希望を運ぶ
混沌としたある朝。
ふわり、と。
綿毛が飛んだ。
黄色の花びらを捨て。
綿毛となって、飛んだ。
白の世界に綿毛が飛んだ。
綿毛は、そのままそんな世界に吸い込まれていった。
緑の世界に綿毛が飛んだ。
とてもよく馴染み、やがて調和していった。
赤の世界に綿毛が飛んだ。
燃やされるような感覚で、綿毛はうまく飛べなかった。
黒の世界に綿毛が飛んだ。
そこではなぜか、「希望」と呼ばれた。
「輝く希望」と。
綿毛は「希望」を今より飛ばしたいと思った。
だから、綿毛はなるべく黒の世界に「希望」を飛ばしていった。
遠く飛んだり、くるくる飛んだり。
色んな希望ができた。
気付かれても気付かれなくても、ひたすらに希望を運ぶ。
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