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二月の崖【詩】

春らしさを
人づてに感じている
家の中にいても
外に出ても
まだ二月だ

友人に手紙を書いた
勇気を出して
僕はその人を
友人と呼んでみている
ふれたら指にとけそうなほど
低い温度、静けさ、やわらかさのある
そうしたやりとりがあって素直に嬉しい

僕は心のどこかで
しっかりと自分の冷たさを実感している
だからまだまだ二月なのだと
二月の崖に腰かけて
足をぶらぶらさせているのだ

歌うたえど
ひび割れない空
どこまでもくぐもって
あてのない空

どうしてもことばが
暗くなってしまうことを
どうか許していただきたい
それでもこれだけのことばが
連なるだけの真摯さや熱が
いまの僕にはまだあって

これからも手紙は書かれるし
それ以外のことばも
たくさんたくさん交わされるだろう
そう願って
きょうは筆を置こうと思う



○○○○○○○○

 読んでいただき、ありがとうございました。