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ごんぎつね
『ごんぎつね』のお話を知っていますか? 小学校の国語の教科書にも載っているので、覚えている方もいらっしゃると思います。私も昔、習いました。子どもも、習いました。
学校からは、音読の宿題が出されます。私も昔、音読しました。親に聞いてもらうのです。子どもも音読の宿題が出ます。今度は私が、聞くのです。
きつねのごんは、ある日、兵十にいたずらをします。しかし、それを後悔したごんは、償いとして、兵十の家にこっそり栗を届けるようになります。
小学生が全文を音読するには、やや長いですが、今日は子どももがんばって読んでいます。いつもこうやって素直に読んでくれたらいいのに。
音読は、次第に佳境に入っていきます。
ごんがまた栗を届けにいくと、たまたまそれを目にした兵十は、ごんがいたずらをしにきたのだと考え、火縄銃でごんをうってしまいます。倒れたごんにかけよった兵十は、そこで初めて、栗を届けていたのがごんだと気づくのです。
そして 物語はこうしめくくられました。
そのあとごんが生きているのを知った兵十は、ごんを助けました。
ちょっと、待って。
いつから『ごんぎつね』のラスト変わった? 小学生には切ないラストだからということで、教育的な観点から変わったのかな?
とっさにそう思ってしまうくらい、子どもの音読は自然でした。私は、お皿を洗う手をとめ、子どもにかけよります。
「教科書、見せて」
子どもは、ちょっとバツが悪そうな顔をして、見せてくれました。
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ママも、こっちの話の方がスキだなというと、子どもは心なしかほっとした顔をしました。
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今年の春、子どもは高校生になりました。使い終わった勉強道具を、私は比較的早目に処分してしまいます。でも、この教科書は、今でも捨てることができずにいます。