小論文・志望理由書では話し言葉は禁物!③ ら抜き言葉のケース
更新日:2024/09/18
小論文・作文指導者の〆野が普段の添削・採点指導で教えている、文章作成における基本事項を紹介するのが、このシリーズ【文章作成の基本】。
(〆野の自己紹介はこちらから見られます。)
以前から、小論文や志望理由書で話し言葉を使ってはいけないということはお話ししています。
(なお他の話し言葉については、以下の記事で扱っています。)
しかし、今回挙げる、いわゆる「ら抜き言葉」は、正しい表現かそうした話し言葉(俗的な表現)かのボーダーライン上にあり、判断が難しいところです。ただし結論から言うと、「現段階では、小論文や志望理由書に『ら抜き言葉』は使うべきでない」と言えます。それについて、他の文章から引用しながら、お話をしていきます。
「ら抜き言葉」は、小論文や志望理由書でやはり使うべきでない。
文章で話し言葉はNG。では、「ら抜き言葉」は……?
まず「ら抜き言葉」について説明します。助動詞の「れる・られる」がありますが、これらの使い分けは、何活用の動詞に付くかです。先行する動詞が五段もしくはサ行変格活用(サ変)の場合は「れる」、それ以外の上一段・下一段・カ行変格動詞(カ変)の場合は「られる」が付きます。これらは未然形接続の助動詞なので、先行する動詞は当然全て未然形になります。
下一段動詞「食べる」を例に挙げると、これは「べ・べ・べる・べる・べれ・べろ(よ)」と活用しますから、未然形は「食べ」、そしてこれは下一段なので「られる」が付きますから、「食べられる」が文法的には正しいわけです。
しかし、この「食べられる」を「食べれる」としてしまうケースがあり、これを一般的に「ら抜き言葉」と言います。
これで文法的に「ら抜き言葉」が正しくないということはわかると思いますが、実はこの問題はそう単純ではありません。というのは、「ら抜き言葉」は現在正しい日本語か正しくない日本語かの間(はざま)に立っているからです。
「ら抜き言葉」は「正しい日本語」に変わりつつあるが……?
まずはこちらの文章を読んでください。
これは、第20期国語審議会における「新しい時代に応じた国語施策について(審議経過報告)」の「ら抜き言葉」について言及している項目です。識者が集まる審議会ではこのような報告があります。
つまり、「ら抜き言葉」がある程度日常の使用においては定着していることを認めてはいます。しかし、現段階の結論はこうです。
「ら抜き言葉」を正式には認められないと言っています。その根拠として、以下のものを挙げています。
つまり公のメディアがほとんど使っていないことと、約7割の人が「ら抜き」でない本来の表現をとることから、「ら抜き言葉」の改まった場(正しく用いる場)での使用は認められない、ということなのです。ただし、その後、こう続けています。
「ら抜き言葉」が今後どのように受容され定着していくのかを見守る必要はあると結んでいます。
まとめ ~今の段階では「ら抜き言葉」は文章で使わない~
言葉は生き物です。ですから、日本語もこの後の時代で変わり、やがては「ら抜き言葉」が正しい表現となるかもしれません。しかし、今の所は、話し言葉としてよく使われていても、文法的にも誤りがあり、また話し言葉である以上、文章に「ら抜き言葉」を使うのは避けた方がよいでしょう。小論文や志望理由書には、「ら抜き言葉」は使わないようにしましょう。
参考資料:文化庁HP
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