オッサン図鑑:「シーハーッ」の魅力に迫る
夏は汗でベトベトのおっさんの腕が引っつくのをかわすために神経を 尖らせ、冬は着膨れコートに挟まれて内臓破裂の危機と闘いながらの通勤だ。帰りの電車も同様で、おっさんの加齢臭や焼肉臭やアルコール臭をひたすら耐える。
-「インディペンデンス・ディ」より抜粋-
不思議なもので、電車に乗っているときは、もう限界だ、耐えられない、と隣のおっさんに殺意すら抱くくせに、ひとたびホームに出てしまえば、けろりと忘れて歩き出す。たぶん、ほとんどの乗客が私と同様の気分の浮沈を毎日味わっているのだろう。
-「インディペンデンス・ディ」より抜粋-
原田マハさんの作品『インディペンデンス・ディ』に登場する一コマです。
主人公の女性から見た率直な「オッサン」の描写です。
やっぱりそう思ってるんだ。
分かってはいたけど、改めて残念で仕方ないな。
ベトベトのオッサンの腕が引っ付くのを交わすために、全神経を尖られている。容易に想像できる満員電車のシーンですね。正直これには苦笑いするしかない。加齢臭、焼肉臭、アルコール臭、どれも全部知っているし。
僕は中でもアルコール臭が嫌だ。
自分も発しているのかと思うと、何だかうんざりしてしまいます。
でも、これは女性に限ったことではない。オッサンの僕だって嫌だ。
先日とある地下鉄で、たまたま隣に座ってきたオッサンが「シーハーッ」って爪楊枝を巧みに扱っていた。
「シーハーッ、シーハーッ」
「くっさー」分かりますか?
僕は「シーハーッ」なんて絶対にやらない。そう誓いたい。
2、3度繰り返し、恐らく目的が達成できたのだろう。
今度は舌で前歯を舐め回していた。これは凄い、芸術的です。近くで何となく観察していましたが、段々と気持ち悪くなり、思わずイヤホンを取り出しノイキャンしました。
ノイキャンしたけど「シーハーッ」の効果音だけはしっかり残っている。
オッサンってすごい能力の持ち主かも知れない。
頭の記憶の中をしっかり占領してしまう。
嫌だと思っていても、一旦電車を降りるとコロリと忘れてしまう。
『インディペンデンス・ディ』の主人公もホームに降り立つと、さっきまで抱いていたはずの殺意を忘れてしまうと記載している。
つまるところ、オッサンの影響は殺意が芽生えるほど嫌なんだけど、それ程持続しないってことなのであろう。
それならそれで良い。
ちょっとだけ安心。
さて、今日も出張で山形に到着。
夕方駅前でオッサン測定でもしてみようかな。
その前に腹ごしらえでもしよう。同僚と入ったラーメン屋、目の前に爪楊枝がある。ちょっと「シーハーッ」ってやってみようかな。
最後まで読み進めて頂きありがとうございました。
食欲、読書の季節がやって参りました。しっかり堪能しましょう。🍁
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