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黄昏が愛しい人をさらってく


4月、毎日桜を見て感じてた事は沢山あるけれど意外と見飽きてしまったが正直な感想。綺麗だなと眺める時間がもっと欲しかった。貴方となら尚更もっと。


月日が経つのがこんなにも遅く感じるなんて私は相当やられている。何故だろう、会えない時間が多くなると薄れていくはずなのに薄まるどころかパキッとした綺麗な桜色に染まったように濃くなっていく。もどかしさが残る。夜の目黒川沿い、桜の花びらが落ちていく川を見て愛おしく思った。この時を待ち侘びてたかのように綺麗に散っていくのがまるで私の今の気持ちを表してるかのように。


声も匂いも顔も、ぼんやりとしてきて
でも声を聞くと顔も思い出せる、どんな顔をして話してるのかすら頭に浮かぶ。今ですら。もう意味がないけれど。

遠くにいるあの人も今同じように桜を見ているのかなとか思ったりして。


桜は特別だ。4月生まれの私にとっては桜は私そのもの。
毎年あなたになりたいと思い続けている。
朽ちていく様もいつまで見られるだろうか
毎年桜は飽きられるのを恐れずに満開に咲く強さに尊敬する


心がすり減っていたここ最近は自分を何かと蔑ろにしていた気もする。毎年感じるこの気持ちは、これからも変わらないんだろう。明日も明後日も明明後日も何気ない事を一つ一つ感じながら過ごしていきたい。当たり前の日々を。

桜はなんて強いんだろうか、少なくとも私よりは確実に。
目黒川沿いに並ぶ桜木、どうせ飽きられるのに毎年満開に咲く。咲いている時しか見向きもされないと分かっているのに。だからこうも愛おしいのか。


あと少し、あと少しでまた。

黄昏が愛しい人をさらっていく。私の愛しくて愛しくて仕方ないもの。どうか奪わないで、ずっと咲いていて欲しいようにずっと春でいて欲しいように、溶けてなくならないように。


飼い主を待つ犬が、いつも行くコンビニに繋がれていてドアが開いて誰かが入っていく度にその犬は中を必死に見つめている。純粋で無垢でひたむきで。私もそんな風に待っていられたらいいんだけど、素直じゃないから可愛くない。信じたいものがあるだけ幸せだと思う今は。信じると、期待は紙一重だ。勝手に傷つき、自尊心が奪われていくのなら信じなければいい、期待も。

黄昏があなたを攫っていく
胸が苦しくなってあなたの事が愛おしくて限界まで咲く花びらのようにあと少し、あと少しって願う。


でもきっと散った先がただそこだったというだけで私の気持ちはあなたには届かないんだろうなとも思う。少し弱気な時もある。



もう必要のないもの、私にはいらないもの
一つ何かを失えば、新しい何かが手に入る。


でも一瞬でも綴ったこの気持ちは私のものだから。
決して失くさない、この感情を。


来年もまた会おう、私の分身よ。
貴方のように強く真っ直ぐに生きてやる。


「黄昏が愛しい人をさらってく」
2024.4

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