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“ギヴン”繊細なはなし

とあるお盆の日。
することも無く私は漫画、ギヴンを読むために
近場の漫画喫茶へ足を運びました。
“ギヴン”は率直に言うとBL作品。
そんな事も忘れてしまうほどに一つ一つが繊細で人間らしくて。

このギヴンという漫画を知ったのは数ヶ月前のこと。
漫画はとうに9巻で完結しており、
今となってはもっと早くに知っていたかった…!という気持ち。
アニメ、映画ギヴンをサブスクで視聴しもうその時にはもう虜。
過去と向き合いながら苦悩を重ねながら成長していく様が好き。
そして、劇中歌が物凄く良い。
漫画、という二次元からアニメとなって現実味が増してくる。

そして原作も読まねば…と、漫画喫茶へ足を運んだのでした。

気持ちの言語化、落とし込み。

全9巻を読み終わり一番によぎったこと。
それは、作者さん、どんな人生を送ったらこんなに繊細で
愛くるしくて入り込める物語が作れるのかという素朴な疑問。

真冬と由紀の過去。それを一番近くで見てきた柊と玄純。
まだ秋彦のことを思いながらも二人の幸せを願う雨月。

関係が渦巻きながらやがて全員が大切なものへの
覚悟を決め前を向いていく。
どんな場面でも登場人物の感情を絵、言葉、行動で表している。
喜怒哀楽の間を上手く落とし込んでいる。
言葉にならないような複雑な気持ちを
しっかり作者のキヅナツキさんは表してくれる。
行動で見てみると
冒頭の真冬が由紀の母から託されたギターの弦が切れる所。
そして4人での初ライブ直前でまた弦が切れる所。

「心は弦に似ていると思う。」
「時々弾け飛んでもうそれは、
治らないんじゃないかって思ったりする。」

ギヴンより

心の動きを弦に例えて。
時々心が不安定になりそれは治らないのかと不安になる。
それでも新しく誰かに手を差し伸べてもらえたなら、
きっと弦が治るように心も元通りになるだろう。

ただ嬉しい、悲しいを「嬉しい」「悲しい」と表すだけでなく、
出来ること全てで感情を読者に与えてくる。

物事の繰り返し

真冬が由紀と由比ヶ浜へ行くシーン。
それが最終巻では真冬が立夏と行っている。
昔のように、まだ由紀が生きていた頃のように。

他にも6巻あたりで秋彦が春樹の家へ居候していた頃。
花火が見える春樹の部屋。
秋彦が雨月への気持ちの整理がつき、
物件を探してとある部屋を見に行った時。
「よく花火が見えますよ」と言われ、
「ここにします」とここへ住むと決めたシーン。

他にも色々な場面で繰り返しは出てきました。
前居た時とはまた違う。その変化が分かるのがとても良い。

このはなしを読んで感じて。

アニメを見ようと思って漫画を読もうと思ってよかった。
この物語は前に進む時、戸惑った時、悲しい時。
人生の節目に響く話だと思う…💭

〝音楽だけは残ればいいのに〟

誰かがその時の気持ちを音楽にそのまま落とす。
そうしたら何年後でも残り続ける。誰かが見つけてくれる。
より、音楽に対して愛着が湧いたそんな物語でした。

きっと何年先でも愛されている。ギヴンは。
ここに保証しよう。最後に一つ歌をここに。

よかった。本当に。
一番、なんだかんだで春樹さんには幸せになってほしい。


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