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焼き芋を詰める手荒さ粋のうち 手袋を外し繋いだ小指かな コート脱ぎ表情やわらげてただいまを 生姜湯がうまく作れず舌ぴりり おでんにはからしをつける納豆の
冬ぬくし柔き落ち葉のさんぽ道 底冷えにふれし指にて林檎喰み 冬凪へ思い馳せては凍む心 君と逢い早三年か冬羽織 大雪や紅くひかりし吾子の頬
リビングでうたた寝をして朝になり朝陽を見てる瞳のひかり 鼻先が冷たく尖ってゆくごとにまっすぐ伸びてゆく冬小道 バスを待つあなたの横を吹き抜ける風になりたくて触れたくて痛い つららとか初めて見たし濡れてるしマジ寒すぎて愛が燃えるわ 好きだったぬいぐるみたち好きだった人たちみんな「わたし」だったね 靴下が無くなるたびに思い出す愛しき人の無くて七癖 本のこと本当に好きなんですね頁のように凪いでいる人 雨かなと外を見たけど晴れていて私の中の雨音でした からだごと持て余
朝起きて白湯をちびちび飲みながら今日の調子を胸に留める 録画してまだ観ていない番組は未来のようで過去世のようで 機嫌など薄い氷のその上にかぼそく立っているようなもの 肌を掻き噎び泣きたる日の夜に湯船にあった柚子のかるさよ るるるるる鼻先にまで香りきてうずを巻きゆくりんご華やか