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出番が少なくなったネクタイたち

会社へ出社する機会も少なく出張もない。だからスーツを着る機会もめっきり減っている。今日はテレワークが終わったらスーツやワイシャツを整理してみる事にした。


クローゼットを開けてみると、そこには出番が少なくなったネクタイたちがずらりと並んでいる。どれもこれも見覚えがあるが、長いものでは、恐らく5年以上も締めていない。数えてみると全部で67本。


テレワークが主流になり、スーツに着替えることは稀になってしまった。ましてや最近はクールビズが当たり前になり、そもそもこの時期はネクタイなんてした事がなかった。


それでも、昔からネクタイが好きで、週末ウィンドウショッピングをしていると、つい衝動買いしてしまうこともある。ビビッときたら即購入。こんな軽い感じでネクタイを選ぶ事が多い。でも、コレクターと言う程のことでも無い。


ネクタイって誰かに戴く事も多かった。
誕生日、昇進した時や転勤の時、資格試験に合格した時も貰ったことがあります。最近では父の日のプレゼントとして息子に貰ったこともある。


ネクタイってプレゼントしやすいのだろうか。
きっと贈答品として無難なのであろう。


昔はよくネクタイをプレゼントする意味について耳にした事がある。
「あなたに首ったけ」や「束縛」と言った意味だ。


本当にこんな意味があったのだろうか。今となっては確かめる術もない。
でも、どう考えても僕には当てはまりそうにない。んー残念。


箪笥の中に押し込まれているネクタイをひとつひとつ手に取ってみると、やはり全部に思い出が詰まっている。


送別会で可愛い女子社員に涙ながらに渡されたネクタイ。
昇進記念に後輩からプレゼントされたネクタイ。
バーゲンセールで5本まとめて店員に買わされたネクタイ。
色々あるなぁ。


「ん?」



一番奥にネクタイケースに入っているものがある。
開けてみると、ひと目で分かった。就職祝いに親父から貰ったものだ。
今では時代遅れになってしまったペイズリー柄のネクタイ。当時としては割とオシャレだった親父の一押しだったな。


ケースから取り出して手にしてみると、なんだか無性に締めてみたくなった。今日はTシャツなんだけど、そのまま締めてみる。


鏡に映ったのはTシャツ姿のネクタイおじさん。
でも、次の瞬間ハッとして思わず声が出てしまった。鏡に映っているのは確かに僕なんだけど、天国に行ったはずの親父ではないか。ペイズリー柄のネクタイが好きだった親父がそこにいる。


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なるほど、僕がこのネクタイを貰ったのは大学4年生のこの時期。
親父とは30歳離れていたので、ちょうど今の僕の歳なんだ。
やっぱり親子なんだね。親父そっくりだ。笑っちゃうよ。


そう言えば僕の息子も今年大学4年生。ちょうど僕と30歳違う。
多分来年は大学院へ行くのだろうが、まぁ卒業祝いとしてネクタイでも送ってやろうかな。今時の若者ってネクタイなんかしないかもしれないが。


「親父、息子にもペイズリー柄のネクタイを贈ろうかな。どんな顔するんだろう」


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最後まで読み進めて頂きありがとうございました。
懐かしさを感じるって素晴らしいですね。🌱



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