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【蒸留日記vol.26】北海道には自生していないヒノキ葉っぱを入手した件!!

午後に抹茶を飲む。
この行動がなければこの"新素材蒸留"は実現していなかったエフゲニーマエダです、こんちは。

コーヒーほどカフェインは含まれてないそうですが、いやー抹茶にありがとう。本当にありがとう。

さてさて!
おそらく北海道には本来生えていない珍客を発見しました。

●Introduction

抹茶を飲んで眠い体を奮い起こし、翌日朝のコーヒーブレイク用ドーナツを買いに行った散歩の帰り道。
通りがかった公園をフラフラしていると、公園整備で冬の間溜まった折れ枝が集められている枝のゴミ山に出くわし、癖で何か紛れていないか物色…

そうすると、見慣れたクロべ属ニオイヒバ(Thuja occidentalis)とはまた違う常緑の枝葉が紛れているのを発見。(スマホ充電切れのため写真なし…)

ジリジリと眺め回すと、どうもニオイヒバとは違う樹種であることだけはわかったので、針葉樹だしオイル採れるだろうから蒸留してみっかぁーと、それだけ持ち帰ってみることに。

●Materials & Method

1,まず同定してみる。

日本で有名なヒノキ科4種の葉っぱ見分けサイトを漁る
今回拾った葉っぱ詳細。甲虫が連なったような構造をしている。Y字?の特徴も。
北海道で見られる"ヒノキ"どうしの比較

北海道では普遍的にみられる、"北海道のヒノキ"ことニオイヒバ(Thuja occidentalis)との葉っぱオモテの比較。

葉っぱ一つ見比べるだけではぱっと見マジでわからない。

葉っぱの形状が瓜二つなので、ニオイヒバがヒノキと呼ばれる要因の一つなんだなぁ〜とも素直に納得。。。
ニオイヒバは北アメリカ原産でクロべ属樹木なので、ヒノキとはかなり遠い仲間の植物なんす。

間近で構造を観察すると違いがところどころ見当たる

対して葉っぱウラの拡大画像です。
これだけ拡大して比較してみると、ニオイヒバとの違いがやっと見えてきますね!
例えば白い筋が入っているか入っていないかや、葉っぱの真ん中にプチプチ(精油嚢)があるかないか?や、葉っぱの形状など!

しかしニオイヒバにはプチっとついている精油嚢がヒノキには見当たらないので、どこに精油が隠れているのか疑問が浮かびます。
(ちゃんと抽出できるのかぁ〜…?)

茶色の丸いボールのようなものがヒノキ(Chamaecyparis obtusa)の毬果

この拾ってきたナゾの葉っぱが正真正銘ヒノキであることの証拠を掴みました!ヒノキの松ぼっくり!

"松ぼっくり"というと全くソレには見えませんが、茶色いサッカーボールのようなものヒノキの松かさ=松ぼっくりなんですね。

ひとつの大きさが1センチもあるので、ヒノキ(Chamaecyparis obtusa)を見たことがない北海道人の感覚からすると、なかなかの大きさに驚きます。。。

2,蒸留材料の準備。

袋の底にたまる程度の葉っぱつき枝をGETできた!
抽出率を上げるため1センチ大に細かく刻んでいく

採取量が少なかった上に乾燥が進んでいるので、少しでも抽出率を上げるために葉っぱを細かく刻みました!

しかしニオイヒバと違っているのが、葉っぱを細かく刻んでも際立ったトップノートの香りはしてこない。
(クロべ属とヒノキ属だから違うのも当然っちゃ当然…)

ホームセンターで嗅ぎ慣れたヒノキ木材の匂いもぜんぜんしてこないし、北海道人だからヒノキの香りに慣れてないのかなぁ〜?とか乾燥しきって精油が揮発しすぎた?とか心配になったくらいに…。

蒸気用水に直接葉っぱ素材を沈めて蒸留する

念には念を入れて、通常の水蒸気蒸留ではなくハイドロ蒸留としました!
水蒸気で葉っぱを撫でて抽出するのではなく、沸騰水で揉み込み、しっかりと抽出します。

●Results

蒸留中のようす。終始フローラルウォーターは乳白色だった。

まず蒸留中のようす。
驚いたのが、芳香蒸留水・フローラルウォーターが始まりも終わりも変わらず乳白色なんですよね。

いままでこんなパターンのボタニカルはいなかったので、ヒノキ葉っぱって不思議だなぁー…と思いました。

フローラルウォーターの香りは、やや嗅ぎ慣れたアカエゾマツとかストローブマツのようなピネン系の香りでした!
なんでかヒノキ木材(ヒノキ風呂の香り)の香りはぜんぜんしませんでした。

今回の蒸留の抽出結果

拾った葉っぱの少なさに対して、結構な歩留まりの精油が得られました!

