特異性の原理の使い方

先日はトレーニングや進歩についての原理・原則についてお話しました。
今回からは1つずつ使い方を説明したいと思います。

また、本日お話する内容はかなり自分が重要視している部分になります。


特異性の原理


特異性とは

特異性とは、特定の事柄がもつ特色の事です。

非常にシンプルですが、世の中にある事象はシンプルに見えて、複雑な要素で構想されています。
その核となる部分が特異性です。

なにか、特定の分野で目標を立てる場合は、その種目の特異性と目標の特異性を的確に突き止める必要があります。

例えば、フルマラソン。
フルマラソンは42.195キロを走る競技です。
10キロでもなく20キロでもありません。
また、どれくらいの速さで走るのか?という目標の部分でも特異性は変化します。
これら2つの要素で、特異性がなんなのかを突き止める必要性があります。

特異性がなんなのかを正確に特定するのは簡単ではありません。それなりに、「それ」に向き合った時間が必要です。時間をかけて解像度を上げる必要があります。
しかしながら、「あきらかに的外れじゃね?」ってのを外していくのは結構簡単です。

フルマラソンの例えでいえば、42.195キロを走らないと行けないのに、「ベンチプレス」をトレーニングの中心に置く。これはわかりやすく、効果的ではないです。
例えば、フルマラソンでサブスリー(3時間を切るペースで走ること)を目標としているのに、100mのトレーニングしか行わない。これも特異性の原理から外れているため、正しいトレーニングとはいえません。

一般性とは

特異性のお話をしていますが、ここで外せないのが「一般性」のお話です。
特異性の対義語になります。その他「全体性」「普遍性」などと言ったりします。
なんとなく、一般性というのがしっくりきてますので一般性で話を進めます。

実は特異性を考える上で一般性の存在は無視できません。
というのも、特異性の高いトレーニングや錬成だけ行うことが最高効率なのか?というところですが、残念ながらにそれはNOです。
それは何故か?

人間が適応できるストレスには限界があります。
つまり、特異性の高い特定のトレーニングを行ったとしてもそれは頭打ちになります。
経済学的にいえば(トレーニングでも結構使います)「収穫逓減(しゅうかくていげん)」というのが起こるからです。

ある作業の質と量をこなしたとき、その作業から生産性(利益)は生まれます。
しかし、ある一定のラインを超えると利益よりもコストの方が高くなってしまいます。利益が出なくなるだけならともかく、損害がでてしまうこともあります。これを収穫逓減といいます。

ここで重要なのが、特異性の高いトレーニングだけではなく、一般性の高いトレーニングも行わなければならないということです。

一般性の高いトレーニングとはなにか?
それは「目標を構成する小さめの単位」と考えています。

例えばピラミッドがあったとして、その頂点が特異性の高い点です。これを特異点とします。
一般性とはピラミッドの土台。底面になる部分です。底面から上に積み上がるにつれて特異性は高くなります。
ピラミッドの高さはピラミッドの底面の広さで決まります。
特異性の高いクオリティを出すためには一般性の広さが必要になります。

例えばフルマラソンであれば「ジョグ」ですし。
もっと一般性を強めれば、「歩く」になります。
また、コミュニーケーションを例にすれば、「挨拶」なんかが一般性の高いトレーニングになるのでしょうか。

まず先にやるべきことは大量の一般性の獲得になるのです。


特異性の重心という概念

一般性と特異性ははっりと白と黒で分かれているわけではなく、濃淡はグラーデションされています。
そのグラーデションの中でまずは目標の「特異点」を見つけます。
例えば、フルマラソンの特異点は「42.195キロを速く走る」です。

これを更に分解させると、「長く走る能力」「速く走る能力」「長く速く走る能力」に分けることができます。
最も特異性の高いトレーニングは「長く速く走る能力」にフォーカスすることですが、回復できるキャパを考えれば直ぐに収穫逓減に達し、オーバーワークとなり故障、もしくは燃え尽き症候群を引き起こします。長期的に再現性がないのです。

我々はこうゆう時に、「長く走る能力」と「速く走る能力」をそれぞれ別々に鍛えて、結果的に本番当日に特異性の重心が丁度特異点に乗るように調整します。

また、プロおごなどが普段より啓発している「挨拶」「掃除」「呑み会」については、まさにこの「一般性の高いトレーニング」にあたります。


期分けについて


フルマラソンのトレーニングでは期分けという物を行うのがセオリーとなっています。
期分けとは、トレーニングする内容を設定した期間事にテーマを変えて鍛えるというイメージです。

例えば、A期間、B期間、C期間と決めたとします。
A期間では
長く走る能力を鍛えます。

B期間では
速く走る能力を鍛えます。

C期間では
A.Bを総括し、長く速く走る能力を鍛えます。

このように期分けを行うことで収穫逓減をギリギリに刺激を変えて、各項目からの利益を最大にすることを狙っています。

この考えは無理なく目標を達成する為に、運動意外でも役に立つ基本的なアプローチ方法だと思います。

あーざわ






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