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ほんの小さな喜び
外に出た途端、額からは大粒の汗が吹きだす。
夏ってこんなに暑かったかな。飼い犬のポンくんも流石にお散歩拒否。
二週に一度の帰省。
赴任先から戻る列車の中で「土日は何をしようかと」あれこれ思案することが楽しい。でも、こんなに暑いと生命の危機を感じてしまうほど。
思い切って生活のリズムを変えてみよう。
妻と話をして、土曜日の朝の過ごし方を変えてみることにしました。
いつもより少し早めに布団から抜け出し、庭の花に水をやる。
まだそれほど暑くならない時刻にちょろりとポンの散歩を済ませ、昨夜から準備していたお出かけセットを持ち出し家を出る。時間は午前6時半。
海ではなく、山へ向かう。
海は若者で溢れかえり、昼間はギラギラした活気と共に若者の天国になっている。そして帰り道は渋滞に襲われます。だから、中年っぽく山へ向かう。
山は良い。
特に夏の朝の山は良いのです。空気が澄んでいるだけではなく、鳥や虫たちの鳴き声がこだまして心地良い。そればかりか、時折すっと腕を撫でる風が実に柔らかい。早朝の樹木に遮られている陽光は、キラキラと強い光を放ちはしているものの、どことなく優しい。
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車窓から通り過ぎる田園を眺めたり、時折車から降りて畦道を歩く。青い空を感じ、白い雲を追いかける。子供の頃に戻った様な気持ちになるんだ。
白のバケットハットを被った妻は道端の野花に夢中。
僕は緑色の田園に群がる鳥たちを追って夢中でシャッターを切る。
青空と稲穂の緑、そして白い帽子のコントラストがたまらなく良い。
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汗だくになった妻と目が合う。
「お腹すいたね」
「いつものところに行こうか」
田舎にある馴染みの食堂で朝食を済ませた後、鄙びた温泉に浸かる。太陽の光が反射して温泉がキラキラ輝いてる。露天風呂の中で大きく背伸びをして天を仰いてみると、大きな鳥が飛んで行くのが見えた。
こうやって過ごす休日も良い。
生きているんだって実感するのです。
ゆっくり寛いで自宅に戻ってみると、ちょうど正午を知らせる鐘が鳴った。
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最後まで読み進めて頂きありがとうございました。🌱