『退職ジャーニーマップ』を見て人事ができること
TwitterのRTで見つけたとあるツイートに目が留まりました。
私は退職したとき、退職を少しでもポジティブに見せようとして「卒業」を使っていたのですが、学位は出ていません(笑)
このツイートと同時に回ってきた久松さんのnoteも拝見しました。
社員の退職は「寝耳に水」となることが多いようですが、社員の状況を常日頃から見ていれば予想できることだと思います。
今回は、久松さんの退職ジャーニーマップに合わせて、私がやってきたことをご紹介します。
※一例ですので、その通りにすべきということではないです。
①良い機会があれば他も見てみたい期
採用だと「転職潜在層」と言われれる時期です。
久松さんもこの時期に現職ができることとして1on1を挙げています。
この頃合いの状況を探るには、傾聴に重きを置いた1on1により、今の状況を吸い上げる必要があります。この1on1については関係値が重要です。形式的な1on1だと何も分かりません。
重要なのは「形式的な1on1だと何も分かりません」です。
他の会社に興味が出てきたなんて話題は、誰でもかなり慎重になりますよね。形式的な1on1しかできない関係値だったら、なおさらしないでしょう。
理想は、この時期になる前…入社時、いえ、入社前からキャリアについて話せる関係になっておくことです。応募者面談のときから、その人のキャリアについてヒアリングしておけば、何に比重を置いて仕事をしているかがわかります。
私が新しい会社に入社してすぐやることは、社員との面談です。業務として許されれば全員と面談します。
・自己紹介 / 自分が何のために人事をしているかを話す
・なぜ現職に入社して、今何をしているのかを聴く
・困ってること、経営層に聞きたいことがあるかを聴く
上記のような内容を30分くらいでします。
まずは相談しやすい関係を築くことが重要なので、私について理解してもらうのと、相手について理解する時間を作ります。その後は定期的に面談をしたり雑談をしたりします。
業務で面談することが許されない場合は、できる限り雑談をします。ランチを一緒に食べたり、定時後に社員同士でコミュニケーションを取れるような企画(ゲーム大会など)をして、距離を縮めます。
こんなことで転職潜在層がわかるの?と思われるかもしれませんが、私の場合は確度高めでわかります。
本当にやりたい業務ができていない・会社でできないから副業で試している・人間関係に疲れたetc…
雑談で話しているから出てくる話題です。なおかつ、自分のことだけではなくてメンバーのことも教えてもらえます。仲良くしているメンバーの様子が変だったら心配になりますからね。
転職潜在層に対して現職ができることは、状況把握のためにとにかく”聴く”だと思います。それに対して、会社で改善できることがあるかを検討していけば良いです。
②他社選考期間中
この期間に人事ができることはほぼ無いでしょう…。久松さんも同様に書かれています。どれだけ関係値を作っていても、選考中であれば現職の人間には言わないです。
転職を考えるということは、現職に何かしら不満か不足感があるからだと思うので、引き続き面談で情報収集します。現場からも、少しでも違和感があれば教えてもらうようにしておきます。
現場の方だと面談に不慣れな方もいるので、面談で聞いてほしいことをまとめたシートを作って共有します。
気持ちを「天気」に例えたり、体調を3段階で選んだりできるようにしておくと、そこがフックになることも多いです。
SmartHR社の面談質問リストを参考にされると良いでしょう。
③内定承諾・退職交渉
ここで初めて退職の旨を聞くという人事が多いかもしれません。今までの内容を踏まえると、ここから関係構築し始めても遅いということをご理解いただけると思います。
久松さんのおっしゃる通り、現職に対して恨みつらみがある場合は引き留めは難しいですが、前向きな転職活動だった場合は、引き留めができる可能性が残されています。
本人がチャレンジしたいことが現職で叶うのであれば、どのような動きをしたら希望に添えるかをすり合わせします。
会社が本人に期待していること、少し先の未来、現在の会社の状況など、本人のキャリア形成にとって必要な情報が伝わっていなかったことが原因であることもあります。
人事が動いて何とかできるなら、とにかく関係者を巻き込んで情報共有をします。ただし、本人のキャリア形成にとってプラスになるように、無理強いしないようにしています。
恨みつらみがある場合は、円満に退職してもらえるように整えていくしかありません。ただ、ここを丁寧にしないとトラブルの原因になりますので気を抜かないことを心掛けています。
④退職
退職が確定したら、本人が気持ちよく次の会社に行けるように環境を整えます。
・離職票は必要か
・社会保険・税金の手続きで必要な書類はあるか
・有給消化をどうするか
・引継ぎは滞りなくできるか
入退社に関わる手続きを適当にしておくと、信頼できない会社として悪い印象で終わってしまいます。口コミで伝わってしまうと採用活動にも影響します。とくに地方であればすぐに広がります。
どの会社の人事にも、最低限、人事としてできることを真摯に対応してもらいたいです。
さらに私がしていることは、リファラルやアルムナイを考慮して、今後も継続的にゆるく関係を持てるようにします。
リファラル:社員紹介で採用すること
アルムナイ:退職した社員を再度採用すること
一度会社で働いてくれた方なので、会社のことをよく理解しています。退職後もリファラルやアルムナイで採用に協力してもらえたら心強い助っ人です。
もちろん、この関係を築くには退職云々の前から相談してもらえる関係を築いておかないと難しいです。
人事と現場の距離感
私が人事になってから幾度となく注意されたことがあります。
「現場の人と仲良くなりすぎてはいけないよ」
理由はいろいろあります。理解できるものもあります。
下記ツイートが話題になったので、リプ欄含めて読んでいただけると参考になるかもしれません。
それでも私は、会社はヒトの集合体なので、ヒトを理解したいです。理解するためには聴くしかないと思っています。
アンケートでわかる部分もあるかもしれませんが、ほとんどわからないと思います(「めんどくさいから適当に入力した」という声をよく聞きました)。
社員にとって退職についても相談できる(心理的安全性が保てる)”場所”として、私は人事でありたいと考えています。
心理的安全性を保つための施策は下記のnoteをぜひご覧ください。
今回はここまで!次回をお楽しみに。
◆◇しごとば劇場◇◆
会社の数だけストーリーがある
経営者と社員の物語
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