「君にとてあまたの春を摘みしかば 常を忘れぬ初蕨なり」
土筆の季節になりました。
あちこちで可愛い顔をのぞかせています
子供が小学4年の頃でしょうか。
お友達と袋いっぱいに摘んできたことがありました。
いつも病弱で寝ていたのに本当に楽しそうで
すぐに佃煮にしました。
土筆は源氏物語にも「早蕨」の巻で登場します。
冒頭の歌は「父の八の宮のために毎年春には摘んでさし上げたので今年も忘れず お届けする初蕨です。」と阿闍梨が中の君に渡すつくづくし(土筆)と蕨に添えた歌です。
故人を思い寂しく暮らしていた中の君は、その優しさに感謝し、
「この春は 誰にか見せむ 亡き人の 形見に摘める 嶺の早蕨」と詠みます。
(訳:今年の春は姉君も亡くなり誰にお見せしましょう。亡き父宮の形見としてお摘みくださった峰の早蕨を)
自ら摘んだ土筆を美味しそうに食べていた子供の笑顔は宝物です。
今夜は私が摘んだ土筆を子供の位牌に供えようと思います。