公社債市場
昨日は日銀がサプライズの実質的な金利引き上げを行いました。今の日本の金利は、指標となる10年国債を日銀が市場から指値で購入することで、日銀の考えが金利にそのまま反映される仕組みとなっています。
最近ではインフレ対策として日本以外の各国の中央銀行が政策金利の引き上げを続けており、金融緩和を続ける日本と、海外各国の金利差が拡大し、これが円安をもたらし、石油や天然ガスなどのエネルギー資源の輸入物価の更なる上昇を招いていると、金融緩和政策を変えようとしない日銀に対する批判が強まっていました。
一方で、金利を上昇させることは国債調達金利の上昇に直結し、これまでゼロ金利近辺で国債が発行できたことで、コロナ対策や経済対策などの財源に国債を大量発行して賄ってきた政府としては、過去の低金利の調達分があるので金利が急上昇することはないと思いますが、数年後には、利払いが年々、膨らんでいくトレンドに入ることは避けられないと思います。
世界最悪の日本の債務残高を考えると、この日銀の出口戦略は想定されていたものの、今後、国家財政のファイナンスを含めてどうなっていくのだろうと不安になりますが、まずは足元の問題として、国債の金利が実勢に合わずに固定されていたことで、国債金利を参照して決定する公社債の、国債金利に対する上乗せ幅が、ここ数カ月で急上昇しており、今回、日銀が金融政策を変更したことで、今後どう取り扱うかということがあるようです。
当然、金利が実勢に近くなったので、上乗せ幅も縮小されてしかるべきという見方もありますが、今後の金利の先高観を考えると、縮小される局面ではないと考える投資家も多いはずであり、発行体は条件決定に悩まされるのではないかと思います。