noteを始めて半年
9回目の公式マガジン追加
このたび、5月29日に書いた「塩釜港産のマトウダイ、美味しかった!」がnote公式マガジン「#フードエッセイ記事まとめ」に選ばれたとの通知をいただいた。
今年1月4日から始めたnoteだが、公式マガジンに加えていただくのは、今回で9本目である。
お選びくださった皆様、お読みくださった皆様に、あらためて感謝申し上げたい。ありがとうございます。
もっとも多く読まれたのは水道関連のデマ否定記事
私が初めてnoteに書いたのは、ツイッター上で「鳥葬」について書いた際の反響等をまとめたコラム的な文章だった。
以前から書いていたブログとは別に、自分のことを知らない人達にも「伝えたいこと」「読んで欲しいこと」を書くために始めたnote。
始めてから半年で、読んでいただいた全体ビューの数は1万回を超えた。
私の書いた文章へのアクセス数は、noteで活躍されている多くのプロのライターの方々や著名人、編集者等の方々から見れば、圧倒的に少ないだろう。
けれど、私はインフルエンサーでもなく、ネットでの知名度も無い、ただの一般人である。
そんな一般人が、(初代iPhone SEで記録用に撮っただけの拙い写真は添えているものの)有名ライターの方々のエッセイにあるようなクスっと笑えるような楽しい要素が皆無に等しい上にそこそこ長い文章ばかりを載せているのが、私のnoteである。
そんな私のnoteを、読んでくださる方々がいる。
本当に感謝ばかり。
しかも、その中でも最も多くの方々にお読みいただいているのは、私が最も知って欲しかったこと。
水道事業や水道水についてのデマを否定して、正しい情報を解説したこの文章が、たくさんの方々の目に触れている。
本当に本当に、ありがたく嬉しく思っている。
今この文章を読んでくださっているあなたに、そしてこれまでに書いてきたnoteをお読みくださったすべての方々に、改めて御礼申し上げたい。
ありがとうございます。
水道について書きたいと思ったきっかけの出来事
先に述べたとおり、私がこのnoteに文章を書き始めたのは今年の1月だったが、私がnoteを始めたいと思った直接のきっかけになる出来事は、実は、昨年4月頃にあった。
それは、宮城県内のとある水道局の工事申請窓口で、申請手続きの順番を待っている時のことだった。
給排水(水道と下水道)の工事の申請では、各市町村ごとに定められた様式の工事申請書を提出するのだが、申請書だけでなく工事箇所の現況図や設計図、そして状況によっては写真等も提出する場合が多々ある。
人の命に関わる飲料水を運ぶのが水道なのだから、配管図面等の細かい確認は当然のこと。申請する我々も継手ひとつひとつまでしっかり確認準備はしているが、それを受付審査する窓口の担当の方々も、毎回全ての書類をもれなく細かくチェックする。本当に、隅々まで細かく。
ゆえに、窓口が混雑して待ち時間が長くかかるのは、割とよくある。というか、混むのが日常。
しかし、その日の窓口の混雑っぷりは、いつも以上だった。
ちょうど年度初めということもあって、新規工事を申し込む業者が多かったのかもしれない。窓口の向こうでは、いつも給水工事の申請を担当している職員の方々だけでなく、普段は他の相談窓口等の業務を担当しているベテラン職員の方々も審査を手伝っている様子が見えた。
他県のことは見ていないのでなんとも言えないが、宮城県内の大半の水道局には、病院のように電光掲示板があるわけではない。
受付番号のカードを受け取ったら、受付担当の職員さんから番号を呼ばれるまでひたすら待つしかない。
その日、申請を待つ人のためにロビーに並べられていた椅子は、すでに埋まっていた。それで、少し離れたテーブルのところで立って待っている人達が何人もいて、私も、その中の一人だった。
そんな時、
「あんなに民営化って騒いでたから、電子化でもされたのかと思ったけど、先月となーんも変わってないねー」
順番を待ちながらの立ち話の中、ふと、顔見知りの工事会社のお姉さんが笑いながら小声で言った。
すると、周囲で同じく手続きを待っていた同業他社の人達が、一斉に振り返ってうなづいた。
