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こころによって世界の見方が変わると感じた今年の3冊【ベスト本・推薦図書】

今年noteで、面白くて思わずつぶやいてしまった本の中から、特にこころによって世界の見方が変わると感じられた本を3冊ご紹介したいと思います。


1『レンマ学』 中沢新一 著 講談社

『レンマ学』 中沢新一 著 講談社


 私の考えが正しいとすれば、レンマ的知性はホモサピエンスの出現と同時に、人類の心(脳)に発生している。いやむしろ、レンマ的知性を心的活動の中で解放できる脳組織の条件が整ったことによって、旧人類の新人類への進化が可能になったのではないか。私たち人類の心に「粘菌的なもの」が弁証法的に回帰してくることによって、その進化が実現されたとも言える。

『レンマ学』 中沢新一 著 32頁


2『菌類が世界を救う』 マーリン・シェルドレイク 著 鍛原多惠子 訳 河出書房新社

『菌類が世界を救う』 マーリン・シェルドレイク 著 鍛原多惠子 訳 


地衣類が最初に形成されるときはかならず、どちらのパートナーも独立して生きていくのが難しく、単独ではどちらも歌えない代謝の「唄」を一緒であれば歌えることを暗示する。こう考えてくると、地衣類の極限環境生物としての能力、危機を生き延びる能力の起源は、地衣類の誕生と同じくらい古く、共生という生活を選んだ直接の結果だとわかる。

『菌類が世界を救う』 マーリン・シェルドレイク 著 鍛原多惠子 訳 109頁


ヒトと微生物の関係は他の生物どうしの関係と変わらず親密そのものだ。だからこの関係について多くを学べば、私たちが自分の身体と環境をどう経験するかも変わってくる。「私たち」は境界を広げ、カテゴリーを超越する生態系なのだ。私たちの自己は、今ようやくその正体がわかりかけてきた複雑に絡みあった関係性から生まれるのである。

『菌類が世界を救う』 マーリン・シェルドレイク 著 鍛原多惠子 訳 28頁


3『お金のむこうに人がいる』 田内学 著 ダイヤモンド社

『お金のむこうに人がいる』 田内学 著 ダイヤモンド社


 僕たちが知っているお金の話は、財布の中の話ばかりだ。
 どうやってお金を稼ぐのか。
 または、どうやってお金を増やすのか。
 そして、どうやってお金を貯めるのか。
 でも、「財布の外」の世界については、あまり考える機会がなかった。
 僕たち一人ひとりは別々の樹海を歩いているわけではない。同じ樹海を歩いている。そこで、支え合いながら生きている。正確な羅針盤を手に入れれば、樹海の木々が共に支え合う人々だと気づく。正しい羅針盤を手に入れれば、道に迷うこともない。

『お金のむこうに人がいる』 田内学 著 26頁


1、2について。
「こころによって世界の見方が変わる」という観点から、まずは中沢新一『レンマ学』と、マーリン・シェルドレイク『菌類が世界を救う』の2冊を挙げたい。AI隆盛の時代において、レンマや華厳、縁起、粘菌、菌糸体、地衣類といった世界観、すなわち<生命>が書物によって示されるということが、ある意味、月並みな言い方ではあるが<世界>は生きるに値すると感じさせる、もしくはその可能性にワクワクする、(私にとっては)こころの救いなのである。


3について。
話題の『きみのお金は誰のため』は未読だが、この『お金のむこうに人がいる』は、誰にでも分かりやすく「お金」というものの本質を教えてくれる一冊だった。

あえてこの本を3冊目に取り上げた理由は、世の中は相変わらず、投資によるお金の儲け方や資産管理、特殊詐欺グループによる犯行、アプリで半額クーポン・ポイント還元といった、お金が関係する話題ばかりが蔓延しており、もちろんお金は全くないよりは、ある程度はあった方がいいに決まっているのだが、人生の目的を「お金を稼ぐこと」にしてしまうと、意識がお金の方ばかりを向いてしまい、どういうわけか生きる歓びそのものを感じることが難しくなると私自身は考えるからだ。

そして「あなたが消費しているのは、お金ではなく、誰かの労働だ。お金のむこうには必ず「人」がいる。あなたのために働く人がいる。」とこの本の著者である田内学氏は書いているが、もし祝日に全員が一斉に休むと、仕事をしてくれる人がいなくなるため、お金を使いたくても使えない状況が発生するという視点は、他のこれまで読んできたお金についての本には書かれていないことで、深く私自身の心に刻まれると同時に、「働く」とは何なのかということについてもこれまでとは違った見方で考えさせられた。

また、私自身、若い頃は働くことがイヤで仕方なかったが、この本を読むことによって、「労働」を生活していくための苦役と見なさない働き方も、見えてくる。ちなみに著者の田内氏はBSの番組で『君のお金は誰のため』が取り上げられた際、お金よりも愛が大事であると発言していた(と記憶している)。


☆去年の年末に書いたオススメ本の記事はこちら↓↓↓


ここまで読んでくださり、本当にありがとうございます😊
みなさま、よいお年を🎵


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塩川水秋
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