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【蒸留日記 vol.150】雪で折れたトドマツ枝の樹皮のみを蒸留する!

こんちゃこんちゃ!
1週間前になりますか、岩見沢市のバラ園に付属している温室植物園にて、ミモザが見事な開花を迎えてるって聞きつけて見てきたんですナ!
(現在そのミモザ見学記事ば執筆中。。。)

その帰り道中に、街路樹で植えられているトドマツ並木の下に、なにやら太い折れ枝を発見したので、雪ほじくって救出してきたんですわ!

葉っぱ蒸留はパパッと手早く先にこなした!

葉っぱ蒸留パートに関しては、まぁごく普通のなんの変哲もない蒸留だったのでなんのデータも取らず2回分の蒸留をこなして終えたんですが、次なるオイシイネタとなったのが、葉っぱを取り除かれて余った太枝!

本稿では、こやつをネタにしていきまっす!
普通なら葉っぱから採るトドマツ精油ですが、今回は枝・樹皮からも精油抽出に挑んでみます!


🌲トドマツの樹皮(Bark)のヤニ袋から精油抽出を狙う!

樹皮を削るとすぐにたくさんの松ヤニの雫が湧いて出てくる。
この樹皮の松ヤニ袋を狙います!

さて、トドマツ(Abies sachalinensis)もといモミ属樹木(Genus Abies)には、平滑な樹皮に松ヤニがしこたま溜まっている「ヤニ袋」という特徴的部位があります。
樹皮の表面にあるんですね。

そこに溜まってる松ヤニは当然スーッとする爽快なマツの香りがします。The北国の香りですね!
指で潰すと当然ベッタベタになって厄介なことになります。
アルコールか灯油・精油なんかでスッキリ洗い落とせますbb

北海道の涼しげなトドマツの森の香りはこの松ヤニが含む精油成分が揮発して林内に漂っているのだと、友人のノダカズキ氏はいつも語ってくれます。

「トドマツ精油」というアロマ商品が世に出回り始めて10年近く経ちますが、トドマツ精油は、もっぱら間伐や枝打ちで発生した「枝葉」特に「葉っぱ」から水蒸気蒸留法で抽出・製造されています。ほぼ葉っぱからです。

残るは「樹皮」や「松ヤニ」から直接精油を得ている、という例はまず聞いたことがありません。もしかすると存在すらしていないかも。。。

けど、香りの異なりにものすんごく興味をそそられたわたくすエフゲニーマエダは、トドマツ蒸留で基本的に取り除かれて余される、大量に松ヤニを含んでる枝・樹皮を粉砕して蒸留にかけてみたら、それなりに精油取れるんじゃね?と閃いたワケです。
(松の文化誌という書籍でアカマツの松ヤニからロジンと精油を分ける加工法を知った)

そして狙いが当たれば、葉っぱ蒸留で得た精油よりもまた違った香りの精油が作り出せるんじゃね?と。。。

じゃあ早速やってみよーーーう!!と動いたわけです。

■蒸留準備!

初回の試みなので、ナイフでひたすら皮を削って剥いていく。

さて!
ミモザ見学の帰りに、街路樹の下で折れて雪に埋もれた太いトドマツ枝(Abies sachalinensis -Logy)をみっけてきました。
先んじて葉っぱ蒸留を終えて残った樹皮付きの太折れ枝を、、、

ひたっすらアウトドア用ナイフで皮を剥いていきます!!笑
そうですひたっすら手作業で皮剥ぎ作業をこなします。
こんな太いんじゃまず家庭用のガーデンシュレッダーには通せませんからね。。。

デカい折れ枝はアウトドアナイフでひっぺがした。

細い枝はさすがにガーデンシュレッダーを使ってチッパーにしましたが、やはり太枝は手作業でナイフで皮を剥がしました。(樹皮精油を販売するならしこたま高額にして売るつもりです、マッジで手間かかる!!)

初めての初回作業だったので小一時間ぐらいかかりましたかね?
すんげーーーーー疲れました!!!まじで高く売ろ…

トドマツ樹皮のみの素材重量は差し引き2610gとなった!

さてエフゲニーマエダ氏1時間の頑張りは、蒸留素材重量2610グラムという成果になりました。2キロ半!ようがんばった!

2キロ半の蒸留素材を釜につっこんだようす。こんな物量感になりました。
蒸留時間は1時間30分
に設定しました!

■蒸留結果は…!?

1時間半の蒸留で透明な精油を17.8mL抽出できた

ピペット計測で17.8mLのトドマツ樹皮精油を得ることができました!
葉っぱを蒸留したときよりもモワッと感じる風味が明らか少なく、とてもウッディな香りがしています!
蒸留水も甘味や酸っぱさがとても控えめで、ウッディな香りが強いです!

やはり蒸留していても分かるほど、採れる精油の香りが違っていることが感じ取れました!

1.収油率 - EO Yield

では、いつもと異なるトドマツ樹皮(Bark /without leaf)の収油率を算出してみます。
雪の中からほじくり起こして発掘した枝であり、低温冷蔵されていたのでおそらく新鮮な素材といえるハズです…!!

抽出量[ 17.8ml ]÷ 素材重量[ 2,610g ]x 100 = 0.682%

25年2月トドマツ折れ枝樹皮蒸留の収油率

ち・な・み・にですが、、、

トドマツ(Abies sachalinensis)の葉っぱ蒸留の収油率はだいたい1.6%~1.3%のレンジに収まりますが、一方の樹皮からの収油率は0.6~0.7%台なので、いかに貴重な部位精油であるかがわかるかと思います。手間とともに…w

2.香りとか - EO Scent

葉っぱ蒸留でGETした精油とは明らかに異なる風味の香りを持っています!

葉っぱを蒸留すると、毎度蒸留臭というのか、モワッと超ボールドな香りを感じるんです。個人的にはトド・アカエゾ精油に高含有である酢酸ボルニルの香りだと思ってるんですが。
しかし樹皮抽出精油だと、このモワッとする香りがほぼ無いんです…!!これは驚き!
同じ植物でも、抽出する部位が違えばここまで精油の香り変わるもんなのか!!とただ驚きです。植物蒸留おもしれぇ…!!

まぁ、葉っぱで精油:二次代謝産物をつくってる酵素と樹皮で精油と松ヤニを作ってる酵素は明らか違ってるハズなので、遺伝学的には納得できるんですナ!

そしてウッディ感がひたすら強い!葉っぱ精油はモノによってフルーティだったり青トマト臭かったり冷んやりスースーしたりするんですが、今回得た精油はウッディ感が強い!
針葉樹の森での森林浴イメージの香りと言い切っても過言ではない香りです!


〜関連記事リンク〜

当ブログにて初回のトドマツ蒸留記事。
札幌の庭木の伐倒現場から葉っぱを譲り受けて精油抽出した。

折れ枝拾ってくるシリーズ:シラカバ編。

折れ枝拾ってくるシリーズ:前回、アカマツ編。

友人のノダカズキ氏。白老町のネイチャーガイド。
時おりトドマツ蒸留会など自然の香り体験イベントを開いている。
ウチのラベンダー畑も時々見にくる。ありがたい!

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エフゲニーマエダ(平成林業。)
若い人がどんどん減る地元【三笠市】もついに人口7000人台目前。 朝カフェやイベントスペースを兼ねたラベンダー園で今いる住民を楽しませ、雇用も生み出したい。そして「住みよい」を発信し移住者を増やして賑やかさを。そんな支援を募っています。 畑の取得、オイル蒸留器などに充てます。