「んだんだんだんだ!」
小声のうなづきが重なる。んだの輪唱状態。
「なーんも変わってないのに、お客さんから大丈夫なのかって聞かれてさぁ。」
「だべ?俺もよ。民営化ってあぶねぇんでねえが?って。お客さんに〝んなわけねぇべ!“とも言えんしさあ。」
「今までどおりだっつっても、信じねぇんだよな。あれテレビかなんかで騒いだのか?」
迷惑だよねぇ、と小声で語り合った後は、どこも同じ状況だと分かった安心感と愚痴をこぼせたスッキリ感からか、みんなマスク越しでも分かるくらいに笑顔になっていた。
どんなに忙しくても手を抜かずチェックし続ける水道局職員の方々。
そして、「民営化」という実態の無い言葉に迷惑している現場の人達と、苦笑と愚痴を共有した後の笑顔。
あの日のことは、忘れられない。
私が最初に書いたnoteは鳥葬についてだったけれど、一番書きたかったのは、水道水に関するデマの否定だった。
意図的にデマを流す人には通じなくても
昨年の春頃まで、ツイッターでは
「仙台の水道が民営化されるのは嫌だ」
「水道を民営化した宮城県民は馬鹿」
「水道を外資に売り飛ばした宮城県知事は売国奴」
「宮城の水道水は危ない」
といったような内容の罵倒・暴言が、多数流布されていた。
しかも、そこまで酷い罵倒・暴言では無くても、「民営化」というデマをリツイートしたり、不安を表明するようなツイートを繰り返している人は、残念ながら、ごく親しい人の中も存在していた。
けれど、説明すれば、多くの人は理解してくれた。
もちろん、どんなに説明しても、正しい情報を読もうともせず執拗にデマと暴言をツイートし続けるものもいた。そんなアカウントは、会話も成立しないので粛々と通報してブロックしていた。
けれど、知り合いや、共通の知人がいるような人の多くは、私が正しい情報を提示して丁寧に説明すれば、理解して安心してくれた。そして、デマを拡散する他のアカウントに「それは違うんですよ」と丁寧に説明する側になってくれた。
正しい情報が、連鎖反応のように伝わってゆくのが分かった。
そんな経験を経て思ったのは、
正しい情報をひとつのページにまとめて書いたものを作れば、ツイッター上でのデマの否定がもっと簡単になるのでは無いだろうか
ということ。
どんなに通報しても、残念ながら、デマ発信アカウントを100%凍結させることは出来ない。
けれど、たとえ宮城県を貶めるために意図的にデマを流すアカウントを全て無くすことはできなくても、正しい情報をまとめて提示する場所を作ることで、デマに騙される人を減らすことは出来る。
今、noteでの情報発信を半年続けてきて、それをあらためて実感している。
これからも「水道・お魚・思い出話」の三本立てで
この半年、noteで水道水について書き始めたことがきっかけで、日本の農薬使用量に関するデマの検証に取り組んでいる方々とも縁ができた。
そのおかげで、ツイッター上では農業関連の情報も身近になった。農薬の安全性について知るだけでなく、旬の野菜の種類や栄養価、美味しい食べ方についてもたくさん知ることが出来ている。
美味しい食材を提供しているお店や生産者の方々を知ったことからさらに縁が広がって、美味しく食べて暮らす情報を提供し続けている方々のアカウントもたくさん教えていただくことが出来た。
おかげで、我が家のおうちごはんのレパートリーは着実に増えている。
本当にありがたく思っている。
私はこれからも、過剰な危険を煽る側ではなく、正しい情報を取捨選択した上で、安全について情報提供する側でありたいと思う。自分自身の経験を踏まえつつ、憶測ではない言葉を書くことを心がけたいと思っている。
また、デマを拡散する側の人ではなく、正しい情報や楽しい出来事・美味しいものを伝えてくれる文章をたくさん読みたいと思う。
そして、デマの否定だけでなく、自分自身で訪れた街の魅力や地元の美味しいもの、たくさんの素敵な場所についても、紹介してゆきたい。
自分の日常生活や仕事を最優先にしながらではあるけれど、書くこと・伝えることは自分自身にとっての楽しみでもあるので、これからも続けてゆきたいと思っている。
これからも、お読みいただければ、幸いです。