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絵本読み聞かせ#6 (幼稚園にある絵本100冊)

100冊読破に固執して子どもの反応をおろそかにしないようにしたいけれど、読めば読むほど自分が絵本の世界にのめり込んでいる気がする。

幼少期に親に読んでもらった絵本に懐かしさを感じながら、これまで読んだことのない絵本との出会いに喜びと感謝を抱きながら。

字数少なくまとめることを意識しているせいか、読み聞かせながら要約や何かインサイトはないか考えながら読んでいる。

今回読んだ中では、『雪の写真家 ベントレー』が一番おすすめです。


#21 マイク・マリガンとスチームショベル

「100人が1しゅうかんかかってほるあなをいちにちでほることができる」
できるかわからないけど、そのように思い言い続けてたら実現したというところに、このストーリーが現代でも読み応えのある絵本だということを示している。まさに思考は現実化するのだ。
バージニア・リー・バートンさんの他の作品のように、アメリカにおける都市文明の発展と田園風景への回顧に対する葛藤や矛盾が垣間見られる作品。(松居直さんの言葉を拝借しています)


#22 だいくとおにろく

『ももたろう』の松居直さんと赤羽末吉さんによる名作。
だいくとおにろくの掛け合いがおもしろいし、二人の感情や企みを豊かな表情で描いていて、感情移入しやすく、物語に入り込みやすい。
子ども達のお気に入りの絵本の一つになった。
橋をかけたおにはだいくにめだまをよこせと過大な要求を突きつける。
ゴネるだいくにおには「なまえをあてたらゆるしてやる」と挽回のチャンスを与える。
どうしておには名前当てゲームに転じたのだろう?という疑問が湧くわけだけど、様々な物語で名の持つパワーは語られているので、それに肖ったのか。
いずれにせよ、だいくの名前はわからず終いだった。



#23 スノーマン

絵を読ませる絵本。
雪でこしらえたスノーマンとの素敵な遊びに子どもらしさを感じる。
スノーマンを作るために、子どもは帽子やマフラーを使ってよいか母に確認するシーンがあったりして、全体的に細かな描写が良い。
リンク先は新装版だが、読んだのは旧版。
読み古されて色褪せた感じが情緒を誘う。



#24 14ひきのとんぼいけ

14ひきのシリーズは子どもが大好きなのでよく読む。
見開きいっぱいに自然の中の生き物がそこかしこにおり、次の展開の伏線のように描かれているところに、本シリーズの構成の深みを感じる。
子どもたちが、自然や日常生活の中で目を凝らしていろんなトンボに出会い、本作のことを思い出してくれるといいな。



#25 ねむれないの、ほんとだよ

子どもが眠れない時、あの手この手と腐心する親心をくすぐる絵本。そして、たまに、いや時々、寝かしつけがスムーズに進まないと「もう寝なさい」と投げやりになる自分を少し恥じる作品だ。
「こわくてねむれない」と訴えるマークに、ママは「しんぱいごむよう ママにまかせなさい」とあの手この手で対応する。
何をどうしてもねむれないマーク、ママは最後に「お話を聞いてあげるわ」とマークの側に座ることにした。すると、マークはウトウトして眠りについた。
子どもが何かを訴えた時、何かに対する解決策より、話を聞いてくれること、側に寄り添ってくれることを何より望んでいるのだ。
本作はそれを伝えてくれている。


#26 雪の写真家 ベントレー

感動、その一言に尽きる絵本。
雪に魅せられ、雪の結晶をひたすらに追い続けた男性の生涯を描いた伝記絵本だ。
ページ毎に書かれたコラムが補足情報となって読み進めるに深みを与えてくれる。
生涯独身を貫き、雪の結晶を収めた写真で稼いだお金は全て機材や次の撮影に注ぎ込む筋金入りの狂人だけど、羨ましさも抱いてしまう。
ウィルソン・ベントレーが当時の学校教育をまともに受けず、母親の百科事典を隅々まで読んで育ったことも興味深い。
突き抜けた何かを持っている人、心が導いてくれる対象を知っている人は、傍目には苦労しているように感じるけれど、本人はどうなのだろうか。
時代が憧れる人物像はいつの世も変わらないのかもしれない。
1999年コルデコット賞受賞作品。



#27 げんきなマドレーヌ

以前読んだ『マドレーヌといぬ』の前談となるお話。
天真爛漫なマドレーヌ、読むうちに12人の寄宿学校で先生や生徒から敬われ愛されているかわかってくる。
おそらく、「こんな子、小学校のクラスにいたなぁ」とか「子供の幼稚園の同級生にそっくり」といった追憶や追体験に近い想像が働くからだろう。
パリを闊歩する子ども達が描かれているが、通った名所の補足がついているところもありがたい。
ところで、物語を読み進めていくと、不思議な光景に出くわす。
昔あったクイズ番組でいうと「ダウト」があるのだ。
マドレーヌは盲腸で入院中、なのに一枚だけ子どもが12人描かれているのだ・・・・
読み聞かせている時に自分は気づかなかったけど、娘が気づいてハッとした。
やはり、子どもは絵を読んでいるから気づくのが早い。



#28 すばらしいとき

長い、幼児に読むには長い。小学生にも読み続けるのは少し辛い。
少年と少女が過ごした一夏の思い出を写真のように鮮明な絵と詩情豊かな表現で描いた作品。
もう少し時間をおいて読み返そう。
1958年コルデコット賞受賞作品。



#29 3びきのゆきぐま

ロシアの民話「3びきのくま」をオマージュした絵本。
北極圏に生きるイヌイットの生活環境が背景になっている。
メインストーリーを描く絵の脇に、主人公が冒頭で失った犬とそりに関するサイドストーリーを小窓に描き、最後に合わせていく手法がおもしろかった。



#30 黄金りゅうと天女

沖縄・慶良間諸島に伝わる民話を題材にした絵本。
気立ての良い夫婦が授かった子どもは天女の子だった。
可愛(かなー)と名付けられた子どもは、わずかな食事でも食べればそれだけ成長した。
7歳の時、大海原の先へと消えてしまい、夫婦は悲しみに暮れる。
数年経ち、ヤマトの海賊が村を襲った。
人々は逃げ惑うが、海賊は女たちを攫っていく。
途方に暮れていたところ、山から黄金の龍がやってきて、海賊を追い払った。
龍の背中には誰かが乗っている、あれは可愛ではないか・・・!?
赤羽末吉さんは辺境の民を描く。スーホ、ハイリブ、イ族、そして本作では琉球の民を。満州での様々な経験が影響しているのだろうか。
本作に対する違和感は、現実がどうだったかということだ。
ヤマトの海賊に襲われ、そして薩摩藩に支配された琉球の民を天女や龍は救ってくれたのか。蹂躙と圧政の果てに民が憧れた彼岸の風景を民話として伝承したのではないか。
原話と作られた背景を知りたくてインターネットで調べてみたものの、これといった情報を探し出せなかったのが無念だ。


今回はここまで!


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