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【青い精油】A.millefolium精油ケモタイプの官能評価【薬用ハーブ】
近ごろ懐が潤ってきたこともあり、市販のヤロウ精油と官能評価設備を買い集めはじめた昨今。
24年度は『官能評価』を重点的に学んでいこうと考え始めているエフゲニーマエダですどうも。
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えーと、今年度(2023年)は2年目/2回目のアキレア蒸留を行った年でした。
去年の生育地探索と1つの大群落を見つけた以外に、今年は群落別のケモタイプを発見した年でした。
(詳しい事は有料記事で載せます!もしかしたら論文書いて学会に出せる内容かもしれないので!笑)
話戻して、えーと本日のテーマもラベンダーではなく別ハーブ(Achillea millefolium sp.)に逸れます!笑
アキレア精油にはケモタイプがいくらか存在する。。。
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エフゲニーマエダ的に言うと、ジャーマンカモミール(Matricaria chamomilla)やブルータンジー(Tanacetum annuum)やブルーサイプレス(Callitris columellaris)のように青いエッセンシャルオイルを産するアキレアミレフォリウムが青色を持つ種と持たない種の両極が存在している事を知ったのは、論文の発見(南仏のアキレア精油はカマズレンを含まない)が先でした。
それを知った以降に精油の色や市販精油の品質などを注意深く観察していると、どうやら販売者・原料生育地の違いで青色の濃さや有無が違っているようであることを知ったのです。
専門家を気取って各種集めてみた。
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わたくしエフゲニーマエダはズボラ人間なのでとりあえずAmazon.jpで購入できるAchillea millefoliumの精油を買い集めました。
奇跡的にも真ん中のMeadowsヤロウ精油はロットNo.がツヨンケモタイプとなる珍しいものでした!(ラッキー‼︎)
このアロマポット?官能用のグラスドームは無印良品のステムグラスSサイズを流用しました。
5ml精油ボトルがキレイに収まり、杯座を掴みやすく持ち上げやすいのでアロマ官能の現場にオススメです。
ではA. millefolium精油の官能比較やってみよーう!
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←からいきます。
【ハンガリー産・市販精油】
甘さと土っぽいようなヘビー・重めなアロマがまず香ります。
次第に重めの甘さが伸びてきてその影にハーバルなアロマがちらほら顔を覗かせてくるイメージの香りとなっています。
【ブルガリア産・市販精油①】
コチラはシソ科のハッカ&ヒソップのような甘みを伴うミント様のアロマが第一に鼻を刺してきます。
ハッカっぽさが強く、ハーバルと表せる香りかと思います。
コチラはカマズレン含有量が7.74%となっており、比較的青色が薄いようです。
土っぽさや重めの香りはあまり感じません。
【ブルガリア産・市販精油②】add.
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コチラの生産国表示はブルガリアとなっていますが、上記①精油とは大きく異なる香り。
下記のインド産精油にあるようなプラム,梅様の酸っぱさを伴ったフルーティアロマが特徴的なロットでした。
青色成分(カマズレン)を程度良く含みつつも、所有しているヤロウ精油群の中でも特に香りのプラムっぽさが強いタイプです。酸味を伴うプラムっぽい香調の分子は一体なんなのでしょうか?
同国生産品でもここまで大きく香り/成分が異なるということは、ラベンダーのように規格化栽培されてはいない栽培条件だと予想できます。
【インド産・市販精油】
スーッとするハーバル感と強いプラム(スモモ)のような香りが第一に香り、その裏にうっすらと土っぽい香りが顔を覗かせるアロマとなっています。
フルーティという意味では中でも最も美味しく癒されるアロマかもしれません。
コチラは無色透明の精油となっており、カマズレンフリータイプのアキレアミレフォリウム精油となっているようです。
【北海道産・自家蒸留精油】
ハンガリー産タイプに似て、ヘビーな甘さと土っぽさが第一に主張してくるアロマとなっています。
次第に、バジルにも似たハーバルと表せるような香りが立ってきます。
といったようなヤロウ精油それぞれ4タイプの香りの違いを嗅覚官能にて表してみました!
カマズレン単体の香りを知りたいよね。
上記で紹介したフランスの論文で知った事ですが、青色成分(カマズレン)を全く含まない精油を産出するAchillea millefolium sp.も存在しているようでした。
という事は、市販精油もくまなく探せば無色透明のカマズレンを含まないタイプもあるのではないか?
そしてカマズレン抜きの香りを知る事ができるのでは!?と思い立ち、探してきました。
青色分子=カマズレンの香り
「カマズレン」は有機化学の世界では青色を示すアズレンという物質群の中でも、マトリシンを熱変質させて植物から得られる液体状のものを指す物質名のようです。
(他アズレンやグァイアズレン等)
分子量が他のテルペンと同程度の184.277モルですから、やや重めではありますがニオイを持つ物質となっています。
では、この青色の物質を含むもの/含まないものとではどんな香りの差が生じるのか?
調べてみました!
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的確に論文で扱われている南仏(トゥールーズ)産の透明アキレア精油は入手できてませんが、インド産とされるカマズレンフリー(透明)タイプのA.millefolium精油をGETしています。
対してカマズレンの色が濃いタイプ(含有値は不明)である北海道産(自家蒸留)と市販ハンガリー産とで香りを調べると。。。
カマズレンを含むあおい精油はどれも土っぽくアーシー(Earthy)な香りがやはり共通して全面に立っています。
そしてわが北海道産はハーブのようなスッとするアロマが次に香ってきます。
一方の市販ハンガリー産精油は同様土っぽさが香った次にウッディで甘重いアロマに移ろっていきます。
僕、このセカンドノートの香りをしっかり知っています。ラベンダーの葉っぱオイルの香りです。βカリオフィレン由来のペッパーのようなスパイシーで甘重い香りでしょう。
で!
肝心のカマズレンフリーなインド産アキレアの香りはというと、緑っぽさを薄ら感じるハッカっぽいアロマと強いプラム(酢桃)のような酸味伴うフルーティなアロマが存在していて、青いタイプに共通する「土っぽい香り」はほぼ感じないものとなっている変容っぷりなのです。
強いて言えば、北海道産のトップに香ってくるハーバル・フローラルなアロマに似ている感じがします。
おそらくカマズレン以外の成分に共通するものが多いのだと思います。。。
あとがき。エフゲニーマエダの見解。
ヤロウ、特にAchillea millefoliumという植物種はローマ時代かられっきとした薬用ハーブとして活用されてきた文化史を持ちます。
しかし反面、種名A.millefolium(ヤロウと呼称される)でありながらも多くの亜種が内包されており、その亜種ごとに香りと構成成分が違っているようなのです。
アロマテラピー的観点でヤロウ精油を考察すると、どうやらカマズレンを含まない方が癒される香りを持っている可能性が高いことがわかりました。
(ギリシャ産ケモタイプの淡色精油はフロリハナで購入できるが、非常に高価)
対してカマズレン(青色)による優れた薬効性(抗炎症性)を求めるとなると、甘重く色の濃いヤロウ精油を扱い、適宜調香などで香りを改善するという扱い方になるのかと思っています。
追記、エフゲニーマエダ氏はカマズレン&カリオフィレンケモタイプ精油に対してエンピツビャクシン精油とのブレンド使用を提案。
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