【蒸留日記 vol.99】雪から出てきたクロエゾマツ枝葉を蒸留する!
こんちゃこんちゃ。
うかうかしているうちにすっかり雪が溶けてしまい、昨年10月より雪の下に埋もれていたクロエゾマツ(Picea jezonensis)の枝葉(枝打ちしたやつ)が出てきてしまいました。
しかしこのまま無為に土には戻せないので、蒸留することに…
なのでこれが記念すべき99タイトル目。なんのひねりもなくてすんません。笑
前回、といいつつトウヒ属蒸留を集中的に行っていた1月中に、同じ場所から雪を掘り起こして枝打ち枝葉をGETして蒸留していました。
今回はその残り物を片しちゃおう!な蒸留回でっす。
■About クロエゾマツ(Picea jezonensis)
前回vol.95で長ったらしくクロエゾマツのプロフィールを語ったので本タイトルではサクッといきます。
日本の最も"北の大きな島"には、在来種のトウヒ属/Picea属が2種存在しています。アカエゾマツ(Picea glehnii)とクロエゾマツ(Picea jezoensis)ですね。北海道開拓の歴史とともに北米やヨーロッパからの外来種を含めるとトウヒ属の総種数は十数種くらいになるのですが…
幹が赤いアカエゾマツはわりとどんな土壌であっても文句言わず素直に育ってくれるので苗木が作りやすく、街路樹や庭木なんかでもよく植栽されるのですが、対して幹がグレーブラウンなクロエゾマツは苗木が全く育ってくれないのでごく僅かな人工林や国立公園内の天然林などでしかなかなかお目にかかれない存在。そんなことでクロエゾはレアなんですね。
あと、都市部や平野部育ちのクロエゾはアブラムシ類に虫害されやすいんだそうな。それもあって天然環境以外での生存率を下げてるそうなんですわ。
ウチの裏庭にあるクロエゾは、先祖代々大事にされてきたハズなので例外的にちゃんと育っているんですね(笑)
■材料&蒸留準備
さぁ、やることは、まずはチッパーにかけて細かくします!
そういえばの話なんですが、インスタでフォローしているフランスのラベンダー蒸留所さんは素材を蒸留にかける前にはほぼ必ずチッパーで素材を細かくしているようなんですよ。
フランスの産業規格でも効率化なんかで蒸留素材のチップ化は標準工程なのか〜と関心している昨今。
■いざ蒸留!
相変わらずクロエゾマツはチッパーにかけていると美味しいグレフル様の香りとウッディで芳醇な香りが漂ってきます。。。
松系素材としては珍しく癒される香りです。
やはり釜に1回では収まりきらなかったので2回蒸留決定でした。
ちなみに重量計測もしたのですが、5キロを超えて振り切れてしまったので今回収油率の計算は未実施とします。
■蒸留結果は…!?
前回vol.95での蒸留時間は1h30minだったのですが、勘違いして今回2時間半も蒸留かけてしまいました。
こーりゃよほどウッディーな風味の精油になっちゃったかなぁ〜…
しっかしクロエゾマツは相変わらずすごい量の精油抽出量ですね。。。
これでも中ぶりの枝葉3,4本からの抽出量です。
よほど精油が出てこないドイツトウヒがほんま不思議なもんです。。。
1.収油率
今回蒸留素材の重量を計測できていないので収油率は計算できてないんですが、ざっくりアバウトに各種結果からの差し引きでおおまかに算出してみます。
上記画像では前回分と合計して総計75mLぐらいになりました。
でvol.95は25mL得られたので、今回の蒸留では50mL得られたということになります。
で重量計測では5000gオーバーで振り切れてしまったので、少なくとも5000kgはあったのだといえます。なので最低収油率を5000gベースで計算してみます。
少なくとも1%以上!以外にも高い収油率で出ましたね!
昨年10月に枝打ちしてからしばらく時間が経っているんですが、揮発してガッツリ減った!ということはなさそうです。
2.香りとか
素材を放置してしばらくしてからの蒸留抽出なので、フレッシュな素材から得るものと比べての香りの変化も気になるところですよね。
まぁ蒸留したて・直後の精油の香りはトドマツ精油からシトラス臭を抜いた針葉樹のような匂いまんまです。
これバルサムノートっていうんですかね?樹脂的?でボルニル的な香りでもなく…まぁ心地よい香りではないですね。
時間が経てば香りもよくなるんでしょうけど。
珍しい精油なんで時期がきたら売ろうかな…