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ゆっくり、ゆっくり【がまくんとかえるくん】

今回は少し路線を変えて童話についてお話したいな。
ふとしたきっかけで懐かしいなと思い再び読み返してみたら凄く素適なあたたかい物語で感想を書いてみたくなった。
見出し画像から分かる通りテーマにしていくお話は、

「がまくんとかえるくん」のお手紙

この「がまくんとかえるくん」というシリーズはアーノルド・ローベルというアメリカ人の方が書かれた、のんびりとした物語。
日本では三木卓さんの訳によって長い間親しまれています。
その中の“お手紙”は小学2年生の国語の教科書に50年以上も
掲載されていて認知度の高い名作。

そんな“お手紙”に虜になり、語りたい。

少しばかりあの時の懐かしい記憶を思い出しながら
付き合ってくれると嬉しいです🙏

優しいことば

がまくんはげんかんの前にすわっていました。
かえるくんがやって来て言いました。
「どうしたんだい、がまかえるくん。きみ、かなしそうだね」
「うん、そうなんだ。」
がまくんが言いました。

お手紙より

この文は冒頭のもの。

なんの変哲もない「かなしそうだね」という言葉を
かけているかえるくん。
そしてがまくんは返しに「うん、そうなんだ。」

この返答こそが二人の友情を表している。

馴染みやすいような言葉に変えると、
「なんか元気無くない?」「そうそう…」
自分の場合その相手を深く信頼していなければそんな答えは出ない。殆どの場合大丈夫です、と返してしまう。
そう踏まえた上で、この言葉のキャッチボールは
相手を信頼している証。

深い友情を持った二人はその後もキャッチボールを続ける。
何故悲しんでいたかまとめると、 
  今の時間は一番悲しい、手紙を待つ時間
  手紙をもらったことのないがまくんはいつも手紙をくれる
  誰かを待っている。
という事をがまくんはかえるくんに話す。

話した後の様子を本の中では、

ふたりともかなしい気分で、
げんかんの前にこしを下ろしていました。

お手紙より

と、しみじみしているよう。

この時点でもかえるくんはとても友人思いで優しいことが
十分に伝わり、2年生の時に読んだ時と今とでは随分受け取り方が変わったと実感する。

   「こんな最高な友人居る?」

2年生の時には
「相手の気持ちを考えましょう」や「きちんと謝りましょう」
と教えられ平和な世界。
でも成長した今。
2年生の頃に教えられた事を“薄っぺらい”と言わんばかりな
行動や言動。

凄くこの「お手紙」の世界に入りたい。 

お手紙とふたり

がまくんの心の声を聞くと、かえるくんは「しなくちゃいけないことがあるんだ」と言い残し、家でがまくん宛の手紙を書く。
その手紙を知り合いのかたつむりくんへ渡し、代わりに届けてくれないかな?とお願いする。

その後に再びがまくんの家に来たかえるくん。
でもがまくんは昼寝をしている様子。

「きみ、おきてさ、お手紙が来るのを、もうちょっと
まってみたらいいと思うな。」
「いやだよ。」
(中略)
「きょうはだれかがきみにお手紙くれるかもしれないよ。」
「ばからしいこと、言うなよ。」
がまくんが言いました

お手紙より

懲りないかえるくん(笑)

かたつむりくんがなかなか来ないことを不思議に思うと
かえるくんはとうとうがまくんに言う。

「きっと来るよ。」
かえるくんが言いました。
「だって、ぼくが、きみにお手紙出したんだもの。」

お手紙より

胸をはって言い切るかえるくんが眩しい。
そのお手紙の内容はあえて書かないようにしておきます…💭

かたつむりくんが届けてくれる手紙をふたりは4日待ち続け
ようやくがまくんの元にお手紙が届くと

  “がまくんは、とてもよろこびました。”

という一文で幕を閉じます。

かたつむりくんが手紙を届けるのに4日かかったのは
他でもない、歩くスピードが遅いから。
では何故、作者はお手紙をかたつむりくんに届けさせたのか。
少し考えてみました。
    ↓
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「お手紙」から考える

一言でまとめると「優しいことば」でも触れましたが

子供の心を失いたくないということ。

困っているお友達がいたら助けようね、
優しいことばをかけてあげようね。
そこまでは出来ないかもしれないけれどかえるくんのように話を聞いてあげること、些細ながらお手紙を書いてみること。

とある大人が
 「自分にとって少しの気遣いかもしれないけれど、
   その人にとっては100倍以上に嬉しいと感じる」
と言っていたことも思い出しました。

友情、愛情。家族や友人にもらう。
今度はあげる。
そういったあたたかいもののキャッチボールを
ずっと続けていけたらいいな。

伝える時に、かたつむりくんのようにゆっくりでも。
もらう時に、がまくんのように少し捻くれちゃっても。
かえるくんのようにまっすぐな気持ちを持って生活していこう。

童話に考えさせられるそんな秋の夜長でした🌙

「お手紙」が収録されている絵本。
他のお話も是非。

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