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音楽

また、恥ずかしげもなく告白します。

実は…私は音楽に疎い。

幼少期から、今現在まで、
テレビがない生活を、
していた為でもあると思われるが、

だが、当時は歌番組がたくさんあって、
学校で、同級生みんなが歌っていたっけ。

私は、あたかも知ったフリしてた記憶が…。
あー恥ずかしい!全然、話噛み合わないのね!

歌詞まで知ってる歌は、
学校の音楽の授業で習った歌ぐらいだ。

突然だが、私は母子家庭で、
かあちゃんは、耳が聞こえない。

なのに、おかしな事に、かあちゃんは、
ミュージカルが好きらしいのだ。

多分だが、
かあちゃんの生まれ育った家には、
テレビがあったのだろう。
そして、かじりつく、ぐらいに、
よくミュージカルを、見ていたのだと思うのだ。

外国のミュージカル映画なら字幕がある。

耳の聞こえない、かあちゃんでもいけたのか?

これは、私の推測。
かあちゃんは、
テレビの音の振動や微かな雑音で、
リズムやメロディーを得たのではないか。

昔、よく私が熱を出して、手話が出来ない。

そんな時に私の喉の振動や動きを、
かあちゃんは、耳を当てて
言いたい事を感じる事がよくあった。

かあちゃんはよく、
ミュージカルの歌を口ずさんでいた。

本物をしらないから、
かあちゃんの歌が合ってるかわからないが…。

それ以外の音楽を聴いてないし、知らない。

かあちゃんの中で、音楽は、
私が生まれる前のまま止まっている。

かあちゃんが歌を歌う事も、
私が幼少期時代に聞いて、
それから、歌う事はなくなっていた。

多分、音楽を楽しむ余裕がなかった。

そんな、かあちゃんが歌ってくれた歌。

私の中で一番好きなのは、「アニー」だ。

これは、有名なミュージカルだ!
代表作の
あーさがくればートゥーモーロー!
と言う歌が大好きなのだ。

とても前向きで元気づけられる歌だと思う。

小学校に入って、
学校の運動会で、流行りの歌を踊ると言う、
とても恥ずかしい競技がある。

私は原曲を知らないし、リズム感覚が、
その…あの…全くないのだ!

だから、1人テンポの遅れたロボットダンス。

運動会を笑いの渦に巻き込んでいましたよ。

まぁ、かあちゃんは行事に参加する事は、
ないので、私の醜態を見られる事はない。

あーよかった!恥さらし!と怒られそう。

そんなんで、中学生になった時、
ある同級生に衝撃を受けるのだ。

そいつは、
ギターがものすごくうまくて、歌もうまい!

その音色に心を奪われて、私はその、
同級生に弟子入りしたのだ。

その同級生はとてもいい奴で、不器用な、
私にひたすらギターの素晴らしさを、
教えてくれた。

当時、ギターのコード付きの、
歌謡曲の本が売られてて、それを、
見よう見まねで弾いていた。

まぁ…Fコードと言う登竜門があって、
私は、何度も指をつったか…。
コードを押さえられても、音が出ない…。

むむ…オレの指がぁー!
なんで出来ないんだー!
オレはなんで不器用なんだー!
と叫んでは、挑戦していた。

そして、なんと、Fコードが、
弾けるようになる。
すると、色んな歌謡曲を弾ける様になった。

当時、流行っていた歌。
なんだっけなー忘れてしまった。
私は…ホントおバカさん…。

今はもう…ギターは弾けない…情けない。

高校は夜間高校に行くと決めていた。
耳の聞こえない、かあちゃんの為に、
昼間は、働きたかったからだ。

そんな決意を、かあちゃんに話すと、
かあちゃんは、私の目をずっと見ていた。

私は、負けじと、かあちゃんの目をみる。

すると、かあちゃんは、
坂本九のミュージカルがあってね、
夜間高校が舞台なんだよ…。

そこで、歌われていたのが、
「見上げてごらん」って歌なんだ。

この歌を聴いて、頑張るんだよ!