そして精油の貯まるペースが、素材を細かく刻んだわりにはすこぶるスローペースだったのでもしやと思い、加水してさらに同じ時間追加蒸留してみました。

すると明確に増えましたね!
どうやらヒノキ葉っぱはじっくりと精油が抽出されるみたいです。

20mlほどは精油が採れたよう。想像以上の量であった。

公園で数本のヒノキ枝葉を拾っただけだったのですが、刻んでいる最中もあまり香りを感じられなかったヒノキ葉っぱから、思った以上のエッセンシャルオイルを得ることができました。

5mLのサンプルボトルに収まる収油量を想定していたのですが、明らかにキャパが足りませんでした。
止むを得ず次に控えていたみかん蒸留用のボトルを急遽代用しました。
(結果としてみかん蒸留は見送るハメに…)

ヒノキ葉っぱオイルの香りは、ヒノキ木材の香りをイメージしていたんですがぜんぜん違うアロマでした。

フルーティーな胡椒っぽいというか、スパイシーというか、ゴム臭さが無くなったゴム臭というか。。。

ヒノキのイメージとはまたかけ離れた香りだったので驚きでした!

蒸留が終わった後の資料残渣のようす

●Discussion

ヒノキはさすがわかりやすい香りをもつ針葉樹であるように、精油のオイルポテンシャルがすこぶる高いようでした!
それは北海道の札幌で育った冬の葉っぱを蒸留しても確かめられました。

しかし葉っぱの香り/精油とヒノキ木材の香り/精油はかなり香りが違っているものなんだなぁーと勉強になる試験蒸留回となりました!


けどそもそも論。
このヒノキ枝葉を拾った公園にはヒノキはおろか冬の間葉っぱをつけている針葉樹がまったく見当たらなかったんですよ。
正直、どっから来たんだ??という大きなナゾが残る結果に。

想像できる由来として、近隣住人が庭木の折れ枝を公園の集められた枝山に持ち込んだ?とか。
雪が降っている間に除雪車が巻き上げた枝葉が公園敷地に押し上げられた?とかも想定できます。


とまぁ、北海道では前提としてヒノキは生えてないので精油の安定生産はできませんね。
しかし極寒地育ちのヒノキ精油がケモタイプ(特定の成分が秀でた精油)として注目されれば、少数ロットでも割と北海道林業に組み込めるのかもしれません!

●Reference

ヒノキ葉っぱの香りが木材と大きく違っていることに驚いたのでとりあえずヒノキ葉っぱ精油の成分分析表が載っている論文をちょろっと貼っておきますわ!

内容抜粋(韓国の論文より)
酢酸αテルピニル~18.89%, エレモール~17.45%, サビネン~10.42%,
γオイデスモール~6.62%, 酢酸ボルニル~5.52%, リモネン~5.39%

ほか

Table II - Main major compounds of essential oil from hinoki cypress leaf analyzed by GC-MS.


ヒノキ葉から放出されるモノテルペンの日変化と季節変化(2008-京都大学)より引用

今回は冬の葉っぱから精油を抽出したのでWinterのデータが参照できる。
夏間よりpシメンとdリモネンの割合が増え、サビネンが大幅に減少する。
京都大学調べでは、冬葉の精油は成分バランスがもっとも均等である。

https://www.jstage.jst.go.jp/article/seitaikogaku/20/2/20_2_89/_pdf/-char/ja


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【ヒノキと同じ本州代表のスギ葉っぱ蒸留回⤴︎⤴︎】

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エフゲニーマエダ(平成林業。)
若い人がどんどん減る地元【三笠市】もついに人口7000人台目前。 朝カフェやイベントスペースを兼ねたラベンダー園で今いる住民を楽しませ、雇用も生み出したい。そして「住みよい」を発信し移住者を増やして賑やかさを。そんな支援を募っています。 畑の取得、オイル蒸留器などに充てます。