茶の湯の本たち #92 宗旦vs.遠州―茶道に二大流派を築いた先導者
読み易さ ☆ (三点満点中)
本書は専門書であり、宗旦が利休の遺した道具を売却したエピソードを紹介しています。こちらのストーリーから江戸時代初期における道具への執着が必ずしも強くなかったのではないかと分析しています。
このシリーズについて
茶道初心者が茶道の本を紹介する記事です。ほぼ自分のメモがわりです。
本記事では、茶道の初心者向けのおすすめ本を紹介します。
本の中身と関係ないことがほとんどです。
今回の本はこちら
おすすめポイント
本書は、千宗旦と小堀遠州という二人の茶道家を対比し、彼らが現代の茶道に与えた影響を探る内容です。茶道の発展と変遷を考察しています。
やはり影響力の大きい千利休の茶の湯の美学を考察しています。
室町から江戸時代の入り口あたりまでの「侘び」の意味は現代と異なっており、手元不如意にあっても茶人の矜持を失わない人を指して「侘び数寄」と呼んでいました。千利休は、名物を所持する本数寄者と侘び数寄者を同席させるために、新しい茶道具を生み出したと考察しています。
古田織部が主導した「慶長様式」から、小堀遠州が主導した「寛永様式」という流れを、ファッション(流行)の茶の湯として位置づけています。
宗旦が利休の遺した茶道具を売却したというエピソードから、江戸時代初期における道具への執着が、後世ほど強くなかったのではないかと分析しています。この事実は、当時の茶道具が単なる象徴的・精神的な存在ではなく、むしろ実用的な価値に重きを置かれていた可能性を示唆している。また、道具の所有や継承に関する価値観が、現代や後の時代と比べ、より柔軟かつ実利的なものであったことが窺える。
読んで思ったこと
茶道の歴史に関する書籍をいくつか読んでみて思ったのは、利休自身が目指していた茶の湯とはどのようなものであったのかということです。現代につながる茶の湯は、江戸・明治以降の時代を経ているため、当初の桃山時代とは異なるのではないかと想像しています。
最近読んだ、茶道に関する整理と考察を行っている本はこちらです。
色々と探していると面白いサイトに出会いました。
Noteにもありました。ありがたし。