と教えてくれたのだ。

私は知らなかったが、坂本九さんって、
有名で素晴らしい人なんだって後から知った。

でも、働きながら夜に学校に行くという事は、
とても大変だった。がむしゃらだった。

いつも、学校が終わるのは夜の9時半くらい。
帰り道に、見上げてーごらんー夜の星を…と、
時に涙を流しながら、時に自分に喝を入れ、
歌いながら、家路に帰っていたっけ。

懐かしいなぁ…今聞いたら多分泣くな!

高校時代は、仕事と学校の往復で、
音楽とは無縁な生活であった。

社会人になっても、音楽を聴くと言う、
選択肢が私にはなかった。

町を歩けば、どこからか音楽が流れていたが、
ただのBGMであって、耳には入ってこない。

一番困るのが、カラオケと言う存在である。
そして、カラオケが流行っていた時期であった。

私は、誘われても、やんわり断っていたのだか…。
上司となると、話は別なんだよな…。

なんだよ!この機械!カラオケなんて!
誰が作ったんだよ!こっちの身にもなってくれ!

上司が勝手に選曲し、マイクを渡される。

出だしのメロディーが流れる…。

歌い出しもわからない…。

そして、歌った所で棒読み状態である。

それを、上司は面白がってやるのだ。

コイツの歌すげー音痴なんだぜ!
一度聞いてみろよ!ウケるぜ!
オレなんて、涙が出るくらい笑ったわ!

と、次の日の会社で話題となる。

はい、はい、そーですねー!
喜んでいただきありがとうございまーす!
と気にしない。

それでも、私は歌を知ろうとは思わなかった。

流行りに乗ってるのが、いいとは限らないからだ。

私は不器用でひねくれ者である。

無知な今どき珍しいくらい、マジで何も知らない。

それが、私であって、小学生の頃の様に、
自分を偽ってまで、まわりに、
話を合わせる事はしないのだ。

音楽は、素晴らしい表現方法だと思う。

歌詞に込められた想い。

メロディーや曲調を生み出す人は、
天才だと思うし、尊敬する。

ヒットを出したからって、そのまま売れる、
とは限らないし、一発屋なんて言われる始末。

流行っている音楽が一番とは限らない。

もっと、素晴らしい曲を歌ってる人は、
たくさんいるのに、埋もれてしまってる。

私は、そんな気がして、
音楽に左右されたくないと思ってしまうのだ。

私は自然の音が好きなのだ。

川の流れる音や鳥のさえずり。

どこかの生活音。

目を閉じて、ずっと聞いていられる。

かあちゃんは、
耳が聞こえないのに、音楽が好きだった。

私は、
耳は聞こえるが、音楽に興味がない。

不思議だな…。
なんか…面白いな。

そう言えば、1つだけ好きな歌があった。
松山千春さんの
「大空と大地の中で」である。

ある日、
床屋に行った時に、ラジオで流れて、
すごい衝撃が走ったのだ。
この歌ってる人誰だ?とラジオに、
耳をかたむけて、名前と曲名を、
床屋のおっちゃんに書いといてと、
頼んだのが、はじまりである。

透き通った声と、優しい歌詞とメロディー。
目を閉じれば、そこは大自然で、
嫌な事も吹き飛ぶくらいの癒しがあった。

まるで、私の好きな自然の音に近い。

かあちゃんは、北海道産まれである。

松山千春さんも北海道産まれだと聞いた。

私の遺伝子の中に、北海道の血が、
組み込まれて、いるんじゃないか?

だから、
こんなにも私の中に溶け込んでいるんだ。

友人に、
松山千春さんの歌をカセットテープに、
ダビングしてもらって、わざわざ、
ウォークマンを買って、何度も聞いていた。

その友人が、松山千春さんの姿を、
見せてくれたのだが…しかし…
私の反応は、
嘘だ!この人じゃない!想像と全然違う!

びっくりした…あんな優しい歌を、
歌ってるなんて…人は見かけによらないんだ。

それ以外に、これと言って、音楽を聞かない。

それが続いて今にいたるのだ。

ついこないだ、うっせーわと連呼して歌ってる、
男の子がいたが、私には理解が出来なかった。

やはり、私にとっての音楽は必要ないみたいだ。


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