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「わからないから、学ばないと」 男性も自由にするフェミニズムを学ぶ①
フェミニズムと聞いて、ピンとくる男性はどれぐらいいるだろうか?
なんとなくこの言葉を聞くと、自分には関係が無い、怖い、男性にだって権利がある、という声が男性側から聞こえてくる気がする。
僕がフェミニズムを勉強しているのは、いま思い返してみると妻の存在が大きい。
妻はこれまで職場でさまざまな男性から、ひどい態度や扱いを受けてきた。
・同じ立場の男性社員なのに、細かい作業は女性に押しつける。
・そうした業務改善を男性上司に訴えてもまともに取り合ってくれない。
・気に食わないことがあると人前でも罵倒し、モノを投げる。その逆で頑張ったことに対してはポンポンと頭をなでてくるような上司もいた。
もちろん職場だけではない。
・道をあるいていても、妻のことが見えていないような態度で譲ることをしない。
・電車で隣の人に気を遣って小さくなっていると、そのぶんだけ男性はゆったりくつろいで足を広げてくる。
・家電量販店で男性スタッフが商品説明するときは、購入者が妻であっても夫である僕の方に話しかけてくる。
・自宅に工事やメンテナンス業者の男性スタッフが来ると、急にタメ口でやたらと横柄な態度をとられる。
これ以外にも本当に枚挙にいとまがないくらい、妻はたくさんの理不尽な態度を男性から受けてきて、そのたびに傷ついてきた。
傍から聞くと「それは男女関係ないのでは?」と思われるかもしれない。
僕も最初はそう思い、
「気にしすぎじゃない?」
「もっとうまくやりなよ」
「男性には下手にでて、転がしていうことを聞かせればいい」
といったアドバイスをしていた。
当時フェミニズムについて何も知らなかった僕たちは、妻は「人間関係が苦手な人」みたいなところに着地せざるを得ず、傷ついた気持ちを自分のせいにするしか行き場がなかった。
その後、僕たち夫婦はコロナをきっかけに環境問題や社会問題に関心を持つようになり、これらの問題では、女性が特にその影響による被害を受けやすいことを少しずつ知るようになる。
環境問題でいえば、気候変動によって住む場所を奪われたり、自然災害による水害などで亡くなったりする確率は男性よりも女性が多く、社会問題では男性による性加害はもちろん、男性に比べ女性のほうがいまだに給与が低く設定されていることや、非正規雇用に女性が多いこと、日本では中絶に男性の許可が必要など、知れば知るほどこの世界で、特に日本では女性が安心して暮らせる状況になっていないと知った。
そんな中、妻が手に取った笛美さんの「ぜんぶ運命だったんかい」。
広告業界で働く筆者が、職場で受ける日常的なセクハラや強制される「女性らしさ」、国や社会から思いこまされている理想の結婚や家族像に悩む中、出会ったフェミニズムによって自分を解放していく様子がこの本では描かれている。
男性的な広告業界の中で「女性らしさ」を求められつつ、女性の成功=結婚・出産という価値観を社会から押し付けられて、身も心も削られて疲弊していく姿は、読んでいて目を背けたくなってしまった。
さらに妻におすすめされて瀧波ユカリさんの「わたしたちは無痛恋愛がしたい」も続けて読んだ。
コミックなので読みやすいが、ここでも主人公が女性としての「役割」を押し付けられたり、「ぶつかり男性」の被害にあうなど女性としての生きづらさが描かれている。登場する男性たちの女性に対しての言動や行動は、大なり小なり自分も同じようなことをしているのかも…と思わせられることが多かった。
これらの本は、日々女性がどのように社会から見られ、その理想を押し付けられているのかが書かれていて、男の自分にも痛いほど伝わってきた。どれも本当に耳が痛い。
そしてこれまで僕が妻にしてきたアドバイスは、なにひとつとして的を得ていなかったということにも気づかされたのだった。
これまで職場や私生活で妻が受けてきた理不尽なことは、妻が一方的に悪かったのではなく、女性を最初からひとりの人として見るのではなく、ただ女性というだけで劣った存在として認識し、女性は仕事でも私生活でも男性をサポートするものという意識が、妻が関わってきた男性の中に無意識のうちにあったからだと分かった。
一度こうした構造に気づくともう過去には戻れない。
すると今度は男性として「フェミニスト」になりたいと思うようになった。「無痛恋愛」に出てくる「フェミおじさん」に自分もなりたい。そのためには何ができるのか?が気になりだした。そこで僕はもう一冊の本と出会うことになる。
②へ続く。