【スプナー・インタビュー企画】vol.3 タットルさん_インタビュー
Spoonを知って、
10分後には初配信。
ーSpoonを始めたきっかけは?
これはあれです。某アイドル方式です(笑)
「お姉ちゃんが応募した」みたいな感じです。
たまたまリアルの知り合いがやってて、
「タットル話面白いからやってみなよ」ってSpoonを紹介されまして。インストールして
10分後には、もう配信してたよね(笑)
ーそこから、いつ”ほぼ毎日配信”に?
最初2週間ぐらいは不定期だったけど、すぐに定時で配信していたような気がするな。
テーマ配信の内容について
ー配信内容はどのように決めていますか?
テーマ選びは、いろいろだね。それこそなんかニュースとかで観て、ちょっとこれ面白いから取り上げてみようみたいなパターンもあるし、配信で話題になったことの派生もあるし、研究内容に近いものや古典的な内容もある。
「愛」だったり「悪」だったり、2000年以上哲学史上でテーマであり続けたものも数々存在するので、そういうものに対しては別に今話題のとかじゃなくても、いつでも何度でも取り扱ってもいいと思うしね。
あと、あんまりポップなキャッチーなことばっかりやってると、ちょっと重たいやつそろそろ1個入れとこうかなみたいなとか。2時間の配信が終わった後みんなが暗い顔しているような(笑)
いろいろバランス取りながらやってるね。
ー配信は作り込まれている印象ですが、
どのくらい時間かけていますか?
どういうタイプの配信かによるんだけど、みんなで1つのテーマを議論する「哲学カフェ」は、こっちは問いを用意しておくだけだから、軽く下調べして、文献読んで…1時間ぐらいかな。
倫理的な問題を扱う「ここで今から倫理です」は、2〜3時間かな。文献当たって、ちょっと冒頭で話すのに20分ぐらいの話の内容をまとめて、PowerPoint1枚スライド作って…っていうのでちょっと時間かかるから。
哲学的なテーマを深堀りする「テーマ配信」は、大体これは論文1本とか哲学書1章分とかをまとめるので、内容にもよるけど、5時間ぐらいは最低でもかけている気がするね。
ーわぁ…タットルさん、本当変態ですね笑
俺も無料でここまでやっててすごいなと思う笑
ー毎日配信していると正直、飽きませんか?
今のところ「飽きた」とは一度も思ったことはないな。「好きなものは何かいくら食べてもいい」っていうタイプではあるから。元々飽きづらいのはあるね。
ただ、マンネリだなと思うときはあるよ。でも、つまんないからやめようっていうよりは、だったら、何か新しいことやってみようっていう方向には行くかもないね。
「限られた枠組みの中でどれだけ面白いものを作れるか」が、その人らしさが出る部分だし、その面白さを追求している部分はあるね。
自分がSpoonが持っている可能性をちゃんと全部探求しきれているかと言われると、まだまだ出来ることは山ほどあると思うしね。
タットルと「哲学」の
出会いのはなし。
ー「哲学」に興味を持ったのはいつですか?
大学生のときかな。でも、大学に入った当初はね、哲学に興味があったわけじゃなくて。
どちらかというと、発展途上国に行って学校を建てる、みたいな「海外青年協力隊」みたいなことをやりたくて。それで、国際教養を学べる学部を選んだんだよね。
ー知りませんでした…!
なんでそういう分野に興味を持ったかというと、中学の時の卒業旅行で行ったタイ旅行がひとつのきっかけで。
初めて行ったタイで、物乞いしている人を見かけたのね。その時に初めて生で見たから、結構ショッキングだったんだよね。
”一歩日本を出ればこんなに困ってる人いるのに、
俺は何でのうのうと生活しているんだろう”みたいな、漠然としたモヤモヤ感を感じたの。
もっとも、高校生の時は陸上に没頭していて
(※中距離で県大会出場)特にアクションは起こしてはいなかったんだけど、心のどこかでは、このモヤモヤにどうやって向き合っていこうっていうのはずっとあって。それで、国際教養を選んだ感じはあるね。
タットルの世界を変えた🌎
恩師との出会い。
そんな思いを抱いたまま大学に入ったんだけど、「共通科目」で恩師の倫理の講義を聞いて。
これだ…!と哲学に出会ってしまった感じだね。
世の中にあるモヤモヤというか不条理さというものに、好きなだけ向き合っていい「哲学」っていう場所っていうものがあるんだと、恩師の講義に教えられたわけですよ。
だから、哲学を選んだ理由って、根本にあるものって、実は、最初とそんなに変わってなくて。
今はもうそこまでの熱い思いかもしれないけれど、それでも根っこにあるなって思うね。
フランスの哲学者🇫🇷
アンリ・ベルクソンのこと。
俺が一番好きな哲学者・ベルクソンに出会ったのは「哲学的運命論」を知ったことがきっかけで。
簡単に説明すると、「世界の出来事はすべて、あらかじめそうなるように定められていて、人間の努力ではそれを変更できない」という考え方なんだけれど、その考えを授業で知ったとき、ものすごく恐ろしくなったのね。
自分は何のために努力したり、誘惑に何とか負けないように頑張ったりしているんだろうって。
始まったときから全部決まってるのなら、何のために頑張っているんだろう、生きることになんの意味があるんだろうと思って。
この問題はどう考えられているんだろうと思って色々調べるなかで出会ったのがベルクソンだね。
自由や時間、意識や心とは何かってことについてすごく大きな功績を残した哲学者なんだけど、彼の世界の理解の仕方と自由の問題に対する回答に、惚れたといいますか。
納得できる説明をくれたというものもあるけれど、ベルクソンが持つ誠実さと魅力に惚れたところは大きいよね。
サブスクで哲学書の読書会。
タットル教授の週末ゼミ。
ーところで、通常配信とは別に、サブスクで読書会をされていますがどういう意図で?
