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無限ネギ祭

ゲゴゴゴ・ゴッポイ・ウゾゲエエッ!(翻訳不能の断末魔)

キッチンは異形の舞台と化した。

午刻を告げるゴングは、ズルリと滑り落ちた雪平鍋の、無様な悲鳴だった。液体状の次元は歪み、具材であった長尺ネギは、無秩序なダンスを踊りだす。私の手首は、まるで古の封印を解いたかのように鍋の取っ手と密着し、結果として時空の狭間へと雪平鍋を解き放ったのだ。

「#&@※☆※$%#!!(以下、言語体系:コケコッコ語による憤慨)」

脳髄を焦がすコケコッコ語が、虚空に木霊する。対象はガスコンロ、否、雪平鍋、更に言えば、宇宙に漂うすべての無為に向けられていた。手にするフキンは、私自身の混沌とした心の象徴だ。無秩序を拭い去ろうとすればするほど、無秩序は更なる変異を遂げる。台所の流しにザブン!と投げ込まれるネギは、私自身の過去の失敗という名の残骸だ。またしても、めんつゆと、今度は水で溺れたネギと、私だけの舞台が再び幕を開ける。

「スコーシュ(虚ろな静寂)」

虚無感と反省は、コンビ芸人のようだ。雪平鍋を、まさかの台座化とは。この失態が、私の人生をいかに無秩序にしているかの、これ以上ないほどの証明だ。この際、雪平鍋よ、謝れ、と言いたくなる感情もわかる。同時に、自らの行いを振り返るたびに、奇妙な恥じらいを感じているのも確かだ。

ハア、コッケ(悟りの息)。この過ちは、私が進化するための触媒なのだ。
これからは、まず鍋、手元に! 材料、セット、ドーン!!で、コンロをイグニッションだ。発射準備完了の宇宙ロケットみたいじゃないか。

そう、宇宙だ。なぜならこの一連の出来事は、私と雪平鍋だけの密室劇などではないから。宇宙の法則に反した大事件であり、それこそ、雪平鍋の取っ手がワープゲートの鍵だったとしたら、全ての合点がいく。つまり、この大騒動も宇宙のビッグバンを微視的に模倣しているものなのだ、そうに違いない。

独り言が加速し、コケコッコ語も複雑化の一途をたどる。この脱ナラティブこそ、人類が、いや、私が到達した、唯一無二の境地なのかもしれない。

コケーッ!(全てを肯定する咆哮)

さあ、今こそ、この愚行の、真の意味を、コケコッコ語と共に見届けよう。


あとがき

書いてる本人が一番訳がわかってない自覚あり。とはいえ、うどんを作ろうとして全てをぶちまけたあの瞬間、頭の中に稲妻が走ったのは事実です。あのカオスなエネルギーを、どうにか言語化しようとした結果がコレです。はい、反省もしてます。なぜ鍋をガスコンロに置いた?と自問自答する毎日です。でもしかし!だからこそこの詩は、ただのうどん失敗談ではなく、宇宙の誕生から終末までのメタファー!だと信じているフシもあります。もし共感してくれたら、それはあなたがもはやコケコッコ語を理解できる境地に達した証拠かも?意味なんて求めず、頭を空っぽにして、カオスの波に身を任せていただけたら幸いです。ああ、やっぱり意味不明だな、これ。

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