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定番にして最強のソウルフード。
あなたのソウルフードはなんですか?
これを食べたら、ふるさとを、懐かしいあの人を思い出す、特別な味。
関西出身ながら、私にとって「広島風のお好み焼き」はソウルフードのひとつです。
子どもの頃、広島にある祖父の家の前には、当然のようにお好み焼き屋さんがあり、3件隣にもお好み焼き屋さんがありました。
お昼になると、あちらこちらからソースが焦げる香ばしい香りが漂ってきて食欲を刺激します。
夏休みやお正月に帰省すると、決まって祖父がみんなの注文をとってくれます。
「私はイカえび玉のおうどん!」
「僕は肉玉おそばがいい!」
祖父はみんなの希望をニコニコしながらメモして、向かいのお好み焼き屋さんに向かいます。
「あら、お孫さんも帰ってこられて?毎度ありがとう!」
お店の人から孫が帰ってきたことを聞かれることに、祖父はよろこびを感じているように見えました。
しばらくすると、お店の人が大きなお皿に熱々のお好み焼きをのせて持ってきてくれます。
まるで、お店が繋がっているかのように、自然な流れで。
お向かいさんならではの、この特別な感じが、無性にうれしかったものです。
火が通って甘いキャベツ、ボリュームのある麺、たっぷりのおたふくソースがすべてを包みこむ幸せな味。
美味しくいただいた後は、キレイにお皿を洗って拭いて、お店へ返しに行きます。
「ごちそうさまでした!」
「あら、ありがとう!そこに置いといてー。」
何気ないその会話も、美味しい記憶のひとつ。
もう、注文をとってくれる祖父はいませんが、法事などで帰ると、向かいのお店のお好み焼きが恋しくなるので、叔母に頼んで注文してもらいます。
最近では、テイクアウトが浸透したからか、衛生面の問題なのか、以前のようにお皿ではなく使い捨ての容器になってしまったことが残念ですが、美味しさは昔のまま。
家で作るお好み焼きももちろん美味しいですが、私にとって、お向かいのお好み焼き屋さんの味は、思い出が詰まったとっておきの一品なのです。
美味しいお好み焼きをみんなで食べたいな。
思い出話に花を咲かせながら。
新しい思い出を刻みながら。