課題図書の指定箇所を読んできてもらって、 指定の日時に参加してもらう感じだね。 レジュメを作って参加者に配ったりもしてるよ。
そもそも読書会を始めたのは、哲学を語れるゼミのような場があるといいなと思ったからで。
哲学は、基本的には大学で学んだりするものだという認識があるかもしれないけれど、哲学的なテキストを読んでそれについて議論する行為って、大学に限らずいろんな場所でされるべきだと考えていて、読書会がそういう場所になれば良いなと思ったんだよね。
あとは、大学の文系のゼミってこんな感じだよ~みたいなのを、それを知らない人に体験してもらいたいというのもあったかな。
もっとも、俺自身は日本の大学と大学院で学んでから、フランスに行って、現地で院に入って…今は絶賛、論文書く書く詐欺をしているわけだけれど…(笑)
「タットルの哲学配信を聴く」もそうだけれど、「哲学書を読む」のは、ものすごい難しい言葉をきちんと内容をおさえて理解していくっていう作業で。議論の道筋をおさえながら、どこが本質の部分なのかっていうのを考えて読んでいく。その上で、その議論が正しいか批判的に考えてみる行為は、生きていくうえでも役立つ技術だと思っているので、そういうものを提供できたらなとね。
ー読書会にそんな熱い想いがあったとは…!
読書会自体は2年ぐらいやっているんだけど、
わりと長く参加してくれている人もいて、みんな結構自力で読んだり議論する力がついてきてるからすごい。今は、話題がちょっとそれたな〜という時にぱっと出てくる感じになってるかな。
これ、結構、目指してた形ではあるんだよね。ここを起点として、将来的には、自分自身で読書会とかね他の人と一緒に本読んできて議論するみたいな場を企画するみたいな人が出てきて欲しいなという思惑もあるので、わりと自立的にこの読書会が動くようになってきてる今の状況は、個人的にはしてやったりというか、目論見通りというか、うまくいってるなという感じはありますね。
お笑い芸人の才能があったら、
お笑い芸人になりたかった。
ータットルさんって、「楽しい」が起点に
ありますよね?
色々話してきたけれどさ、俺の根本にあるのは、
「何か苦しい人を助けてあげたい、誰かを笑顔にしたい」みたいなものなんだよね。
自分に合う才能が「哲学」だったってだけで。
お笑いの才能があったら、俺はきっとお笑い芸人になっていたのよ。お笑い方面の才能があって、
人を楽しませられるならそれをしたいね。
そういうのもあって年に一度の「誕生日配信」は
力入れてお笑いやっているところはある(笑)
絵とか音とか用意して作ってっていうのを生み出す作業も楽しいし、それを楽しんでもらえるのもうれしいよね。笑わせてる、というより、笑われているというのが大きい気もするけど(笑)
ー最後に…タットルさんが思う哲学の魅力は?
日常では立ち止まれず、通りすぎてしまうような事柄に対して、好きなだけ向き合っていい場所であるっていうのが哲学の大きな魅力の一つだね。
「哲学」に触れてみたい方はどなたでも、タットル枠に遊びに来てください。土曜日以外毎日20時、いつでもお待ちしております♪
(ライター注:たまに遅れることがありますw)
【配信内容が気になった方におすすめのCAST】
「人生を救う哲学者」シリーズ
俺自身がわりとその哲学に触れて救われた経験があるベルクソン•カント•アリストテレスという3人の哲学者をピックアップして話しています。それぞれの思想や哲学自体も面白いし、私の哲学的なルーツみたいなところがそこで語られてたりするのでおすすめです。(タットル談)