宮城に来たら、三角形の油揚げが大好きになった
昨夜の晩酌風景。
北海道産のサンマの丸干し
宮城・塩釜産のマグロのお刺身と石巻の義実家の大葉
宮城・塩釜の三角油揚げを焼いたもの
宮城県産のつるむらさきのお浸し
日曜日は、久しぶりに塩釜仲卸市場に行ってきた。
塩釜仲卸市場は、業者ではない一般客でもとれたて新鮮な海の幸を購入することが出来るという、魚好きにはたまらない場所である。
しかし、訪れたのはお盆休み明け。しかも、悪天候続きの後である。まだお休みのお店も多かったのは仕方のないところ。
とはいえ、観光客の多い週末ということもあってだろうか、ありがたいことに塩釜名物のマグロを扱うお店の多くは営業していた。
いつもなら、ここでしか買えないような手頃な価格の地魚、それも未利用魚と呼ばれているような魚を探して買い求める我が家だが、こんな日はマグロにしようと夫婦で意見が一致。市場の中をぐるりと一回りし、我が家の家計的にも手の届くお値段だった塩釜港水揚げのマグロの切り落としと、大きなパックに5匹も入ってお買い得価格になっていた北海道産のサンマの干物を購入。しかも、お店の方のお話では、このマグロは翌日までお刺身で食べられるという。これで向こう数日間の晩酌は安泰である。
塩釜仲卸市場で扱っているのは鮮魚だけではない。塩釜や三陸産の海の幸を加工した乾物や、練り物のお店などもある。せっかくの機会、何か野菜と一緒に煮物に出来るような食材をと探していると、地元産のお豆腐や油揚げ、練り物を扱っているお店があった。
どれも美味しそうだったが、ひときわ目に着いたのが、三角形の大きな油揚げだった。
塩釜の豆腐店で作っているものだという。
好きな枚数だけ選んで購入することが出来るのもありがたく、この日は2枚購入。
さらに乾物などもいくつか購入し、この日は帰路についた。
日曜の夜は、マグロのお刺身をたっぷりといただく贅沢な晩酌を。
翌・月曜の夜は、少し残しておいたお刺身に、サンマの丸干しを焼いたもの、そして、三角揚げで晩酌を楽しんだ。
漁業で有名な宮城県だが、農業も盛ん。中でも大豆は、北海道に次いで生産量全国第2位の特産品である。
名物の「ずんだ」(枝豆をすりつぶしたもの)を使った菓子やドリンクはもちろんのこと、枝豆そのものが美味しく、宮城県発祥の大粒で甘味の強い品種「ミヤギシロメ」をはじめとした大豆を加工した品々も美味しい。県内各地では、様々なお店の美味しいお豆腐や油揚げを食べることが出来る。中でも三角揚げの美味しさは、特筆すべきものがある。
私は、3年ほど前に北海道から宮城県に移住してきた。
大豆生産量日本一の北海道。豆腐も油揚げもそれらの加工品にも、美味しいものがたくさんある。もちろん私も、美味しいお豆腐や油揚げをたくさん食べてきたつもりである。
しかし、初めて宮城の三角揚げを食べた時は驚いた。
宮城県で一般的な三角揚げは、厚さ3センチはあろうかという分厚いもの。しかも、その厚さから中は豆腐の状態のいわゆる「厚揚げ」なのだろうと思いきや、中までしっかりと火が通って揚がっているのである。一般的な厚揚げを三角にしたのとは全く別物。あくまでも、三角の形をした「油揚げ」なんである。
これが、美味い。
外はカリカリサクサク、中はふわふわ。噛めば、香ばしさとともに大豆の甘味が口いっぱいに広がる。
薄い油揚げをカリッと焼いたのとも、ふっくらした厚揚げとも違うその食感。
これは、なかなか衝撃的だった。
そんな三角揚げは、揚げたてをお店でいただくのが一番美味しいのは間違いないのだが、市場やスーパー等で販売されているものを自宅で食べるのもまた美味しい。焼けばカリっと香ばしく、根菜などと一緒に煮物にすれば煮汁がじゅわーっと染み込んでたまらない美味しさの一品になる。簡単な調理でおかずになる上、中まで火が通っているので通常の厚揚げより日持ちするのも嬉しい。
宮城に来て3年。今では私もすっかり三角揚げ大好きな宮城県民の仲間入りをしている。
塩釜仲卸市場で買ってきた三角揚げ、袋に貼られたシールを見れば、原材料の大豆はすべて宮城県産だった。品種までは記されていなかったが、これもミヤギシロメだろうか。
グリルで両面を焼き、刻みネギとかつお節をのせたら、さっと醤油を回しかけていただく。
「これ美味ぇ!」
長年、美味しい三角揚げをたくさん食べてきているであろう夫が、嬉しそうに言う。
「美味しい!カリッカリだね!」
宮城に来てから三角揚げを知った私も、思わず声が出る美味しさだった。
ほんのりとした大豆の甘味。しかも、お盆の間の運動不足で体重を気にする身には、食べ応え満点の揚げ物なのに罪悪感無しに食べられるというのがまたありがたい。大豆最高。ありがとう大豆。
もちろん、塩釜のマグロの美味しさも格別。
宮城の魚と油揚げには宮城の日本酒だよねと夫が冷蔵庫から取り出したのは、塩釜の阿部勘と、富谷の鳳陽。
海酒と、山酒。
昨夜も美味しい食材と日本酒で、ささやかながら幸せな晩酌のひと時を過ごした。
宮城の三角揚げは、手のひらよりも大きな一辺15センチ超のものが多い印象があった。今回いただいた塩釜のものも大きかったし、テレビにも度々登場する宮城名物のひとつ・定義山の「定義三角あぶらげ」も大きくてボリュームたっぷりである。
けれど、大きさや形は、宮城県内でも地域によっていろいろあるようだ。
8月初旬だったろうか。ドライブを兼ねて買い出しに出かけた際に見つけたのは、宮城県遠田郡涌谷町の「元祖一口三角揚げ」だった。
小さな三角揚げは、けれど厚みはしっかり2センチほど。この日は、フライパンで調理してみた。
刻んだミョウガをフライパンでさっと炒め、醤油とみりんと絡めたところに一口油揚げを加え、焼き色が付いたところで皿に移し、炒り胡麻をかければ出来上がり。
これがまた美味しかった。おつまみにも、おかずにもなる一品。
翌日は、ジャガイモと一緒に煮て美味しくいただいた。一口サイズの三角揚げは食べやすい上に、切らずにそのまま煮物に出来るのもありがたい。
三角揚げにもいろいろな種類があるのだなぁとあらためて思った。
宮城に来たら、三角形の油揚げが大好きになった。
三角揚げは、大きくても、小さくても、美味しい。
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