に入れさせてくれて、ありがとう。
村長(レノ伯爵)がヴィアンヌに対抗する手段として、「DV夫をけしかけて危害を加える」とかなんだろうなって思ってたら、「こいつ(DV夫)を更生させて俺の評価を高めてやる!」なのすごくない!? 普通もっと激しくバイオレンスにしがちなのにさ、めちゃくちゃ平和的復讐なのよ! あーーー、それも大好きだー!!!
そういう基本平和で優しい村人たち(DV夫以外)が織りなす物語だから、意図的に嫌な奴らをごった煮で集めて人間の悪を描くような社会派の話なんかより100倍好きでした。
ふー!!
ふー!!
「これはやばい」「やばい映画だ」が観てる途中からずっと止まらなかったよ!!
チョコレート作りに自信のある主人公が男に惚れる瞬間が「そのチョコレートの味を否定された時」なんだぜ? ジョニデに「うん、美味しいね。好みじゃないけど」って言われて、「好みじゃない……だと?」とビノシュのプライドが傷付けられるのよ。それで逆に燃えるという。なにその描き方!
めっちゃこっちに想像させてくれるじゃん!
んで船上H!(フー!!)
北風を主人公の比喩として使うのも好き!!
シャレード万歳!!
最高でした。こんなに激しい事件がないのに、おもしろさを出せる監督、脚本偉大すぎました。映画館で観てよかった!!
来年からバレンタインデーに欠かさず観る映画とする!!!!!!
DVD買おう!!!!!!