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映画感想:トランスフォーマー/ビースト覚醒(ネタバレ有り)

 僕が、いわゆるビッグバジェットのド派手なハリウッド映画にのめり込むきっかけになったのが、2007年の『トランスフォーマー』だったので、シリーズに対する思い入れは半端ではない。というか、嫌いな作品が無い。それこそ、無印はオールタイムベストと言ってもいいほど。
 ただ、好きなのは好きだが、最後の騎士王は流石にベイ味が濃すぎて胸焼けがしてしまい、その次のリブート作品となったバンブルビーは少々ウェルメイド過ぎて物足りなさを感じたのは事実。例えるなら、好きで通っていたラーメン店で爆盛マシマシの二郎系ラーメンを食べていたら五杯目にして胸焼けを起こし、初めて別のラーメンを頼んだら美味しかったけどあっさり過ぎて物足りなかった……みたいな感じ。

 なので、今回もどうなるのだろうな……と警戒していたのだが、めちゃくちゃ面白かった!これ、マイケル・ベイの狂ったような映像の外連を抜きにすれば、歴代一の出来なのではないか。

 アクションは満載で飽きさせないし、ドラマはしっかりしているし、キャラクター愛に溢れているし……。マイケル・ベイのシリーズの良さと、トラヴィス・ナイトのバンブルビーの良さを絶妙なバランスで抜き出していた。ベイ版で不満だった、キャラ愛の無さ(雑にホイホイ死ぬし、個々の顛末がはっきり描かれなかったりしている)や、余計な皮肉(主に製作に対するもの)は無く、かといってトラヴィス・ナイト版で不満だったアクション面でのベイ味の薄さ(こじんまりした話なので、仕方なかった面もあるが)も無く、前者の外連が効いたアクション面と、後者の良質で丁寧なドラマ面という、正に良いとこ取りな映画だった。
 トランスフォーマーたちのデザインがバンブルビー版と同じくG1を踏襲しているおかげで、画面の情報量が多くてもアクションがグッと見安くなっているのも良いし、オプティマスたちが野蛮な顔面破壊大帝殺法をやっていたのも良いし、味方も悪役もトランスフォーマーたちのキャラが立っていたのも良いし、主張が違ってバラバラだった人間たちとオートボット&マキシマルたちが徐々に団結し、名台詞「Roll out!」でテラーコンに立ち向かっていくドラマが丁寧で良いし、ノアとミラージュの絆と、まさかのエクセルスーツ登場も熱かったし、終始ご機嫌なHIPHOPが流れているのも良いし、クライマックスで一作目の「I got you!」をオマージュしてくれたのも良かったし、そこで満を持して実写シリーズのメインテーマである「Arrival To Earth」が高らかに鳴り響くのも良いし、全体を通して物語が停滞せず、テンポよく進むのも良いし、尺が二時間というのも良いし……。書き出していけばキリが無いが、とにかく本当に絶妙なバランスだったと思う。映画として、物語として、シリーズの味を損なわずに綺麗な一本として纏まっている。これは本当に凄いことですよ。スティーブン・ケイプル・Jr、本当にありがとう。

 唯一、不満があるとすれば、チーターとライノックスの姿がじっくり見られなかったことくらいだろうか。でも、そんなことはどうでもいいです。シリーズを通して言えば、本当に歴代一くらい面白かった。絶対に円盤も買う。
 これからどうなっていくのか分からないが、G.Iジョーとコラボするというのも楽しみです。スティーブン・ケイプル・Jrがシリーズを牽引していくのならば、きっと間違いないだろう。
 ああ……久しぶりに心の底から映画で文句無しの満足感を得た……ありがとう……ありがとう……。

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