
花束みたいな恋をするとは思っていなかった
1ヶ月半前
半年の恋人関係は終わってしまった。
優しくて、芯があって、頭がよくて、でもちょっと変わっていた
ひとつ年下の、完全に理系な人だった。
ちょっと飽き性なところもあったけど、誠実で思いやりがあって
素直で。少し泣き虫だったと思う。
時々ムカつくことはあったけど嫌いなところなんて一つもなかった。
女の子に慣れていないような空気感も可愛く見えたし
本人はコンプレックスだったようだけど少し大きな鼻や
まつ毛が上がった綺麗な目がとても好きだった。
文系で、他人軸で、田舎者、学歴もない公務員の私とでは全く正反対
どこを好きになってくれたのか
いまだに不思議なくらい。
でも大切な、感覚的的なところはきちんと合っていたような気がして
ぴったりだねとお互い話していた。
まさかこんなに好きになるとは思っていなかった
自分がこんな駄文を書かないと自分を保てなくなるなんて想像もしていなかった。
それくらい 好きで 大切で かけがえのない 半年間だった。
彼から「別れよう」と言われたのは
1月上旬、休日出勤の日の朝10時だった。
はっきり時間まで覚えている
『好きな気持ちが戻らなかった。別れよ』
LINEを開いた瞬間血の気が引いて
心臓が止まったかと思った。
昨日の電話を思い出した。『明後日会えるね』『楽しみだね』『大好きだよ』
あれは一体なんだったんだろう。
慌てて彼に電話したけれど、泣きながらも彼の意思は堅いようだった。
原因はわかっていた。
1ヶ月前私が個人的なストレスから感状的になってしまって彼を傷つけた。
それが原因で好きな気持ちが戻らないかもしれないと
以前彼から告げられたことがあった。
これまでも何度か感状の波で彼を振り回すことがあったし、
もう彼は限界だったんだと思う。
私は彼の愛情と精神をすり減らしてしまっていた。
そんな最低な私なのに優しい彼は、最後に1度だけあって話をして欲しい
という最後のわがままに付き合ってくれた
私はもう彼を引き止めることはできないとわかっていたけど
どうしても会いたかった。
彼とのデートのために塗り直したネイルも、
綺麗に掃除した部屋も
別れ話をするための準備になってしまって切なかった。
心の中で何度も予行練習をした通りの綺麗な別れはできなかったし
二人でたくさん泣いて情けない姿も見せてしまった。
でも、最後はバス停に立つ彼にベランダから全力で手を振った。
彼はもう泣いていなかったと思う。
バスの中では参考書を読んでいたみたいだった。
さすがだと思って少し笑った。
もう会えない。声も聞けない。好きだと言えない。
おかえり、ただいま、おやすみ、おはようも
彼が辛い時支えてあげられるのは私ではなくなってしまった。
会いたくて、大好きで、
そのために不安で苦しくて眠れない夜がたくさんあった。
でも今になってそれはなんて幸せな苦しみだったんだろうと思う。
『好き』や『会いたい』は
今では相手にとって重荷でしかなくて
彼にとって私は過ぎ去った人になった。
あれから何度かLINEをしてみたけど、
友達になろうねという私の身勝手な約束に頷いてくれた彼の優しさが
ずっと続くと思っていた私は本当に馬鹿だった。
もう既読さえつかない。
そういえば好意のある人以外には淡白な人だったな。
恋人が別れるということは
元の友人関係に戻ることではなく、
一生会うことのできない赤の他人になる事なんだと初めて知った。
『彼より好きな人はもうできないと思うんだ』
と友達に言うと
『うん、そうだと思う』
と言われた。
きっと
ずっと好きだと思う。
少なくとも今は
本気でそう思っている。
数ヶ月前、二人で見た『花束みたいな恋をした』
あの時は少し馬鹿にしていたけど
今、思います。
花の名前を一つくらい教えておけばよかった。
何かの拍子で私のことを思い出してくれたかもしれないな。
あの映画
今観たら、自分に被せて泣けてしまうに違いない。
元気になるまで見ていってくださると
うれしいです
つぎのはなし
いいなと思ったら応援しよう!
